• 2025/08/19 掲載

スゴすぎる!月額2,900円でメール作成からデータ分析まで自動化するGoogle AI活用術(2/2)

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とある金融機関が徹底した、社内情報漏えいを防ぐ「AI研修」

 便利そうだが、社内情報を入力して大丈夫なのか。AIツール導入時、多くの企業が直面する不安だ。生成AIを使用する従業員が機密情報や財務データをパブリックAIツールに入力したり、流出させない体制が必要になる。

 この課題に対し、スペイン大手銀行BBVAが打ち出した解決策が「AI Express」と呼ばれる全社必須研修プログラムだ。

 同行は10万人超の従業員にGoogle Workspace with Geminiを展開するにあたり、まず研修を義務化。EU AI規制と社内データ保護方針に準拠した内容で、安全なAI活用の原則を徹底的に叩き込む。

 興味深いのは「段階的アクセス解放」という仕組みだ。研修の修了度に応じて使える機能を順次開放し、理解が浅い段階での誤用リスクを最小化している。

 詳細な研修内容は公開されていないが、GDPRなどの厳しいEU規制に準拠する場合、以下のような対策が徹底されていると想定される。

 たとえば、「顧客の個人情報を含むデータは入力しない」「AIが生成した契約書は必ず法務部門がチェック」といった具体的なルールだ。特に重視されるのが「オートメーションバイアス」への対策で、AIの出力を鵜呑みにせず、必ず人間が検証する習慣づけも挙げられる。

 セキュリティ面では、個人デバイスでの業務利用を制限し、会社支給の環境でのみAIツールへのアクセスを許可することもベストプラクティスの1つとなる。さらに、どの部署の誰がどんな用途でAIを使ったか、すべてモニタリングする体制を構築することも重要だ。

 倫理面でも配慮することが求められる。採用や人事評価など、人の人生を左右する判断にAIを使う際は、偏見や差別が生じないよう、ダイバーシティ担当部門が必ず関与。定期的な影響評価を実施し、特定グループに不利益が生じていないかチェックする仕組みを構築する必要がある。

 AI活用は「導入して終わり」ではない。継続的な教育、監視、改善のサイクルを回してこそ、生産性向上と安全性の両立が実現する。日本企業も、まずは特定部門主導で小規模な研修プログラムから始めてみてはどうだろうか。

「うちの会社でも導入したいが、どこから始めれば…」への“無二の答え”

 「うちの会社でも導入したいが、どこから始めれば…」そんな声が聞こえてきそうだ。実は、AI導入で失敗する企業の多くが、いきなり全社展開を試みて頓挫している。成功の鍵は「小さく始めて、確実に広げる」アプローチにある。

 まず着手すべきは、高インパクト・低リスクな業務の特定だ。営業部門の日報作成、経理部門の請求書処理、人事部門の採用メール返信など、定型的で時間のかかる作業が狙い目となる。

 「AI推進責任者」の任命も重要だ。技術に詳しい人材である必要はない。むしろ重要なのは、現場の課題を理解し、部門間の調整ができる人物を選ぶこと。この責任者が中心となり、パイロットプログラムの成果を文書化し、ベストプラクティスを蓄積していく。

 効果測定では「ビフォー・アフター」の比較が説得力を持つ。たとえば「月次レポート作成:導入前8時間→導入後2時間」といった具体的な時間短縮効果を示す。さらに「削減された6時間で新規顧客開拓を3件実施」など、生み出された価値まで示せれば理想的だ。

 規模を拡大する際は、インフラ整備が欠かせない。クラウド環境の拡張、データパイプラインの構築、既存システムとの連携など、IT部門との綿密な協議が必要となる。

 ただし、Google Workspaceのような既存ツールにAI機能が組み込まれている場合、この負担は大幅に軽減されるだろう。

 最後に重要なのが「アジャイル型」の導入だ。完璧を求めず、60点でスタートし、現場のフィードバックを基に「改善」を重ねる。研修プログラムを継続的に更新し、従業員の理解度に応じて内容を調整していくことも重要となる。

 企業の一部は、まだAI導入の「探索段階」にあるかもしれない。しかし、競合他社がAIで時間の大幅な効率化を実現している今、様子見を続ける余裕はないと言えるだろう。まずは一つの部署、一つの業務から。小さな取り組みの積み重ねが、組織全体の大きな変革につながるはずだ。

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