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  • 2019/06/26

無印や村田製作所もコラボした“フィンランド・イノベーション”を支えるエスポー市

世界最大級のスタートアップイベント「Slush」。その発祥地、フィンランドは今や欧州でも有数のイノベーションの地として知られつつある。そのフィンランドで首都ヘルシンキに次いで大きな都市がエスポー市だ。同市では地域のイノベーションのためのコミュニティ・エコシステム・プラットフォーム「エスポーイノベーションガーデン」が展開されている。エスポーイノベーションガーデンとはどんなシステムで、何が実現されているのか。エスポーマーケティング社の清水眞弓氏に話を聞いた。

構成:編集部 佐藤友理

構成:編集部 佐藤友理

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エスポーマーケティング社 清水眞弓氏

フィンランドのイノベーションの中心地、エスポー市

 今、国際的な関心が高まっているフィンランド。フィンランドといえばサンタクロースやオーロラ、ムーミンなどのイメージが強いかもしれないが、Slush発祥の地でもあり、イノベーションの国としても注目を集めている。フィンランドの首都ヘルシンキからメトロで10分の距離にあるエスポー市はその中心地だ。

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エスポー市周辺の地図

 ヘルシンキのような一点集中型の都市ではなく、アールト大学やフィンランド技術研究所(VTT)のあるオタニエミ、大企業が集まるケイラニエミ、エスポーセンターなど5つの中心地からなるネットワーク型のつくりを採用している。

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 エスポー市が推進しているのが、企業や大学、研究機関などその地域で活動しているさまざまなパートナーを結びつけ、彼らのコラボレーションとコミュニティの意識を促進するオープンイノベーションのエコシステム「エスポーイノベーションガーデン」だ。その中心地がケイラニエミ-オタニエミ-タピオラ地区。ここでは約5000人の研究者、約25の研究開発組織、上場企業が集まっており、100に上る多国籍な人材が住んでいるという。

 エスポー市が運営するエスポーマーケティング社に所属する清水氏は「産学官がうまく連携されているエコシステムです。2030年の目標は、欧州で最も魅力的かつ持続可能で幸福な成長とイノベーションの環境になること。すでに達成できているところもあります」と話す。

 たとえばオランダのティルバーグ大学の調査では2016年、2017年と2年連続で「ヨーロッパで最も持続可能な都市」の1位に選ばれている。また2018年に米ニューヨークのシンクタンクであるインテリジェント・コミュニティ・フォーラム(ICF)が発表した「Intelligent Community Awards2018」では世界で最も知的なコミュニティNo.1にランクされている。またマサチューセッツ工科大学が世界の200の大学を対象に調査を行い、2014年に発表した『Creating university-based entrepreneurial ecosystems evidence from emerging world leaders』というレポートでは、アールト大学が「期待が集まる5校」に選出されている。

AIで児童虐待の予防にチャレンジ

 エスポー市が評価されたのは、単に技術によるスマートシティが実現できているだけではなく、それがそこで生活している人々に貢献しているところだという。

 たとえばエスポー市は市民の社会経済データ(年齢、学歴、言語、家族、収入など)を匿名で公開している。

「そのデータを活用して、AIで児童虐待を予防する取り組みがあります。どのような環境にある家庭が児童虐待を起こしやすいのか、また家族のサポートが必要な環境などをAIで分析しているんです。ICFのアワードではそのあたりがかなり評価されたと聞いています」(清水氏)

 さらにICFの調査では、コミュニティの多くの人に会って話を聞くことも行われたという。

「みんなと一緒にやるんだ、連携するんだというコラボレーションのマインドセットがコミュニティに浸透していることも評価されました」(清水氏)

アングリーバード、ノキアもここにある

 そのような社会課題を解決する技術もエスポー市には揃っている。「エスポー市は技術の百貨店と呼ばれているんです」と清水氏。

 クリーンテックやバイオテック、5G、ヘルス、医薬、AI、VR、AR、宇宙、ゲーム、ナノテクノロジー、スマートエネルギー、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)などはその例だ。MaaSはアールト大学とVTTで生まれたといわれている。またエスポー市にはノキア本社があるため、5Gの開発、テストベッドにもなっているという。

 それを象徴するように、「ヘルシンキ証券取引所の取引総額の45%はエスポーの企業なんです」と清水氏。

 エスポー市は有名・有力が続々と集中している。ノキア、マイクロソフト、ロビオ(Angry Birdsシリーズをリリースしているモバイルゲーム企業)、コネ(エレベーターとエスカレーター業界の世界的リーダー)、ネステ(バイオ燃料事業を展開しているエネルギー企業)などはその一例だ。

 エスポー市は人材にも恵まれている。大学があること、VTTがあることで成人住民の半分以上が大学卒業者だという。

【次ページ】村田製作所も助けを求めるアールト大学

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