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- 2024/06/05 掲載
繁殖しまくり「転売ヤー」をどう撃退? 極悪転売に終止符を打つための「11の対策」
【連載】現役サプライチェイナーが読み解く経済ニュース
転売ヤーが稼げる仕組みを解説
筆者の専門である需要予測は、製造業だけでなく、小売業や外食サービス業など、さまざまな業種で必要になる機能です。消費者による購買行動の前に、いつ、どれくらい必要とされるかを商品別で予測することで、タイムリーに顧客ニーズに応えられるだけの原材料や人員、設備などを用意できるようにします(図1)。似た言葉に需給予測というものがあります。これは、正確には需要と供給を予測するというもので、商品を生み出さない第3者が行います。商品を通じて価値を生み出す製造業などは、需要予測に基づいて自身で供給を計画するものであり、需給予測はしません。
需給予測は、基本的には価格を予測することが目的になります。石油の需給予測が想像しやすいと思いますが、需給バランスは価格に大きな影響を与えるため、自身でプライシングできないプレイヤーにとって需給予測は重要です。
プライシングの方法としては、商品を供給するためにかかったコストをベースに組み立てる考え方や、競合に対抗する考え方もあります(図2)。ただ、顧客が感じる価値を的確に捉えたプライシングができれば、利益を最大化することが可能です。
一方、需要が供給に対して大きくなった場合には、価格を上げるという選択肢が挙がってきます。これは、ある商品に対し、もう少しお金を支払ってでも購入したいと考えている顧客が一定数いると考えることもできるからです。転売ヤーはこの需給バランスの乱れを狙って利益を稼ごうとします。
転売ヤーが狙いがちの商品群
転売ヤーは、人気になる商品を見極めるという意味で、需要予測を行っていると言えます。一方、供給については予測しているというより、供給量がある程度決まっている商品を狙っていると感じられます。その方が供給を予測しなくて良い分、需給バランスの乱れを予測するのが容易だからです。たとえば、電車やスタジアムの座席のように、提供可能な数が決まっている商品が挙げられます。需要がそのキャパシティを大きく超えそうであれば、顧客は正規の販売価格よりも支払って良いと考える可能性が高く、転売のメリットが大きくなります。
ほかにも、数量限定発売など、供給量が決まっている商品が転売ヤーに狙われやすいと言えるでしょう。これら供給量が決まっている商品は、個人が大量に購入することによっても需給バランスを乱しやすいのです。
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