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  • 2022/11/18 掲載

EC業界の世界ランキング:2位アマゾンに圧倒的な差をつけたトップ企業とは?

連載:あの業界のグローバルランキング

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インターネットの普及、コロナ禍を追い風に、小売りの主要チャネルの座を獲得したEC(eコマース=電子商取引)。EC企業のグローバルランキングを見ると、IT先進国の米国、EC大国の中国が市場をけん引していることがわかる。ただし、先進国市場を中心に信用問題、環境問題といった、ECの発展を阻む壁も立ちはだかっている。そうした壁を乗り越える方法として、リアル店舗とECを併用するOMO(Online Merges with Offline)が注目されており、既存の小売店のEC進出、大手ECによるリアル店舗のM&Aなど、リアルとデジタル入り乱れての小売市場の争奪戦は白熱化している。

執筆:野澤 正毅

執筆:野澤 正毅

1967年12月生まれ。東京都出身。専門紙記者、雑誌編集者を経て、現在、ビジネスや医療・健康分野を中心に執筆活動を行っている。

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生活インフラとなりつつあるECをグローバルで比較
(Photo/Getty Images)

小売市場をけん引する中国でEC化率が急上昇

 インターネットの世界的な普及によって、ECも急拡大している。ECには、BtoBのネット市場などもあるが、我々の買い物手段として、生活にすっかり根付くようになったのが、BtoCのネット通販だ。

 スマートフォンが広く行き渡るようになったことから、いつでも、どこでもネットショッピングができるようになり、ECの普及を後押しした。さらに2020年以降、新型コロナウイルス感染予防のために外出制限、取引の非接触化が推進された結果、「巣ごもり需要」でECの利用に拍車がかかったことは、ご存じの通りだ。

 経済産業省の調査によれば、2019年の世界全体で、小売市場に占めるECの割合は14.1%、BtoCのEC市場規模は400兆円以上に達したと推計されており、EC化率は2023年までに22.0%に上昇すると予測されている。とりわけ、世界の小売市場をけん引する中国で、EC化率が高まっているのが大きい。なお、日本の2019年のEC市場規模(BtoC)は、約19.4兆円(サービスなども含む)と見なされている。

 ただし、商品のカテゴリーによって、EC化率にはバラツキがあるようだ。商品の品質が均一な家電、事務機器・用品、書籍などはEC化率が高く、品質チェックが不可欠な生鮮食品、フィッティングが必要なファッション、自動車といった高額品は、EC化率が低い傾向にある。


ECがここまで拡大した理由

 ECの拡大は、ほかの既存の小売チャネルから、消費者がシフトしていることを示す。その主な理由はいくつかある。

 1つは、既存チャネルを上回る利便性。顧客は画面の操作だけで、商品選択から決済までの手続きを完結することができる。リアル店舗へ買い物に出掛けなくていいので、荷物を持ち帰る手間がかからないのはもちろん、申込用紙を送付しなければならなかったカタログ通販など“既存の通販”に比べても、買い物が楽なのだ。

 もう1つは、今までになかった利便性や買い物体験。ネットを活用するので、全国津々浦々のさまざまな商品を探して、購入できる。場合によっては、「越境EC」で海外の商品を買うこともできる。条件で検索すれば、ニーズに合った商品を見つけやすいし、同じ商品なら、ネットショップの価格も即座に比べられるのだ。投稿サイトで、既存のユーザーの「口コミ」を確かめることもできる。

 そのほか、通販の共通点だが、リアル店舗の運営コストがかからない分、商品の本体価格(送料は別)を引き下げやすいといったメリットもある。

 ECの“業態”には、いわゆるリアルの路面店と同じような自社サイトがある一方で、バーチャルのショッピングモールである「ECモール」もある。ECモールは、出店コストが重いといった難点もあるが、自社でサイト管理する負担がなく、集客力も大きいといった利点があり、ブランド力の弱い企業が出店を選ぶケースも多い。

EC業界の世界ランキング:上位を占めたのは中国と米国

 UNCTAD(国連貿易開発会議)がまとめた2020年のEC(物販やサービス)の流通総額グローバルランキングを見ると、「EC大国」である中国勢、「IT先進国」である米国勢が、上位を占めているのが目を引く。

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EC業界の世界ランキング
(出典:Top B2C e-commerce companies by GMV 2020(UNCTAD))

 第13位となったのは、日本でも旅行好きに知られる米国のAirbnb(エアビーアンドビー)。バケーションレンタルサービスでは世界最大手と言われる。2007年に誕生し、ホームステイを受け入れるホスト、貸別荘などのオーナーと、ユーザーをつなぐマーケットプレース(ネット市場)を運営。「民泊」の概念も、同社のサービスがきっかけとなった。宿泊予約サイト事業も手がける。


 第12位には、同じく米国のブッキング・ホールディングスがランクイン。1998年の創業だがM&Aを積極的に展開、旅行関連のオンラインサービスでは世界有数の事業規模に成長した。ホテルなどの宿泊予約サイト事業では世界最大級の、ブッキングドットコムを傘下に収める。

 第11位は、これまた米国勢のエクスペディア。1996年に設立され、オンライン旅行代理店としては世界トップクラスだ。同社もM&Aを果敢に進めており、同グループの宿泊予約サイト「ホテルズドットコム」や宿泊料金比較サイト「トリバゴ」は、日本でもTVCMで有名になった。

【次ページ】トップ10を解説「唯一の日本企業」「アマゾンを抜いた1位企業」

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