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  • 2023/02/28 掲載

対話型AIは「仕事」を激変させる? 日本では「企業内失業者」が増えるかもしれない理由

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AI(人工知能)の急激な進化によって、ビジネスの現場が大きく変わろうとしている。社会のAI化によって多くの仕事が消滅するとの予想は以前から存在していたが、対話型AIの本格普及によって、そのペースがさらに加速しそうな状況だ。

執筆:経済評論家 加谷珪一

執筆:経済評論家 加谷珪一

加谷珪一(かや・けいいち) 経済評論家 1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)、『新富裕層の研究-日本経済を変える新たな仕組み』(祥伝社新書)、『教養として身につけておきたい 戦争と経済の本質』(総合法令出版)などがある。

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社会のAI化によって多くの仕事が消滅するとの予想はあったが、対話型AIの登場は、そのペースを加速させるかもしれない…
(Photo/Shutterstock.com)

対話型AIは決して万能ではない

 米マイクロソフトは2023年2月7日、同社の検索エンジン「Bing」に、新しい対話型AIを搭載すると発表した。同社が搭載する新しいAIエンジンは、米オープンAIという新興企業が開発したものである。マイクロソフトは、同社の高度な技術に着目し、数十億ドルの追加投資を発表している。

 マイクロソフトのライバルとも言えるグーグルは、新しく台頭した一連のAI技術を脅威と捉えており、全社をあげて対応するよう社内に指示したとされる。グーグルは新しい人工知能を早速、公開するなど、各社がしのぎを削る状況となっている。

 一連の新しいAI技術は、従来とどこが違うのだろうか。

 最大のポイントは人間との対話能力である。AIはすでに家庭にも普及しており、人と会話ができるホームスピーカーなど、多くの製品が販売されている。だが、こうした従来型AIは、難しい質問をすると「よく分かりません」などとしか返答できないケースも多く、「あたかも人間と対話するかの如く」という状況には至ってなかった。だが、近年、開発が進んでいる対話型AIは、驚異的な進歩を見せており、難しい質問でも、ごく自然な形で何らかの回答を返してくれる。

 もっとも、自然な言葉で回答してくれるからといって、対話型AIが万能というわけではない。当該AIが優れているのは対話能力であって、どのデータセットを参照したのかによって、AIとしての能力は決まってしまう。簡単に言ってしまえば、会話能力が上がっただけで、肝心の中身については、従来型AIと大きく変わるものではないだろう。

 だが、とりあえず自然な文章が作成されるというのは大きな変化であり、対話型AIを使ってレポートを自動作成する学生が増えるのではないか、なりすましなどがあるのではないかといった懸念が各方面から出されている。こうしたリスクがあるのは事実だが、AIの能力そのものが人間を超えたわけではなく、現時点においては過剰な懸念は不要であり、対話型AIに過大な期待を寄せる必要もないと考える。

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対話型AIの登場に対し、過剰な懸念は不要だが、ビジネス現場のIT化という部分に焦点を絞ると、影響は大きい…
(Photo/Shutterstock.com)

限定された環境下では絶大な効果を発揮する

 しかしながら、一般的なビジネス現場のIT化という部分に的を絞ると、対話型AIの普及がもたらすインパクトは大きいと筆者は考えている。

 対話型AIの最大の特徴は、ほとんどの質問に何らかの形で意味が通る答えを返してくる点にある。だが回答の中身については、先ほども指摘したように参照したデータセットやAIが持つアルゴリズムよって変わってくる。現時点において、社会に流通するデータを網羅的に参照し、間違いがなく、かつ倫理的な問題を回避した上で、適切な回答を返してくれる汎用エンジンを構築するのは難しいだろう。

 だが、限定された環境下であるならば話は変わってくる。

 AIの技術は、人間の新しい頭脳となり得るものだが、AIを人間が適切に操作するためには、AIとうまくコミュニケーションを確保することが重要となる。AIを操作するために特別な能力が必要ということであれば、従事できる人材が限られてしまうため、社会の隅々までAIを行き渡らせるのは不可能との判断にならざるを得ない。

 一方、企業の現場など、参照するデータが限られており、AIが対応する範囲にも制限をかけられる状況であれば、大きなリスクを伴わずAIを運用できる道筋が見えてくる。具体的に言うと、企業の情報システムへの応用である。

 対話型AIがビジネスの現場に浸透すれば、あたかも同僚や上司と対話をするが如く、システムに対して業務の指示を出せる。従業員が口頭でやり取りするだけで、システムが自動的に業務を遂行することが可能となるのだ。 【次ページ】AIで「仕事・働く人」の関係はどう変わるのか?

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