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  • 2020/08/19

「プロセスマイニング」とは何か?ツール一覧や限界、今後の可能性を解説

「業務改善はしなければならないが、どこから手を付ければ良いのかが分からない」という悩みを抱える企業は多いことだろう。人の体と異なり、企業の病巣を明らかにする健康診断は、対象となる業務が多岐にわたり、かつ膨大であることから一筋縄ではいかない。そんな企業の現場業務を把握し、業務改善の対象とすべきポイントを効率よく絞り込む上で有効なのが、「プロセスマイニング」という手法である。国内でいち早くプロセスマイニングツールの提供に着手したKPMGコンサルティングのパートナー熊谷堅氏、シニアマネジャー安田壮一氏監修の上、解説する。

監修:KPMGコンサルティング、執筆:物流・ITライター 坂田良平氏

監修:KPMGコンサルティング、執筆:物流・ITライター 坂田良平氏

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業務改善やDXの打ち手として期待されるプロセスマイニングを解説する
(Photo/Getty Images)


プロセスマイニングとは何か

 「プロセスマイニング」とは、企業において従業員が行うさまざまな業務活動のログを取得し分析、業務プロセスを可視化することで、現状を把握して業務改善に活用する手法である。

 具体的には、業務遂行の過程で利用されるさまざまなシステムやアプリケーションにおけるアクティビティ・ログ、たとえば「申請」「受理」「承認」などのイベント発生に伴うログをプロセスマイニングツールを用いて取得することで、対象となる業務の処理パターンを可視化する。可視化することで、対象業務における手戻りやボトルネックなどの課題が抽出でき、業務改善すべきポイントを明らかにできる。課題があることは分かっていても、病巣の場所は特定できていないケースに有効だ。

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プロセスマイニングの概念図

 たとえばKPMG社が手掛けた事例の1つに、購買処理に問題を抱えていたある大手製造業がある[1]。

 同社でプロセスマイニングツールをERPに接続して業務の可視化を行ったところ、実際に行われていた業務処理の大半が、ERPにある標準処理に反する不透明なローカルルールで処理されていたことが分かった。同社はここにメスを入れてプロセスを可視化、自動化の実施も行ったところ効率化が進み、数千万ユーロの経費削減を実現したという。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)や業務改革において、「現状分析」は成果を左右する大事な出発点である。だが、従業員らからヒアリングを行い、業務に関係するシステムの利用状況を確認し、業務マニュアルをひもとき、関連する書類をつぶさに調べ……、というマンパワーに頼る旧来の現状分析手法は、大きな労力と時間を要する。

 プロセスマイニングツールを利用すれば、ERPや、各種の業務システムに接続、アクティビティ・ログを取得することで、効率よく、現状把握を行い、分析へと進めることができる。改善のポイントとなる、業務の病巣を効率よく、かつ的確に発見する役に立つのだ。

 つまり、プロセスマイニングは、RPAなどを使った自動化やDXの推進、BPRを行う際の、課題の抽出に有効なのである。

プロセスマイニングの2つの用途

 プロセスマイニングには、2つの用途がある。1つは、これまで述べてきた、「現状把握」を目的とした使い方である。業務分析の前段階として、現状を把握し課題を抽出するために用いられる。もうひとつの使い方は、企業において日々遂行されている業務内容を監視する、チェックツールとして使い方である。

 企業は常に社会からその健全性を問われている。人々が企業に求める健全性は年々厳しさを増してきており、個人情報の流出、談合などの不正取引、製品の瑕疵(かし)、さらにはその隠蔽などが発生しようものならば、企業は社会から大きな制裁を受けることになる。

 プロセスマイニングは業務システムから取得したアクティビティ・ログを利用して、問題が発生していないことを継続的に監視する役目を果たす。もし、企業の健全性が損なわれるような兆しがあれば、いち早く察知できる。つまり、不正リスク対策、コーポレートガバナンス、品質管理にも役立つと言える

 プロセスマイニングツールを「現状把握」のために利用した場合、ツールそのものがなにかの結論を導き出してくれるものではない。ツールが提示するのはあくまで現状であって、そこから業務改善につなげるためには「分析」というプロセスが求められる。対して、チェックツールとしての使い方であれば、プロセスマイニングツールが検知した、不正な業務プロセスに対するアラートそのものが、解決すべき課題となる。

 このように考えると、チェックツールとしての使い方のほうが、導入する企業側のマインドとしても、分かりやすいし、導入しやすいともいえる。KPMG社によれば、現在は「現状把握」「監視」の2つの用途の内、どちらかが著しく多いとは言えない、ということである。

 いずれにせよ、プロセスマイニングツールを導入している日本企業は、まだまだ圧倒的に少ない。国内マーケットの動向は、これから見えてくるだろう。

プロセスマイニングツール一覧

Celonis(独) Cogniteve Technology(伊) Signavio(独) Lana Labs(独)
会社設立時期 2011年 2013年 2009年 2016年
サービス名 IBC(Intelligent Business Cloud) mylnvenio Signavio Process Manager(SPM) LANA Process Mining
ユーザー動向 市場シェアNo.1。700社以上の大手企業(シーメンスやABB、BMW、米Uberなど)の導入実績あり。 市場シェアNo.2。欧米大手企業(イタリアのCredam銀行等)を中心に、600社以上の導入実績あり。 世界で1300を超える組織、100万人を超えるユーザーが利用。 Berliner Wassebetriebe、Telefonica、Heidelberg、Wipro、UMS+、INTERRLOLL、Regrit Partners等が利用。
特徴 SAPとの連携が強い。SAPや米Oracle等のERPや、米Salesforce.comのSFA(営業支援)などの代表的なサービス向けのテンプレートを持つ。 業務プロセスの可視化に加えて、シミュレーションに基づいたRPAの導入後の効果について算出可能。日本語マニュアル提供。 業務プロセスを簡単なシート定義で記述できる点。 業務プロセスの可視化と、プロセスパターンや処理時間、おレギュラープロセス、ボトルネック等、業務プロセスを分析し、課題の示唆まで可能にする。
国内参入 2019年2月に開始。2019年9月日本法人設立。KDDIでも導入。基幹システムとしてSAPを採用している企業を中心に導入が進展。 2019年1月。2019年3月にはマニュアルの日本語化を実施。 2019年10月、NTTデータイントラマートとパートナー契約。 2019年2月、Regrit Partners(コンサルティング会社、2018年1月設立)が提供開始。
国内販売店 SAP、三菱総研、UiPath等、合計10社とパートナーシップ契約を締結。 ハートコア:日本における3年間の独立販売代理店契約を締結。 NTTデータイントラマート Regrit Partners
代表的なプロセスマイニングツールの比較
(出典:「Global ICT Trend 働き方改革支援としてのプロセスマイニングツールの海外動向と国内の状況 : ハートコア社へのインタビュー」手嶋 彩子 / InfoCom T&S world trend report 2019.12)

【次ページ】プロセスマイニングの限界と可能性

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