- 2025/11/25 掲載
貰わないほうがマシ…激怒したサルに学ぶ、BCGが定義する「アンフェアな対価」の正体
BCGマーケティング・営業&プライシング・プラクティスのグローバル・リーダー。BCGサンフランシスコ・オフィス所属。ロイヤル・ダッチ・シェルを経てBCGに入社。BCG入社前からプライシングの問題に取り組み、BCGでは、世界各地の消費財、小売、ハイテク、金融サービス、産業財などさまざまな業界の企業に対してプライシングや成長戦略に関する支援を行ってきた。2010年代後半にはBCGヘンダーソン研究所(BHI)フェローも務め、プライシング・モデルのイノベーションに関する研究を行った。その後も新たなプライシング・経済モデルによる社会課題解決の可能性などについて研究を続けている。仏エコール・サントラル・パリ マーケティング博士(PhD)、工学修士。仏パリ政治学院(シアンス・ポ)経済学修士。
BCGマーケティング・営業&プライシング・プラクティスのコアメンバー、プライシング・トピックのグローバル・リーダー。BCGフィラデルフィア・オフィス所属。インテル、コムキャスト(米ケーブルテレビ・複合メディア企業)での勤務経験があり、航空、自動車、食品・飲料、ラグジュアリー商品、外食など幅広い業界で、プライシング、レベニューマネジメントを含む営業・マーケティング関連の支援を行ってきた。AIを活用したプライシングやプロモーションの最適化に関するBCG独自の手法・ソフトウエアも、データサイエンティストやエンジニアとともに開発している。インド工科大学卒業、マサチューセッツ工科大学機械工学博士(PhD)。
BCGマネージング・ディレクター&パートナー。BCGマーケティング・営業&プライシング・プラクティスのアジア・パシフィック地区リーダー兼日本リーダー。BCG消費財・流通プラクティス、および保険プラクティスのコアメンバー。日興シティグループ証券を経てBCGニューヨーク・オフィスに入社。2016年より東京オフィスに所属。国内外の企業に対してプライシング戦略、成長戦略、新規事業立案などさまざまな支援を行っている。京都大学法学部卒業。イエール大学経営学修士(MBA)、同大学国際関係論修士。
BCGマネージング・ディレクター&パートナー。BCGマーケティング・営業&プライシング・プラクティス、および消費財・流通プラクティスのコアメンバー。BCG顧客インサイトセンターの日本リーダー。テレビ東京ブロードバンド、グリーを経てBCGに入社。消費財や小売業界の企業を中心に、プライシング戦略、成長戦略、アライアンス戦略などさまざまな支援を行っている。早稲田大学法学部卒業。同大学大学院法学研究科修了。
前編はこちら(この記事は後編です)
貰わないほうがマシ…サルも激怒する「アンフェアな対価」
人間の公正、すなわちフェアネスに対する感覚は深く根付いたもので、他の霊長類にも同様の感情的反応が見られる。オランダの霊長類学者フランス・ドゥ・ヴァールがTEDトークで紹介したビデオが有名だ(注1)。あるオマキザルが研究者に石を渡すと、ご褒美にキュウリをもらって喜ぶ。しかし、しばらくして仲間が同じことでブドウをもらったことに気づく。糖分の多いブドウはキュウリよりもはるかに美味しい対価だ。そこでオマキザルは研究者に別の種類の石を持っていくが、再びキュウリを渡される。サルは怒って研究者にキュウリを投げつけ、檻をガタガタと揺らして不満を露わにする。こうなると、キュウリはもはや「フェアな対価」ではない。それどころか、オマキザルは今や見劣りのする報酬を受け取ろうともしない。逆説的だが、まったく価値を得ないほうが、アンフェアな価値をもらうよりもマシなのだ。
このことは、巨大で複雑なグローバル経済にも当てはまる。環境や距離を越えて見知らぬ者同士が協力しあえる通貨取引は、社会を円滑に機能させる上で欠かせないものだ。全関係者が取引に満足していれば、紛争は起こらず、協力関係が続きやすい。価格を使って、売り手も買い手もフェアな交換かどうかを評価し、満足度が決まるので、フェアな価格は円滑で平和的な経済協力に必須である。
しかし、どうすればフェアな価格を実現できるのだろうか。 【次ページ】BCGが考える「フェアな価格」、実装は容易ではないが現代なら…
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