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  • 2023/02/06 掲載

ディズニー、テーマパークを「メタバース」に 旅行・観光業界で広がる新常識

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リテール、エンタメなどさまざまな分野で試行錯誤が続くメタバースの取り組み。観光分野でも消費者のメタバース利用への関心が高く、ディズニーなどの企業からバリなど行政が推進するものまで、さまざまなプレーヤーによるメタバース取り組みが増えている。そんな観光分野における新常識を探ってみたい。

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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観光業界で広がるメタバースの取り組み。ディズニー・行政などさまざまなプレーヤーが推進
(Photo/Getty Images)

観光で消費者のメタバース関心高く

 メタバースの普及には、技術や投資などさまざまな要素が重要となってくる。消費者の関心・需要もその1つといえるだろう。

 消費者がメタバースに高い関心を示す分野の1つが旅行・観光産業だ。

 オンライン予約大手Booking.comの最新調査では、旅行先を決める際に仮想空間でまず旅行先の雰囲気を体験してみたいとの回答割合が43%、また仮想空間での旅行体験ができれば、その旅行先を選ぶ可能性が高まるという回答割合が46%という結果となった。さらに、メタバースで数日に渡り旅行体験をしてみたいとの回答割合は35%と、3人に1人がメタバースでの複数日旅行を希望していることが判明した。

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人気の旅行タイプランキング
(出典:Booking.com

 このBooking.comの調査は、2023年の旅行トレンドを分析するために、2022年8月ごろに32カ国、2万4179人を対象に実施されたもの。各国のサンプル数は500~1000人ほど。

 同調査では、テクノロジーを使い、旅行費用を節約したいと考える人の割合が高いことも明らかになっている。世代別の割合は、ミレニアル世代(25~40歳)が69%、X世代(41~56歳)が66%、Z世代(18~24歳)が62%、団塊の世代(57~75歳)でも55%と半数以上がテクノロジーを利用すると回答しているのだ。

 これは、旅行支出に対する体験価値を最大化したい意識が高く、そのためにテクノロジーを進んで利用する人が多いことを示す数字といえる。メタバースで旅行先の雰囲気・環境を確認してから、「ハズレ」にならないように旅行先を決める人が増えてくる可能性を示唆するものでもある。

 マッキンゼーの調査レポートでも、旅行がメタバースで消費者の関心が高いアクティビティの1つであることが判明している。調査レポート「Value creation in the metaverse」によると、メタバース市場の価値は2030年に5兆ドルに達する可能性がある。その中でも消費者の関心が高い分野として、ソーシャル、エンタメ、ゲーム、旅行、ショッピングが挙げられているのだ。

 メタバースにおける旅行に関しては、調査対象となった消費者の62%が関心が高いと回答。アクセスが難しい場所や魅力的な場所へのバーチャルトリップ、またタイムトラベル、宇宙旅行などへの関心が高いと回答している。

先行的なメタバース投資を進める、ディズニーの動向

 メタバースに対する消費者の関心が高いことを示す調査が複数発表される中、一部の旅行・観光関連企業で先行的なメタバース投資や取り組みが増えつつある。

 特に注目されるのはウォルト・ディズニーの動向だ。



 Verdictが報じたGlobalDataの雇用トレンドデータによると、2021~2022年にかけて世界ではAR/VR関連の雇用数が218%増加したという。このうち観光産業でAR/VR関連雇用が顕著に増えたのがウォルト・ディズニーである。2022年第1四半期の投資家向け発表では、同社CEOがメタバースの重要性を指摘、またメタバース戦略遂行のため、責任者を選定したことが明らかにされた。

 また、ディズニーが2022年に獲得した特許からもメタバース投資・取り組みに注力していることが垣間見える。この特許は「simultaneous localization mapping(SLAM)」という技術を活用し、現実世界のテーマパークの乗り物に乗りつつ、3D仮想体験を可能にするもの。実物のキャラクター、アートワークなどにホログラムを投影できるといえる。

 同社は、自社のメタバースに関する取り組みを進めるために、人事面でも積極的な動きを見せている。2022年5月には、アップルのゲーム部門責任者であるマーク・ボゾン氏を引き抜き、部門横断のメタバースイニシアチブ「Next Generation Storytelling」のシニアクリエーティブ・ディレクターに抜てきした

【次ページ】バリやスペイン、行政主導でメタバースの取り組み開始

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