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2018年04月03日

NTT、オムロンらも新設する「CVC」、失敗しないための5つのポイント

大企業とベンチャー企業のオープンイノベーションが加速している。そこで活発化しているのが、事業会社が自ら、ベンチャー企業に投資を行うCVCファンドを設立する動きである。その実態を探るべく、PwC Japanグループ PwCアドバイザリーがCVCファンドの調査を実施した。日本企業におけるCVCファンドを活用したオープンイノベーション促進の現状と課題、CVCファンドを活用する重要性について、同社ディールズストラテジー部門リーダーの青木義則氏が解説する。

執筆:フリーライター 中村 仁美

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PwCアドバイザリー
ディールズストラテジー部門リーダー
青木義則氏


NTTやオムロンも設置、広がりを見せるCVC

 PwCアドバイザリー ディールズストラテジー部門リーダーの青木義則氏はまず「国内CVCファンドの事例は2012年以降、設立が活発化している」と語った。

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通常のベンチャーキャピタルファンドとCVCファンドの違い

(出典:PwCアドバイザリー)


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国内での主なCVCファンドの設立状況(2012年以降)

(出典:PwCアドバイザリー)

 KDDIやヤフー、NTTドコモなどのICT企業のほか、オムロンやパーク24、三井不動産、ソニー、パナソニック、日本郵政など出資企業も多様な業界に広がっている。出資額も10数億円のものから、100億円を超えるものも登場。

 「2018年1月に設立されたルノーS.A.と日産自動車、三菱自動車工業によるFundは、10億米ドル。このような1000億円を超える大型ファンドも出てきている」(青木氏)

 このように、ベンチャー企業の資金調達におけるCVCの存在感が高まっているのである。

 「CVCはうまく使いこなせれば有効だが、難易度の高い取り組み。実務に関する情報も不足している。そこで実務担当者が抱える課題や運用上のノウハウを広く共有することが大事だと考え、今回のアンケート調査を実施し、実態の把握に努めることにした」と青木氏は調査に至った理由を話す。

長期化するほど、運用面の課題が出現

 今回のアンケートは回答者の約8割がCVCを推進する事業会社側、CVCファンドの責任者は2割弱だった。所属企業の規模も、「半数は売上が1000億円以下。100億円未満の企業も18%と、大企業だけではなく中堅企業まで広がり、幅広い業種での取り組みが進んでいることがわかった」と青木氏は説明する。

 ファンドの運用状況については、80%がファンド設立から3年以内であると回答しており、中でも運用を開始して1年未満、運用開始前を合わせると約50%に達していた。投資先は日本企業が多いものの、米国や中国、アジアなど海外への投資も積極的で、そのほとんどがシードもしくはアーリーステージの企業だったという。

 CVCファンド運用の難しさについて、運用1年未満の場合は「非常に順調およびおおむね順調」と答えた人が81%だが、1〜3年未満、3年以上と運用期間が長くなるにつれ「順調ではない」と答える人の割合が増えるという傾向が見られたという。

 CVCの運用でどのような課題を感じているのか。「適正な投資条件で出資できているのか自信がない」「なかなか良い投資先を見つけることができない」「投資担当者の熱意に押し切られ、ほぼ全案件が投資新開を通過してしまう」「投資後、投資先ベンチャー企業のモニタリングができていない」「財務リターンが厳しい/思ったほどではない」「事業シナジーが思ったほど実現できていない」という項目が上位を占めた。

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CVCの運用で感じている課題(CVCファンド運用期間別)

(出典:PwCアドバイザリー)


 「これらの課題のうち投資実務に関する課題については、案件選別には甘さはあるものの、案件件数を積み重ねることで慣れてくる。一方、成果の課題のうち、事業シナジーについては年数が経つほどうまくいかないと答える割合が増えており、この課題を解消することが、CVCファンドが盛り上がるポイントだ」と青木氏は指摘する。

【次ページ】事業シナジーを創出するための5つの視点

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