- 会員限定
- 2021/03/17 掲載
61%が見直しを検討。ザイマックス、オカムラらが考える「新・働く場所」の選び方
首都圏企業の61%が「働く場所の見直しが経営課題」と回答
この1年、人々の働き方と働く場所は大きく変化した。モデレータを務めたシェアリングエコノミー協会 事務局長 石山 アンジュ氏も、コロナ禍をきっかけに大分7割、東京3割という二拠点生活を開始したという。議論の冒頭、ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員 石崎 真弓氏は、あるアンケート調査を報告した。
この調査は、2021年1月、2回目の緊急事態宣言後に、ザイマックス不動産総合研究所が首都圏企業1005社に質問したもの。それによると、コロナ禍で出社を制限している企業は86%に上り、出社率も平均40%となっている。この結果に、石崎氏は「日本ではなかなかテレワークが進まないといわれますが、意外にすごく健闘しているという証拠ではないでしょうか」と感想をもらした。
「この調査では、ワークプレイスの見直しが経営課題であると答えた企業が61%にも達しました。ワークプレイスを経営課題に引き上げ、取り組もうとしているのは大きな変化だと思います。また、収束後も出社を制限したいと考えている企業が75%もあり、出社率も半分程度に抑えたいと回答しています。こうした傾向は大企業だけでなく、中堅中小企業にも見られ、この意向どおりになっていくとしたら、今後オフィスの使われ方はかなり変わってきます」(ザイマックス総研 石崎氏)
個人の働き方は二極化が進行中
それでは個人の働き方はどうだろうか。オカムラ DX推進室長・WORKMILLエバンジェリストであり、point0 取締役でもある遅野井 宏氏は次のように見ている。「在宅勤務、サテライトオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペースと働く場所の選択肢は多様に増えました。しかし、業務上オフィスから離れられない人もおり、また、そうではないにも関わらず出社を続けている個人はまだ多いのではないでしょうか」(オカムラ 遅野井氏)
つまり、状況は二極化しているのだ。その理由はどこにあるのだろう。遅野井氏はこう続けた。
「コロナ禍を契機に、会社はそうせざるを得なかったところもあり、働き方に寛容になりました。働く場所をどう選ぶかは今や個人の主体性にかかっており、挑戦するかどうかだけの問題です。しかし、今までそうだったからと、現在起こっている変化を漠然と受けとめて出勤し続けている人もまだいるように思います」(オカムラ 遅野井氏)
「働く」を支援するテクノロジーの現在地
働くをサポートするテクノロジーの現在地に関して指摘するのは、tonari 代表取締役 川口 良氏だ。同氏はグーグルの元エンジニアで、同僚たちと起業し、等身大でビデオ会議ができるシステム「tonari」を完成させた。
「グーグル時代、GmailやGoogleハングアウトを使って、タイムゾーンを超えて遠隔で協業できるようになってはいました。しかし、同社もインスピレーションの源泉はやはり人と人のコミュニケーションにあると考えており、会社で昼食や夕食を用意するのも、社員の出会いを促進するためです。テクノロジーがテレワークを支援していますが、現在のビデオ会議システムにはまだ『ネットワーク遅延』という制限があります。一般的に150ミリ秒を超えると自然な会話が難しいといわれています。この問題を解決したいと開発したのがtonariでした」(tonari 川口氏)
【次ページ】方程式が通用しなくなった今、オフィスはどう選ぶべきか
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR