- 2025/09/13 掲載
どうやって…? あの町中華やコロッケ店が「閉店地獄の商店街」でも生き残れるワケ(3/3)
「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」
当然ではあるものの、時流をとらえるに越したことはありません。まさにこれが「時流追随戦略」でした。偶然の要素もありますが、現代は非常に動的で、消費者の嗜好や流行は急速に変化しています。そこで、市場調査を定期的に行いましょう。雑誌はあまり読まれなくなりましたが、それでも自分がネットで検索しない情報があふれています。その他、SNS、各種メディアなどを通して、消費者の嗜好や流行を把握することが大切です。
また、小規模なテストを行いましょう。町中華が自撮りスポットやフォトスポットを用意したように、低コストで試せるアイディアをいくつも実施すれば、そのうちどれかは成功するかもしれません。
またコロッケ店の箇所でも書きましたが、できるだけ小規模展開から始めて、リスクを最小限に抑えておくことが重要です。中小企業ならばなおさらです。小規模なトライを試行し、収益性が確認できたら拡大するステップを踏みましょう。私の好きな言葉に「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」(ジョージ・ソロス)があります。その通りだと思いませんか? ですので、撤退戦略もあらかじめ準備しておきましょう。失敗を恐れずにチャレンジすることも大切ですが、うまくいかなかった場合には迅速に撤退できる準備をしておくことが重要です。コロッケ店がうまくいかない場合にはすぐに撤退することを1つの方針としているように、撤退時の損失を最小限に抑えるための計画を事前に立てておきましょう。これは店舗だけでなく、商品ラインやサービスの提供においても同様です。
加えて、コラボレーションを活用しましょう。もちろん著作権や肖像権があるので、流行しているコンテンツを無断拝借するのはご法度です。ただ、レトロブームのように特定のキャラクターがいないため権利が生じないものもありますし、ジャズ喫茶が映画『BLUE GIANT』を(画像を使うのではなく)広告のフレーズでうまく誘導することはできるはずです。人気コンテンツの力をうまく活用して、幅広いお客の関心を引ける企画を考えられるといいですよね。
人が店を選ぶ重要な判断基準はやっぱり……
また、お客との関係構築は欠かせません。店主や従業員がお客と直接対話し、彼らのニーズや好みを理解することが重要です。それによって信頼関係が強化されますし、人間は誰しもが承認欲求を持っているので、小さな情報でもお客の特徴を覚えておくことで、確実に親しみが増します。ところで、私の高校の同級生が地方で調剤薬局のチェーン店を経営しています。読者の皆さんは、おそらく調剤薬局を訪問することはさほどないでしょう。私は年に1回行くか、行かないかです。私はあるとき、その同級生に「薬剤師の人事評価はどのようにするのか」と訊いてみました。

お客によっては「〇〇さんから説明してほしいから、車で20分ほどかけてやってきました」というケースも頻繁のようです。私からすると調剤薬局は他店との差別化が難しいと思っていたのですが、コミュニケーションによってお客は明確な差別化ができるようです。やはり人間は人間に一番興味があって、店選びの際にも、人とのつながりが重要な判断基準となっているといえるでしょう。
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