- 2025/08/27 掲載
「品切れは最大の裏切り行為」…ユニクロが絶対に在庫を切らさないワケ
株式会社UNLOCK POTENTIAL/リード・ザ・ジブン合同会社CEO
ISL(Institute for Strategic Leadership)プログラムディレクター/大学院大学至善館教授。東京大学経済学部卒業。ハーバード大学ケネディ大学院修了(政策学修士)。アーサー・D・リトル経営大学院修了(経営学修士、首席)。
1985年に東京海上に入社。米国留学を経て、戦略コンサルティング業界へ。ボストン コンサルティング グループ(BCG)ではパートナー、組織プラクティスの日本の責任者を務め、Organization Practice Awardを受賞。その後、シグマクシスを経て、2012年から2016年の間、ファーストリテイリングの経営者育成機関FRMIC担当役員を務めた。
その後アクセンチュアの人材組織変革プラクティスのジャパン全体の責任者を経て、リード・ザ・ジブンを起点にした人材組織変革を手掛けるUNLOCK POTENTIAL(「人と組織の可能性を解き放つ」の意味)を設立。デジタルトランスフォーメーションにともなう人材組織変革、経営者人材育成、経営チーム変革、組織風土変革、新規事業創出等のコンサルティングおよび研修・講演を行なっている。
第1回はこちら(この記事は第2回です)
ユニクロにとって品切れは「最大の裏切り行為」
ユニクロの店舗では「品切れ」がほとんど見られません。他のアパレルブランドでは「このサイズは今在庫がないので取り寄せになります」といった対応をされることが珍しくありませんが、ユニクロでそういった経験をした人は少ないのではないでしょうか。これは単なる偶然ではありません。皆さんが訪れたユニクロの店舗にたまたま在庫があったわけではないのです。徹底した在庫管理と需要予測の結果です。
ユニクロでは各店舗の店頭でお客さまへの約束の1つとして「広告した商品の品切れを防止します」と謳っており、顧客が欲しいと思った商品が店頭にないという状況を「最大の裏切り行為」と考えています。
品切れを防ぐための核となるのが、ユニクロアプリを通じたデータ収集です。ユニクロアプリを使って決済すると、「誰が」「いつ」「何を」買ったかという情報が記録されます。これにより、単に「何歳くらいの男性・女性が購入した」という粗い情報ではなく、個々の顧客の購買履歴や購買パターンを把握することができます。
たとえば、ある顧客がどのくらいの頻度で来店するか、どういった商品を組み合わせて購入するか、オンラインショップと実店舗をどのように使い分けているかなど、詳細な情報を分析することができます。こうしたデータの蓄積と分析によって、「この地域のこの店舗では、この時期にこの商品がこれくらい売れる」というきめ細かな予測が可能になっています。
ユニクロアプリは単なるオンラインショッピングツールではなく、顧客との強力なコミュニケーションチャネルとしても機能しています。アプリを通じて、新商品情報やセール情報を直接ユーザーに届けることができるほか、店舗検索や在庫確認など、顧客の買い物をサポートする機能も充実しています。また、購入履歴をもとにパーソナライズされたおすすめ商品を提案することで、顧客エンゲージメントを高める工夫も施されています。 【次ページ】開始当初は伸び悩んでいた「ライブコマース」だが…
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