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  • 2020/08/06

コロナで大躍進「ホームセンター」の好調は続く? 業界再編は必至なワケ

緊急事態宣言の休業要請から除外されたことも幸いし、新型コロナ禍で売り上げを大きく伸ばしているホームセンター。巣ごもり消費などでその存在意義が再発見され、今後の反動減も乗り越えられそうだ。しかし、伸びない市場規模、オーバーストアや異業種・異業態との競合など、業界を取り巻く環境は厳しいままである。小売アナリストの中井 彰人氏は、「業界の市場規模が伸び悩むのは必然で、生き残るには再編は必至」と指摘する。

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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コロナ禍で存在感を見せたホームセンター業界が抱える課題とは
(写真:川北茂貴/アフロ)

コロナ禍に強かったホームセンター

 ホームセンター大手の3~5月期(第1四半期)決算発表では、景気の良い数字が並んだ。

「DCMホールディングス、最終利益75.0%増」(6月29日)
「ケーヨー、最終利益3.6倍」(6月29日)
「アークランドサカモト、48.8%の最終増益」(6月15日)
「コーナン商事、29.5%増収、70.0%の最終増益」(7月13日)

 3月から5月にかけては新型コロナウイルスの上陸で日本中が浮き足立っていた時期。政府は4月に緊急事態宣言を出し、学校は休校、会社員の多くが通勤を控え在宅勤務を余儀なくされた。

 百貨店など営業を休止した小売店も少なくなかったが、その時期にホームセンターという小売業態は、食品スーパー、ドラッグストア、100円ショップ、ディスカウントストアなどとともに、感染拡大を横目に「特需」が生じ、なかなかに繁盛した。


 ホームセンター大手は、非上場のカインズを除いて、月々の既存店売上高を発表している。大手7社の中で「コロナ前」の2020年1月に前年同月比の既存店売上高プラスはケーヨーだけで、業界全体が業績不振に苦しんでいた。だが、2月、3月、4月、5月と右肩上がりで売り上げが伸び、2020年6月は7社全てがプラスになった。

 アークランドサカモトは30.6%増、ケーヨーは20.9%増、コメリは20.1%増、DCMHDは19.4%増と非常に好調で、伸びが1ケタにとどまったのはゴールデンウィークに休業して「コロナ特需」の波に乗り切れなかったLIXILビバだけだった。

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ホームセンター主要企業7社(DCMHD、ケーヨー、コメリ、コーナン商事、アークランドサカモト、LIXILビバ、ナフコ)の既存店売上高増減率の推移

6月の大型M&Aで変動、現在の業界序列は?

 そのLIXILビバは6月9日、実質無借金で財務内容抜群のアークランドサカモトの子会社になると発表された。新潟県が本社で売り上げ規模下位の企業がメガバンクから1,000億円余りを調達して首都圏地盤の上位企業にTOB(株式公開買い付け)をかけるという「下剋上M&A」だが、時の勢いは業界序列とは正反対。

 これにより、アークランドサカモト+LIXILビバ(店名はムサシ+ビバホーム)の売上高合計は3,011億円になり、ナフコを抜いて業界5位に浮上した。

ホームセンター業界の売上高順位
順位 企業名(カッコ内は主要店名) 売上高
1 DCMHD(カーマ、ダイキ、ホーマック、サンワ、くろがねや)+ケーヨー(ケーヨーD2) 計5,449億円
2 カインズ(カインズホーム) 4,410億円
3 コーナン商事(コーナン、ビーバートザン、ドイト) 3,746億円
4 コメリ(コメリ) 3,485億円
5 アークランドサカモト(ムサシ)+LIXILビバ(ビバホーム) 計3,011億円
6 ナフコ(ナフコ) 2,177億円
7 島忠(島忠) 1,507億円
注:売上高は島忠以外は2020年2月期または3月期。島忠の売上高は2020年8月期業績予想。カインズは非上場。

 2020年2月期決算ではDCMホールディングスがカインズに業界首位の座を明け渡したことが話題になったが、傘下の持分法適用会社ケーヨー(東証1部上場)の売上高を加えれば依然首位である。

 かつてコメリとコーナン商事が業界2強とみなされていたが、2006年の中堅3社の統合によるDCMホールディングスの誕生、風雲児カインズの躍進で業界地図が一変し、さらに大型M&Aで生まれた新勢力も上位をうかがう構図になった。

 2019年6月にプロ向け建築資材卸売店「建デポ」を子会社化し、2020年2月にドイトを買収して「コーナンドイト」に衣替えさせたコーナン商事の反撃も目が離せず、ホームセンターの戦国時代はまだまだ続きそうだ。

ホームセンターのコロナ特需は“ラッキー”だった

 全世界で死者が続出したコロナ禍を「災害」とみなすなら、特定の国や地域に限定されない全地球的、全国規模の大災害に相当する。災害が起きると「特需」が起こるが、地震や豪雨と違うのは住宅や交通機関などの社会インフラが損傷を受けていない点で、住宅修繕や復興工事などのハード関係の特需は出ない。

 ホームセンターにとってのコロナ特需は、まず、水や日用雑貨の買いだめなど生活関連商品に出た。感染防止用のアクリル板やビニールシートも品不足をきたした。

 それが一段落した4、5月頃になると「巣ごもり消費」が台頭し、テレワーク(在宅勤務)関連や自宅で長時間快適に過ごすための家具や小物、電車やバスの利用を避けるための自転車、休日に外出できないため始めた日曜大工(DIY)用品、ガーデニング用品、ペットとの時間が増えたことでペット用品などがよく売れた。

 元・みずほ銀行小売アナリストの中井 彰人氏は、「小売業の中でホームセンターはラッキーだった」と語る。

「緊急事態宣言が出て、東京都はホームセンターをいったん休業要請業種に指定しましたが、食品スーパー、ドラッグストアなどとともに『社会生活を維持するために必要な業種』と除外された経緯があります。ずっと店を開いていたおかげでお客さんを集めました」(中井氏)

【次ページ】「特需の反動減」が弱まっても業界再編必至のワケ

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