• 2021/12/18 掲載

瀬戸内寂聴さんが「好きなことがその人の才能」と語る深すぎる真意(2/2)

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都合が悪いことは忘れても構いません

まなほさん:えっ、なぜですか?

寂聴さん:深く考えない、なんて(笑)。

まなほさん:でも、考えるよりもまず、体が動いているという感じがします。安保法案反対デモや脱原発十万人集会などに参加したときもそうでした。

寂聴さん:デモや抗議集会などに参加するのは、ずっと前からそのことについて考えているからできることです。

まなほさん:でも、車椅子でないと移動できないし、その日にお客さんが来ることが決まっているのに、それをなげうってでも出かけて行くというのは、やはり行動力のたまものだと思います。国会議事堂の前で行われた安保法案反対のデモのときは、「死んでもいいから行く」とまで言いました。

寂聴さん:これは絶対にやっておかなくては後悔することになると思うから、そうするのです。これまでもずっとそうしてきました。

まなほさん:原稿を書くときも、そう思ってくれたらうれしいです。たしかに、月に四本も五本も連載を抱えて書き続けるというのは大変でしょうが……。

寂聴さん:原稿を出さなかったことは、私は一度もないはずです。

まなほさん:いいえ、何回か落としたことがあります(笑)。「しんどい」とか、「もう書けない」とか言って、連載を休載したこともありました。

寂聴さん:本当?

まなほさん:自分にとって都合のいいように考えています。

寂聴さん:都合の悪いことは、すぐ忘れます。

まなほさん:本当にそうです(笑)。でも、それが長生きするコツかもしれませんね。都合の悪いことはさっさと忘れる。私などはイヤなことを言われると、それがいつまでも心に残って、精神的によくありません。

寂聴さん:忘れるのも、一つの才能です。人間には忘却という不思議な才能が与えられています。

やらないで後悔するよりも やって後悔するほうがいい

まなほさん:「どうせ運命なのだから、やってもムダ」と人から言われて、やる前にものごとをあきらめる人もいます。

寂聴さん:人から言われて、やりたいことをあきらめるほど、つまらないことはないと思います。他人の言うことなど、全部いい加減だと思って聞き流せばいいのです。その人のためになることを言ってくれる人など、めったにいません。言うことといえば、やきもちやおだてから生じたことがほとんどですから、他人の言葉で自分のやることを決めたりしてはいけません。

まなほさん:そもそもやってみなくてはわからないことだから、「やってもムダ」、「意味がない」などと思わず、とにかくやってみるということですね。他人の言葉で、自分の可能性を狭める必要はない。

寂聴さん:その通りです。他人が何を言おうが、やってみたら案外うまくいくかもしれません。やはり、ものごとはやってみなくてはわからないのです。どうしようか迷ったときは、一か八か、やってみるほうに賭けたほうがいいと思います。私はそのほうが好きですし、そう思って、自分がやりたいと思ったことは何でもやってきました。覚悟して何でもやってみる。そのほうが後悔をしなくて済みます。

まなほさん:やらないで後悔するよりも、やって後悔するほうがいいということですね。

寂聴さん:私はもう百歳になりますから、明日、死ぬかもしれません。死ぬ間際になって「あれをやっておけばよかった」という、やらなかったことに対する後悔と、「あれをやらなければよかった」という、やってしまって失敗したことに対する後悔の二つがあったとしたら、私は「あれをやっておけばよかった」という後悔のほうがイヤですね。

まなほさん:たしかに、やってもいないのにあきらめていたら、「どうしてあのときにやらなかったのだろう」という後悔が、一生、つきまとうかもしれません。例えば、好きだった人に対しても、「もしかして、あのときに思い切って告白をしていたらどうなっていただろう」と思うことがあります。ですから、何でもかんでもとりあえずやってみるということですね。

寂聴さん:何でもかんでもじゃありませんよ(笑)。

まなほさん:でも、自分が思ったことは、やってみたほうがいいということですよね。

寂聴さん:どうしてもやりたいことは、やってみたほうがいいということです。

まなほさん:結局、それがムダかどうかなんて考えないことですね。何がムダかわかるほど、人は賢くはないとも言えます。だから、やりたいことはやってみたほうがいい。

寂聴さん:そうです。何でもやってみたほうがいいです。

※本記事は『今を生きるあなたへ』を再構成したものです。続きをお読みになりたい方はぜひ本屋でも手に取ってください。

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