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  • 2018/04/19

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは何か? 基礎からわかる仕組みと導入方法

「全体最適」を目指す経営管理手法、「サプライチェーンマネジメント」(SCM)。2000年頃に一度ブームになったが、近年、再び注目され始めた。それはなぜなのか? 改めてサプライチェーンマネジメントの仕組みやメリット・デメリットをおさらいするとともに、SAPやオラクルが手掛けるITソリューション、実際の導入プロセスなどについて基礎から解説する。

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サプライチェーンマネジメント(SCM)とは? なぜ今、再注目されるのか?
(©j-mel - Fotolia)

サプライチェーンマネジメントとは

 サプライチェーンマネジメントの「サプライチェーン」とは、原材料が調達されてから商品が消費者に渡るまでの生産・流通プロセスのことで、直訳すれば「供給連鎖」となる。

 具体的には「原材料・部品調達 → 生産 → 物流・流通 → 販売」という一連のプロセスの連鎖のことを指す。これはサプライチェーンに関わる業者・人間の側面で見れば、「サプライヤー → メーカー → 物流事業者 → 卸売事業者 → 小売事業者 → エンドユーザー」という流れのこと。一方、情報やお金は、サプライチェーンと逆方向に流れることになる。

 サプライチェーンマネジメントとは、こうしたモノの流れ、お金の流れを情報の流れと結びつけ、サプライチェーン全体で情報を共有、連携し、全体最適化を図る経営手法のことだ。その場合、部分最適の和が必ずしも全体最適を意味するわけではなく、サプライチェーン全体のバランスを見て連携管理することが極めて重要となる。

 つまり、サプライヤー、メーカー、物流、小売の関係性を1つ1つを最適化するのではなく、サプライチェーン全体を統括して最適化を図るのがサプライチェーンマネジメントである。

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サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?

 中でも需要予測は非常に重要とされる。これが適切にできていないと、在庫管理が適正化されず経営を圧迫してしまう。そこで、サプライチェーン全体で需要予測に関する情報共有を行うことで、過剰在庫を防ぐことができる。必要なモノを、必要なときに、必要なだけ供給する「ジャスト・イン・タイム」がサプライチェーンマネジメントの基本といってもいいだろう。

サプライチェーンマネジメントが注目される背景

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 近年、多くの企業でサプライチェーンマネジメント(SCM)の構築・再構築が進んでいる。なぜサプライチェーンマネジメントが注目されているのか、大きくは以下の3つが考えられるだろう。

●企業のグローバル化

 企業のグローバル化が進み、生産、調達、販売をめぐる世界規模のネットワークが張りめぐらされている。グローバルな生産・物流プロセスの中では、各プロセスの情報を一元的に管理して全体最適を図らないと競合に後れを取ってしまう。このような状況下において、サプライチェーン全体でモノ・カネ・情報の流れを連携管理する必要性が高まっていることが、サプライチェーンマネジメントが注目される理由の一つである。

●労働環境の変化

 少子高齢化による労働人口の減少などの影響で、人手・人材不足が深刻化している。また、労働条件の問題などから、物流の配達員(トラックドライバー)も不足している。このように労働環境が変化している状況で、各企業はより効率的な物流の在り方を求められている。サプライチェーンマネジメントによって、仕入れ量を適正化して無駄な物流を省いたり、卸売企業、販売店舗などへの配達のタイミングを最適化する必要がある。

●ビジネスモデルの変化

 アマゾン、楽天市場などインターネットを利用した通信販売(EC)が普及し、販売と配送が一体化したビジネスモデルの台頭が著しい。今やほとんどのアパレルブランドがECに対応し、家具・家電などの大型商品も含めて、ECで購入できるモノは幅広い。フードデリバリーも充実してきており、出前非対応のレストランの料理を専門の配達員が配達する「UberEATS」という新しいサービスも登場している。このように、ビジネスにおいて販売と配送が切っても切り離せない時代となっている以上、サプライチェーンマネジメントによって、統合的な管理体制を構築することが求められている。

サプライチェーンマネジメントのメリットとデメリット

 メリットが多いサプライチェーンマネジメント(SCM)だが、同時にデメリットも存在する。システムの導入に踏み切る前に、メリット・デメリットの両方を理解しておこう。

●サプライチェーンマネジメントのメリット

・リードタイムの短縮
 リードタイムとは、工程の開始から終了までの時間のことで、仕入れ・生産・販売など、それぞれの業務に存在する。サプライチェーンマネジメントを行うことで、サプライチェーン全体でうまく連携が取れるので、リードタイムを短縮し、スピーディーな供給が可能となる。

・在庫の最適化
 在庫が過剰になると、商品の生産費用や在庫の保管費用がかさみ、経営を圧迫する。逆に、在庫が不足すると、販売機会を失い、顧客満足度を下げる要因となってしまう。在庫数は、多すぎず少なすぎず、適切な量を管理しなければならない。サプライチェーンマネジメントを行えば、各業務プロセスの情報を共有できるので、需要を予測し、供給計画や在庫数の最適化が可能になる。

・需要変動への素早い対応
 サプライチェーンマネジメントによって、各業務プロセスの情報を集約すれば、経営の課題や問題点も発見しやすい。サプライチェーンマネジメント向けのソリューションサービスを利用すれば、市場分析や需要変動の予測も行えるので、市場の浮き沈みに資金繰りを圧迫されないように素早い対応が可能になる。

・商慣行の世界標準化
 調達・生産・販売などを国内だけで賄えるケースは少なく、サプライチェーンはグローバルに拡大している。そのため、サプライチェーンを一元管理するためには、日本の商慣行を押し付けるのではなく、世界標準のビジネスルールで全体最適化を図らなければならない。必然的に世界ルールに従わなければならいというメリットにつながる。

・売り上げの最大化
 上記に挙げた4点のメリットによって、戦略的な情報管理・生産管理・品質管理が可能になる。これにより「スループット」の増大、つまり原材料の調達から販売までのサプライチェーンの流れがスピードアップし、売り上げを最大化させ、企業の業績を向上させることができる。

●サプライチェーンマネジメントのデメリット

 サプライチェーンマネジメントのデメリットとしては、導入に伴う業務プロセスの変更やソリューションサービスのシステム導入にコストがかかることが挙げられる。また、サプライチェーンマネジメントの実現には、多くのマンパワー(人的リソース)が必要となる。ただし、これらのデメリットは、サプライチェーンマネジメントが軌道に乗り、物流のコスト削減や売り上げ向上、人的リソースの有効活用化などが実現すれば、カバーできる点と言える。

サプライチェーンマネジメントの課題

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 これからの時代、サプライチェーンマネジメント(SCM)の在り方にも大きな変化が訪れると予想される。

 たとえば、従来は「親会社―下請企業」という系列に基づく取引構造が主流だったが、近年は今まで関わることの少なかった企業同士が、企業規模にかかわらず多面的にビジネスを行う「取引のメッシュ化」が進んでいる。ビジネスパートナーの中にはこれまで接点のなかった新興国の企業も含まれてくる。取引先が多種多様になって入り組んだサプライチェーンの構造に対して、柔軟に対応する必要がある。

 また、取引先のブランド名で販売される製品を製造する「OEM」(Original Equipment Manufacturer)が広がっているが、こうした点もサプライチェーン構造を複雑化させる要因となっている。企業としては自社生産に加えて、OEMの製造プロセスについてもサプライチェーンの一環として管理することが求められる。

 サプライチェーンは新興国に拡大しているが、そうした国々の成長によって、これまで予想していなかった国や地域で思わぬ需要が発生する可能性がある。

 また、顧客ニーズが多様化しているため、一元的な在庫管理や需要予測は今後一層、難しくなるだろう。さらに、大きな自然災害や事故などによる市場の不確実性の問題もある。需要予測の精度は格段の進化を遂げているが、なお綿密な調査と慎重な対応が必要である。

サプライチェーンマネジメントで効率的な経営を

 サプライチェーンマネジメント(SCM)には、在庫の最適化・リードタイムの短縮など、多くのメリットがあり、モノの流れが広範囲にわたるグローバル企業が多い現代においては、効果的なマネジメント手法だと言える。サプライチェーン構造や市場が複雑化しているため、サプライチェーンマネジメントも煩雑化しているが、ソリューションプロバイダのサービスも進化してきている。自社に合ったサービスを活用し、効率的な経営を進めていくのが大切だろう。

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