0
いいね!でマイページに保存して見返すことができます。
オムロンは、東京・本郷に“近未来をデザインする”を掲げる新会社「オムロン サイニックエックス」を新たに設立、2018年4月26日から本格始動させる。社外有識者と連携し、研究開発力の強化を図る。
サイニック理論から生まれた新会社
新会社「オムロン サイニックエックス」の名称に用いられた「サイニック(SINIC)」とは、オムロン創業者の立石一真氏が1970年に発表した「社会のニーズを先取りした経営をするためには、未来の社会を予測する必要がある」との考えから提唱された未来予測論の名称。新会社はその「サイニック」に未知なる技術「エックス(X)」を組み合わせて命名されたという。
新会社の代表取締役社長 兼 所長には、信号処理や機械学習のアルゴリズム3D画像計測原理や計測アルゴリズムの研究に従事してきた諏訪 正樹氏が就任する。
「『近未来デザイン』のポイントは、未来像をベースに、オムロンの社内だけではなくさまざまなステークホルダーが絡んだ『事業アーキテクチャ』を描ききった上で、それに付随する『技術』『ビジネスモデル』『知財戦略』を策定すること」(諏訪氏)
最先端技術のトップ人財が集う研究所
新会社発足時の人数は12人だが、「AI」「ロボティクス」「IoT」「センシング」などの幅広い領域の最先端技術の人材を外部に求め、大学や社外研究機関との共同研究を実施するという。
「これから起きる社会課題に対して、たとえば機械と人との協調・融和、自律性などがカギになる。その要素を近未来デザインのアーキテクチャに盛り込んでいくことは非常にチャレンジング。オムロングループ内だけでは困難であるため、外部の研究者とのオープンイノベーションを図っている。特に、アカデミックな研究現場というよりも、リアルな現場、リアルなデータを使って社会課題を解決する技術革新をしたいという方にご協力いただいている」(諏訪氏)
技術顧問を務める栗原 聡氏は、慶應義塾大学理工学部 大学院理工学研究科 教授。近未来デザインに基づく技術アーキテクチャデザインと技術指導と、オープンイノベーションの具現化案を立案する。
また、技術アドバイザーには人と機械における言語・センサーデータの融合などを研究する東京大学大学院 情報理工学系研究科の牛久 祥孝氏を迎えるほか、知覚情報処理・知能ロボティクスを専攻する橋本 敦史氏や、奈良先端科学技術大学院大学博士後期課程修了のフェリクス・フォン・ドリガルスキ氏らを研究員とする。
各研究員は、「FA」「ヘルスケア」「モビリティ」「エネルギーマネジメント」の4ドメインを中心に、「ビジネスモデル」「技術戦略」「知財戦略」を統合し具体的な事業アーキテクチャに落とし込んだ“近未来デザイン”を創り出すという。
諏訪氏は「ポスドクの学生やインターンを取り込み、ダイナミックな組織を作っていきたい」とした。
オムロングループは2020年度までに売上高1兆円、営業利益1,000億円を目指す中期経営計画「VG2.0」を掲げており、その達成に向けて研究開発力の向上に力を入れている。2015年にはCTO職を設置し、2018年3月には“近未来デザイン”から戦略策定、事業検証までを一気通貫で担う「イノベーション推進本部IXI」を設立した。
これを支える組織として、「エッジ型AI開発センター(東京・品川)」「ロボティクス開発センター(米国・西海岸)」を相次いで展開しており、今後は既存の「京阪奈イノベーションセンタ」をはじめとする研究開発拠点や各事業拠点が連携していくという。
評価する
いいね!でぜひ著者を応援してください
いいね!でマイページに保存して見返すことができます。