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  • 2022/05/19 掲載

5分でわかる「2022年版中小企業白書」、重要テーマはコロナ倒産・脱炭素・デジタル化

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

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中小企業庁は2022年4月、中小企業の動向などについて取りまとめた「2022年版 中小企業白書」を公開しました。中小企業白書とは、毎年4月末頃に中小企業庁から発表される、中小企業の動向を調査・分析した報告書です。今年の白書では、新型コロナウイルス感染症の流行に伴うデジタル化の取り組み状況の変化などについても言及されています。本稿では700ページ超に及ぶ「2022年版 中小企業白書」の中から、注目すべきポイントを紹介します。

執筆:東芝 福本 勲

執筆:東芝 福本 勲

東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリスト
アルファコンパス 代表
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRM、インダストリアルIoTなどのソリューション事業立ち上げやマーケティングに携わり、現在はインダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の編集長をつとめる。主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』『デジタルファースト・ソサエティ』(いずれも共著)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。また、企業のデジタル化(DX)の支援/推進を行うコアコンセプト・テクノロジー、国内トップシェアの帳票・BIソフトウェアベンダーであるウイングアーク1stなどのアドバイザーをつとめている。

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4月26日に公開された「中小企業白書」のポイントを整理する
(Photo/Getty Images)


新型コロナの影響(1):倒産件数・給付金の推移は?

 「2022年版 中小企業白書」では、2021年版に引き続き新型コロナが中小企業に与えた影響を分析し、その実態が述べられています。中小企業へのアンケート調査によれば、2022年2月時点で新型コロナによる企業活動への「影響が継続している」と回答した企業は73.8%となっており、中小企業が引き続き厳しい状況に置かれていることが伺えます。

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感染症による企業活動への影響
(出典:2022年版 中小企業白書 第2-1-8図)

 持続化給付金などの給付実績は上がっており、2020年5月の申請受付開始から2021年3月末までの申請件数は約441万件、給付総額は約5.5兆円となっています。

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持続化給付金の給付件数の推移
(出典:2022年版 中小企業白書 第2-1-26図)

 こういった持続化給付金や金融支援などが功を奏し、企業の倒産件数は下がってきていますが、一方で「新型コロナウイルス関連破たん」の件数は、2021年9月から4カ月連続で過去最多を更新するなど月別件数は増加傾向にあり、新型コロナが深刻な影響を与えていることも分かります。

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倒産件数の推移
(出典:2022年版 中小企業白書 第1-1-29図)

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新型コロナウイルス関連破たんの月別判明件数
(出典:2022年版 中小企業白書 第2-1-10図)

新型コロナの影響(2):サプライチェーンへの影響は?

 新型コロナは中小企業のサプライチェーンにも影響を与え、サプライチェーンの強靭化を図る重要性を再認識させたと言えます。サプライチェーンへのマイナスの影響についての回答結果を時系列で見ると、「影響あり」との回答は2021年4月以降徐々に高まり、2021年8月時点の調査では約6割の中小企業が「影響あり」と回答しています。

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時系列でみた、サプライチェーンへのマイナスの影響
(出典:2022年版 中小企業白書 コラム1-1-3①図)

 新型コロナに起因して支障を受けた業務についての調査結果を見ると、「営業・受注」を挙げる企業が最も多く、生産活動や部材調達といった供給面で影響を受けたと思われる業務も次いで多くなっています。

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感染症に起因して支障を来した業務
(出典:2022年版 中小企業白書 コラム1-1-3③図)

 2021年版ものづくり白書では、レジリエンス強化による「サプライチェーンの強靭化」の必要性が指摘されていました。新型コロナのようにサプライチェーンが寸断されるリスクを見据えて、自社の1次サプライヤーだけでなく、2次サプライヤー以降も含めたサプライチェーン全体を把握することが求められていることが指摘されており、中小企業から見てもサプライチェーンの強靭化は重要な課題となってきているのではないでしょうか。

現状と課題(1):無形資産への投資

 本白書では、中小企業が付加価値を向上しながら成長するための方法として、労働力の確保や有形資産投資の増加などだけでなく、ブランドや人材の質といった「無形資産」への投資が付加価値向上を促す方法として強調されています。ブランドを「顧客に認識される、企業や商品・サービスなどのイメージの総体」と定義し、中小企業のブランドの構築・維持のための取り組み状況について、アンケート調査から明らかにしています。

 ブランドの構築・維持のための取り組みを実施している企業は、全体の3分の1程度となっています。

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ブランドの構築・維持のための取り組みの有無
(出典:2022年版 中小企業白書 第2-2-2図)

 ブランドの構築・維持のための取り組みを行っている企業の方が、行っていない企業と比較して売上総利益率の水準がやや高く、ブランドが取引価格の維持・引上げに寄与していると回答する企業の割合が高くなっています。ブランドの構築・維持の取り組みにより差別化が図られ、取引価格の維持・引上げが可能となり、売上総利益率の向上など企業業績へのプラスの影響が生まれていると考えられます。

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ブランドの構築・維持のための取り組みの有無別に見た、売り上げ総利益の水準(2021年)
(出典:2022年版 中小企業白書 第2-2-4図)

 また、ブランドが取引価格に寄与していると回答した企業は、「顧客や社会へのブランドメッセージの発信」などのブランドの構築・維持に関する取り組みを実施している割合が高く、取引価格に「大いに寄与している」と回答した企業では、「自社ブランドの立ち位置の把握」や「ブランドコンセプトの明確化」において回答割合が高くなっており、こうした取り組みの重要性が伺えます。

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ブランドの構築・維持のための取り組み内容
(出典:2022年版 中小企業白書 第2-2-6図)

【次ページ】中小企業の「SDGs、カーボンニュートラル、人権問題」、「デジタル化」「人材育成」の現状と課題をまとめて解説

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