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  • 2019/10/30

GDPの成長鈍化はインターネットのせい?米FRB議長が経済指標に問題提起のワケ

米FRBジェローム・パウエル議長が「インターネットによって人々が受ける恩恵をいかにGDPや経済指標の形に置き換えられるのか」という問題をスピーチの中で提議した。インターネットは従来有料だったさまざまなビジネスやサービスを無料化した。それが形としてGDPに反映されないため、正確な経済成長を数値化することが難しいのだ。この問題にどのような答えを出すことができるのだろうか。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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各国のダウンロードスピード。米国は21位に位置している
(出典:statistica)

無償サービスがGDPの足を引っ張っている?

 インターネットによって無料化が進み、廃れつつあるビジネスは枚挙にいとまがない。電子メールは郵便の利益幅を大きく減少させ、インターネットニュースの出現で特に米国では大手新聞社も倒産に追い込まれている。音楽や映画のストリーミングサービスによりCDの売り上げは落ち、映画館の集客数も減った。その他さまざまな形でインターネットは現存するビジネスにとって脅威となっている。

 米FRBのパウエル議長は、米国の経済が長期間にわたり順調な成長を続けている中で、それに伴うGDPや生産性の上昇が見られないという「現代経済の謎」に言及し、「データこそが問題」という可能性を指摘した。

 GDPというのは実際に売買されたモノやサービスの総額を指す。実質無償で提供されるインターネットサービスがこれに含まれないために、見た目のGDP成長が鈍っているように感じられる。パウエル議長が提起したのは、「この誤差を埋める方法はあるのか」という問いだ。

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50ドルもらえれば「Facebookなし」生活でも良い

 パウエル議長はスピーチの中で、マサチューセッツ工科大学教授 エリック・ブリンジョルフソン氏らの論文にも触れた。この論文は「Using massive online choice experiments to measure changes in well-being」と題されたもので「GDPは経済指標ではあるが、人々の生活の質の向上を測定するものではない」ということを議論している。そこで論文ではメジャーなデジタルサービスを金額に換算することで、GDPでは見えない人々の利益を計算している。

 論文はまず、米国人が2018年に平均で週に22.5時間をオンラインで過ごしていると指摘。FacebookとInstagramについては、アカウントを持つ人は平均で1日50分利用しているという。

 研究では人々に対し、「Facebookを使用し続けるか、あるいは金銭を支払われることでFacebookを諦めるか」と問いかけ、統計を取る。その結果、Facebookを1か月諦めるために人々が望む支払額は40から50ドルだったという。当然のことながら、Facebookに費やす時間が多く、フレンドも多い人の方がFacebookにより高額の価値を見出している。

 興味深いのは、YouTubeとInstagramを利用する人々は、利用していない人に比べてFacebookの価値を低く評価する傾向があることだという。

 同様の調査は欧州でも行われ、WhatsApp、Facebook、携帯でのマップ機能について、1カ月これらのサービスを諦めるために求める金額はそれぞれ536、97、59ユーロだったという。興味深いのはWhatsAppの評価が非常に高いことだ。逆に評価が低かったのはSnapchat、Instagram、LinkedInで、Skype、Twitterはほぼ無価値という評価だった。

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