• 2025/11/19 掲載

サブスクにDP…BCGが指摘、「流行モデル」に飛びつく企業が見落とす“致命的”要素

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サブスクリプション、ダイナミック・プライシング──。流行のプライシング・モデルに飛びつく企業は少なくない。しかし、BCGが指摘するのは、こうした施策の前に経営陣が下すべき「ある意思決定」の存在だ。『BCGプライシング戦略: 価格でビジネス・市場・社会を進化させる』を上梓した、ボストン コンサルティング グループ(BCG) マネージング・ディレクター&シニア・パートナーのジャン=マヌエル・イザレ氏とアーナブ・シンハ氏が、オンライン広告市場を一変させた大企業の事例とともに解説する。
執筆:BCG ジャン=マヌエル・イザレ

BCG ジャン=マヌエル・イザレ

BCGマーケティング・営業&プライシング・プラクティスのグローバル・リーダー。BCGサンフランシスコ・オフィス所属。ロイヤル・ダッチ・シェルを経てBCGに入社。BCG入社前からプライシングの問題に取り組み、BCGでは、世界各地の消費財、小売、ハイテク、金融サービス、産業財などさまざまな業界の企業に対してプライシングや成長戦略に関する支援を行ってきた。2010年代後半にはBCGヘンダーソン研究所(BHI)フェローも務め、プライシング・モデルのイノベーションに関する研究を行った。その後も新たなプライシング・経済モデルによる社会課題解決の可能性などについて研究を続けている。仏エコール・サントラル・パリ マーケティング博士(PhD)、工学修士。仏パリ政治学院(シアンス・ポ)経済学修士。

  BCG アーナブ・シンハ

BCG アーナブ・シンハ

BCGマーケティング・営業&プライシング・プラクティスのコアメンバー、プライシング・トピックのグローバル・リーダー。BCGフィラデルフィア・オフィス所属。インテル、コムキャスト(米ケーブルテレビ・複合メディア企業)での勤務経験があり、航空、自動車、食品・飲料、ラグジュアリー商品、外食など幅広い業界で、プライシング、レベニューマネジメントを含む営業・マーケティング関連の支援を行ってきた。AIを活用したプライシングやプロモーションの最適化に関するBCG独自の手法・ソフトウエアも、データサイエンティストやエンジニアとともに開発している。インド工科大学卒業、マサチューセッツ工科大学機械工学博士(PhD)。

  監修:BCG 阿川 大

BCG 阿川 大

BCGマネージング・ディレクター&パートナー。BCGマーケティング・営業&プライシング・プラクティスのアジア・パシフィック地区リーダー兼日本リーダー。BCG消費財・流通プラクティス、および保険プラクティスのコアメンバー。日興シティグループ証券を経てBCGニューヨーク・オフィスに入社。2016年より東京オフィスに所属。国内外の企業に対してプライシング戦略、成長戦略、新規事業立案などさまざまな支援を行っている。京都大学法学部卒業。イエール大学経営学修士(MBA)、同大学国際関係論修士。

  BCG 紀平 啓子

BCG 紀平 啓子

BCGマネージング・ディレクター&パートナー。BCGマーケティング・営業&プライシング・プラクティス、および消費財・流通プラクティスのコアメンバー。BCG顧客インサイトセンターの日本リーダー。テレビ東京ブロードバンド、グリーを経てBCGに入社。消費財や小売業界の企業を中心に、プライシング戦略、成長戦略、アライアンス戦略などさまざまな支援を行っている。早稲田大学法学部卒業。同大学大学院法学研究科修了。

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流行のプライシング・モデルに飛びつく前に経営陣が下すべき「ある意思決定」とは?
(Photo/Shutterstock.com)

“流行モデル”に飛びつく前に…自社に最適な価格戦略を探る

 企業の価格戦略はイノベーション、キャパシティの拡大、市場とのコミュニケーション、M&Aなど投資の意思決定にも影響する。価格戦略というと、「サブスクリプション・サービスの追加」や「ダイナミック・プライシングの導入」といった流行のモデルに飛びつきたくなるかもしれないが、声高に叫ぶ幹部の圧力やデータサイエンティストの主張、あるいは異業種の成功事例の真似ではなく、自社の状況に合った戦略を有機的に生み出していく必要がある。

 では、自社の価値を創造するための戦略に最も適したプライシング・モデルとは何なのか。図表1はこの問いを考えやすくするためにプライシング・モデルの要素を図解したもので、各企業が主体的に価格設定を設計・実行できる機会のある具体的な領域を示している。ここでは、価格アーキテクチャーと価格調整機能を明確に区別しており、価格多様化がこの2つの架け橋となる。なお、通常価格アーキテクチャーの決定が、価格調整のレバーよりも、価値分配の量や方法に多大な影響を及ぼす。

画像
【画像付き記事全文はこちら】
図表1:プライシング・モデルの構成要素

a. 価格アーキテクチャーはどうあるべきか
  • 価格設定単位:価格を設定する単位をどうするか
  • 商品・価格体系:商品・サービス体系による価格の構造をどのようにするか
  • 価格設定メカニズム:価格の決め方をどうするか

b. 価格多様化の要因は何か
  • 価格多様化のドライバー:何によって価格を変えるか(地域、チャネル、時間などが典型例)

c. どのような価格調整機能を使うべきか
  • 顧客向けプログラム:顧客の種類やタイプ、ロイヤルティによって価格をどう変えるか
  • 取引インセンティブ:取引を促進するための値引きなどをどのように設定するか
  • 手数料と機能割引:取引/サービス提供にかかるコストと価格をどのように整合させるか(通常、手数料や機能割引などを設定する)
【次ページ】価格の決定に「経営陣の意思決定」が重要になるワケ
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