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  • 2024/01/29 掲載

実はそれ「タイパ激下がり」してます、“今日締め切り”のタスクに潜む「ある罠」

連載:何がなんでも定時で帰るためのタイパ仕事術

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毎日、急ぎの仕事に対応し、汗だくになって働いた後、ビールを飲みながら同僚と「今日も乗り切ったな」と一息つく。実はそんな働き方は、「タイパがいい」からはほど遠い状態です。そんな状態を改善するには、仕事でおろそかにしがちな「あるタスク」に力を入れることが不可欠です。一体そのタスクとは何なのかを解説します。

執筆:アイ・コミュニケーション代表取締役 平野 友朗

執筆:アイ・コミュニケーション代表取締役 平野 友朗

一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事
株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役

1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学を専攻。広告代理店勤務を経て独立。2004年、アイ・コミュニケーションを設立。2013年、一般社団法人日本ビジネスメール協会を設立。ビジネスメール教育の専門家。メールのスキル向上指導、組織のメールのルール策定、メールを活用した営業力強化、メールコミュニケーションの効率化や時間短縮による業務改善など、支援実績は多岐に渡る。これまでに研修やコンサルティングを行った組織は、官公庁から民間企業、団体や学校に至るまで5000を超える。年間150回以上の研修やセミナーでの講演、1500回以上のメディア掲載、2003年から続くメルマガ「毎日0.1%の成長」を通じて、ビジネスメール教育の普及に力を注いでいる。著書は「仕事ができる人は実践している!ビジネスメール最速時短術」(日経BP)、「そのまま使える! ビジネスメール文例大全」(ナツメ社)など34冊。

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仕事に忙殺されてタイパが上がらない理由とは
(Photo/Shutterstock.com)

『7つの習慣』で考える仕事の「4領域」

 タイパを向上させるには、業務におけるタスクを適切に棚卸することが不可欠です。

 その分類に役立つのが「時間管理のマトリックス」と呼ばれる方法です。この方法は有名なビジネス書『7つの習慣』で紹介された概念であり、時間管理と優先順位付けに関する強力なツールです。自分の仕事を見直すときにも活用できるほか、優先順位を考えるときの参考にもなります。

 このマトリクスは、活動(仕事)を「緊急」と「重要」の軸で分類します。「緊急である」「緊急ではない」×「重要である」「重要ではない」ということで、次の4象限に分類されます。

 左上の第1領域は「緊急かつ重要」な仕事が対象で、締め切りのあるタスク、クレーム対応、事故対応などがこれにあたります。即時の対応が求められる重大なタスクや危機対応が含まれます。

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「時間管理のマトリックス」における仕事の考え方
(筆者作成)

生成AIで1分にまとめた動画


 その横の第2領域は「重要だが緊急ではない」仕事です。知識習得のための学習、人間関係の構築、会議などへの準備や業務改善などがこの第2領域にあたります。長期目標に対する計画や個人的な成長なども含まれます。

 左下の第3領域は「緊急だが重要ではない」仕事が該当します。突然の来訪や電話、重要度の低い会議、メール処理などです。相手からの要請により発生するものが多く含まれるのが特徴です。

 その横の第4領域は「緊急でも重要でもない」仕事のことで、無価値な活動や時間の浪費を意味します。仕事中のネットサーフィンや行きたくない懇親会、待たされている時間などが当たるでしょう。プライベートならば、テレビを見ている時間やゲームの時間もここにあたるかもしれません。

 この4領域を頭に入れた上で、自分の仕事やプライベートのタスクがそれぞれどの領域に該当するか考えてみましょう。この際、1週間のタスクを付箋などに書き出し、該当する領域に貼り付けてみると整理しやすいです。

第1領域が多いのは「要注意」のワケ

 整理の結果、第1、第3領域の仕事が多かった方は注意する必要があります。というのも、これらの領域に該当する仕事は緊急度が高いため、こなしていると達成感が強く「仕事をしている感」を持ちやすいのですが、第1・第3領域の仕事を多くこなすことと、生産性の高さは必ずしも比例しないからです。

 第1領域の仕事の具体例を挙げると「今日が締め切りの提案書作成」や「今日が締め切りの見積書作成」、「今日が締め切りのアンケートの回答」などがあると思います。

 ではこれらの仕事は、そもそも「今日」発生したものでしょうか。

 第1領域の仕事のうち、多くは数日前~1カ月以上前に発生していたはずです。つまり、締め切りはまだ先だからと、対応を後回しにしていた結果、締め切りの当日になって慌てて対応しているだけのタスクということがあり得るのです。

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締め切り当日になってタスクに忙殺されるケースは要注意だ
(Photo/Shutterstock.com)

 また、もともとは第2領域の仕事であったはずなのに、それを放置していた結果、第1領域に移動してしまったタスクもあるはずです。これも単なる問題の先送りでしかありません。こうした先送りは、一時的にはストレスを減らすかもしれませんが、問題の先送りは、時間管理の観点から見ると生産性を低下させ、結果的にストレスや不満を増加させる原因となります。また、長期的には問題を複雑化し、さらなる困難を生み出す可能性があることも留意しておきましょう。

 さらに、このように第1領域の仕事を複数抱えていた場合で困るのは、追加で第1領域の仕事が飛び込んでくるケースです。たとえば、クレーム対応や事故対応など、今発生してすぐに処理しなくてはいけないイレギュラーな対応を想定してみてください。

 当然ですが、人が処理できるキャパシティには限りがあるため、第1領域の仕事があふれてしまい、期限内に対応できないものが出てきます。その場合、各方面に調整をしたり、お詫びをしたりさらに無駄な時間を生むことになってしまうのです。 【次ページ】ネットサーフィンは無駄じゃない?

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