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  • 2022/02/18

優秀な学生は「ミネルバ大学」を選ぶ理由、なぜハーバード大学より人気があるのか?

【連載】成功企業の「ビジネス針路」

リーダー企業の強みを弱みに変えてジレンマに陥れる「ジレンマ戦略」。今回取り上げるのは企業ではなく、米国ミネルバ大学の戦略を紹介します。ミネルバ大学は、オンライン授業による全寮制の大学ですが、なんと普通の大学には必ずある「キャンパス」「講義」「テスト」がありません。それにも関わらず、世界中から多数の希望者が集まり、ハーバード大学よりも入学するのが難しい大学と言われています。なぜ、ミネルバ大学は世界中から優秀な学生を惹きつけることが出来るのでしょうか。その秘密は、ミネルバ大学の秀逸なジレンマ戦略にあります。

執筆:社内企業家 平塚隆介

執筆:社内企業家 平塚隆介

大手エネルギー会社勤務。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得後、給油所での個人向けカーリースを会社に提案し、初期投資2億円でゼロから1,500億円のマーケットを創出。その後も新規事業に携わり、現在はプロジェクトの責任者として黎明期にある国内での洋上風力発電事業に携わる。専門はビジネスモデル、事業戦略。500以上の事例をもとに、弱い企業が強い企業に打ち勝つための方法論を構築し、日々実戦で活用を行っている。

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ミネルバ大学の滞在場所(世界7都市)。王者ハーバード大学がどうしても真似できない…ミネルバ大学とは?なぜ世界中のエリートは、ミネルバ大学に入学したがるのか?(後ほど詳しく解説します)



ミネルバ大学とは

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ミネルバ大学創業者
ベン・ネルソン氏
 ミネルバ大学は、シリコンバレーの起業家ベン・ネルソン氏と、ハーバード大学の元社会科学学部長であったスティーブ・コスリン教授が、2014年に開校した米国サンフランシスコに本部のある4年制大学です。創立後間もないものの、世界中から毎年2万人以上が応募し、その合格率はわずか2%と世界最難関の大学と言われています。

 中にはハーバードやスタンフォードなどの超一流大学を辞退して来る学生もいます。前述した通り、ミネルバ大学には普通の大学には必ずあるものがありません。

(1)キャンパスがない
 ミネルバ大学は、校舎や図書館、運動グラウンドなどの学校施設を持っていません。同大学は全寮制(学生寮は賃貸)となっており、サンフランシスコ、台湾、ブエノスアイレスなど世界7カ国の都市に滞在しながら、授業を受けることとなります。滞在する都市そのものがキャンパスと位置付けられています(現在は、コロナ禍の影響で5カ国)。
(2)講義がない
 ミネルバ大学の授業の最大の特徴は、すべての授業がオンラインで行われていることです。授業は、学生同士のディスカッションが中心で、必要な知識は事前に学習した上で授業に臨みます。教員は、知識を説明するための講義は行わず、授業中に10%以上話してはいけないルールとなっています。
(3)テストがない
 授業内容はすべてPC上で録画されており、教員は学生の授業中の発言や活動状況を確認した上で、学生へのフィードバックや成績評価を行います。録画された授業内容は教員の評価やフィードバックにも使われます。これは、「実社会ではテストが行われることがない」ことが理由となっています。

ミネルバ大学の人気の理由は?

 上記の通り、キャンパスも、講義も、テストもないミネルバ大学がなぜ高い人気を誇っているのでしょうか。主な理由を以下にまとめてみます。

 1つ目は、独自の教育プログラムです。授業は、アクティブラーニング(生徒が能動的に学ぶ学習法)を実践するため、独自開発のオンライン・プラットフォームを活用して、学生からのリアルタイムでのフィードバックを基に進められます。各学生の表情や課題の進捗が把握できる、グループ討議が瞬時にできるなど、オンラインのメリットを最大限活用しています。

 もう1つの特徴として、世界7カ国に滞在しながら、企業、自治体、NPOとの共同プロジェクトなどのオフラインによる教育プログラムを通じて、実践的な問題解決スキルを習得が可能となっています。


 2つ目は、質の高い教員です。前述の元ハーバード大学のコスリン教授をはじめ、ミネルバ大学には、質の高い教員が揃っています。ミネルバ大学の教員には、通常の大学教員に与えられるテニュア(終身雇用の保証制度)も、大学の研究施設もありません。それにも関わらず、オンライン授業のため勤務地の制約がないこと、年功序列ではなく授業内容によって評価が決まること、最新の教育理論に基づいた教育方法を実践することが出来ることから、特に若くやる気のある教員にとっては、魅力的なポジションとなっています。

 3つ目は、学費です。たとえば、ハーバード大学の学費は年間500万円にも及びます。これに対し、ミネルバ大学の学費は年間150万円程度とハーバード大学の3分の1以下となっています。受験料は無料で、財務支援制度も充実しており、アフリカや東南アジアなど、所得水準の低い国々の学生にも門戸を開いています。実際、ハーバード大学は約3割が国内の学生なのに対して、ミネルバ大学では約8割が留学生となっています。

 こうして、世界中から選りすぐられた優秀な学生や教員が集まり、「高等教育を再創造した大学」として、教育関係者やメディアからも高い評価を得ています。

 こうしたミネルバ大学の人気を受け、王者ハーバード大学がミネルバ大学と同じような戦略(同質化戦略)をとってしまえば、ミネルバ大学には打ち手が無くなってしまうのですが、実際はそのような結果とはなりませんでした。それは、ミネルバ大学の戦略上の打ち手が優れていたからにほかなりません。

 ここからは、ハーバード大学の戦略とミネルバ大学の戦略をそれぞれ比較しながら、ハーバード大学がどうやってもミネルバ大学に勝てない理由を解説していきます。

【次ページ】「ハーバード大学」が「ミネルバ大学」を真似できない理由

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次のページでは、ハーバード大学とミネルバ大学の戦略を比較し、ハーバード大学がどうやってもミネルバ大学を真似できない理由を解説します

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