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  • 2020/07/06

飲食店オーナーが吐露、「行くも戻るも地獄」。行政の対応には怒りよりも“がっくり”

新型コロナウイルス関連倒産で、業界別に最も多い飲食業界。倒産や廃業数はこれからさらに増えていくと予想されているが、この危機的状況を脱する有効な手立てはいまだ見つからないままだ。ふたたび感染数が拡大しつつある東京都で、飲食店のオーナーたちはどのような気持ちで毎日を過ごしているのだろうか。飲食店を取り巻く厳しい現実とともにお伝えする。

ライター 箕輪 健伸

ライター 箕輪 健伸

ライター・編集者。新聞記者、雑誌編集記者を経て、現職。これまで延べ300社以上の製造業の取材経験がある。ほかにも、飲食業界、宿泊業界、大学病院をはじめとした医療機関など、業界や業種を問わず幅広い取材・執筆経験がある。

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緊急事態宣言下、閑散としていた新宿通り
(Photo/Getty Images)


新型コロナ関連倒産のうち最多は飲食店

 6月30日、飲食業界に大きなニュースが駆け巡った。新型コロナウイルス関連倒産300件、業界別には飲食店が最多──。国内最大の信用調査機関・帝国データバンクが発表したもので、初めて新型コロナウイルスによる倒産が起こった2月29日から4カ月の間に、日本全国で300件もの企業が新型コロナウイルスにより倒産した。

 業界別に見てみると、先月まで最も多かった「ホテル・旅館」の45件を抑えて、「飲食業」が49件で最多。さらに、都道府県別には、東京都が最も多く72件。2位の大阪府の30件に倍以上の差をつけている。

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業種別 新型コロナウイルス関連倒産(7月2日16時時点)
(出典:帝国データバンク「新型コロナ関連倒産」を基に作成)

 東京都は日本の人口の1割弱を抱え、企業数もダントツの全国トップ。影響が大きいのはある程度は仕方ないことなのだろうが……。「こと飲食店に関していえば、この倒産数は実態とかけ離れたもので、実質的にはもっと多いはずです」と指摘するのは、都内で数店舗の居酒屋を経営するオーナーだ。



飲食店を苦しめる家賃と解約予告賃料

「そもそも倒産数には、廃業や休業は含まれません。自分のまわりを見るだけでも廃業は両手でも数え切れませんし、休業はもっと多い。休業といっても、再開させるつもりのない、辞めたくても辞められないお店が多い印象です。コロナショック下の飲食店を特に苦しめているものは、家賃と解約予告賃料の2つです」(居酒屋オーナー)

 東京都はただでさえ、ほかの都道府県より家賃が格段に高い。それに加えて飲食店の家賃は、オフィスを借りる家賃より1~2割ほど高く価格設定されているのだという。飲食店は、製造業と違って、在庫を売ることができない。今日失った売上を明日取り戻すことは、現実的には不可能なのだ。高い家賃を、日々の売上で何とか支払っていたという小規模な飲食店であれば、今回のような1カ月に及ぶ営業自粛に耐えることができるはずもない。

 加えて、多くの飲食店を、さらに苦しめているという解約予告賃料。解約日の3カ月前から6カ月前に行う解約予告から解約日までに支払う賃料のことだ。今、解約を申請したとしても、3カ月から6カ月間は家賃を払わなければならず、東京都では解約予告は6カ月前に設定されている物件が一般的だという。

「新しい店舗を2月にオープンさせましたが、緊急事態宣言が出されてから売上は想定の数%にまで落ち込みました。4月には閉店して既存店舗を守ることを考えましたが、6カ月の解約予告賃料があります。現在はそのお店を閉めていますが、10月まで家賃を支払い続けなければなりません。この状況なので、なんとか減免してもらえないか交渉しましたが、ムダでした」

 どうせ家賃を支払うのであれば、オープンさせて少しでも売上を上げればいいのではと考える人もいるだろう。しかし……。

「お客さんが戻らない状況では、開けるだけ赤字が増えます。換気のための設備やテーブルの配置を換えるなどの“コロナ体制”を取るにもお金がかかります。少しでも赤字を増やさないためには、現状、店を閉め続けるのがベストだと判断しました。こういった飲食店は私のところだけではありませんよ」

 まさに、行くも地獄、戻るも地獄という状況に追い込まれた飲食店は少なくないのだ。

【次ページ】行政の発言に失望、「怒るというよりはがっくり。もうやめちゃおうか」

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