- 2025/09/17 掲載
製品ありすぎ「データ管理ツール」のせいで…生成AI活用がダメになる理由、ガートナー流の解決策(3/4)
「5つの機能」で実現する自動化とは
ロンサール氏によると、このデータファブリックは、エコシステム全体の結合組織として機能するという。ガバナンス、統合、可観測性、拡張、アクティブ/パッシブ・メタデータという5つの機能を通じて、システム間の連携を自動化し、最適化を図る。基本的に、「システムがどのように設計されているか」と「実際にどのように使用されているか」の違いを見極め、最適化の方法や変更方法などを提示する。「システムを設計する際は特定の目的を念頭に置いて設計します。しかしビジネスでの使用では本来の目的とほとんど一致しません。データファブリックはこれらの違いを考慮し、推奨事項を提示します」(ロンサール氏)
この自動化により、企業は外側の運用レイヤー(プラットフォームエンジニアリング、DataOps、FinOps)とのみやり取りすることになる。内側のコアは抽象化され、運用の複雑性が大幅に軽減されるとロンサール氏は話す。
市場集約を加速する「ある要因」
市場集約は、コモディティ化によって推進される。ロンサール氏によれば、データ層はすでに高度にコモディティ化が進んでおり、標準化されたAPIによって異なるデータベース間の移植性が向上しているという。たとえば、PostgreSQL APIを実装したデータベースであれば、理論的には同じAPIを実装している他のデータベースへの移行が容易になる。コモディティ化の波はデータ層から始まり、現在はメタデータおよびガバナンス層へと移行している。オープンテーブルフォーマットの普及によりストレージレベルでの相互運用性は向上している半面、カタログの相互運用性はまだ発展途上にあり、1年半~3年ほどの成熟期間が必要とされる。最終的に、データファブリックまでコモディティ化が進むことで、完全なデータエコシステムが実現する。
生成AIの統合で何が起きる?
ガートナーが2024年に行った調査によると、57%の組織がデータエコシステムを活用できていない。また、81%の組織が複数のクラウドを利用している現状は、複雑性の増大、複数のデータ重心(データが集積する拠点の分散)、エグレス料金(クラウド間のデータ転送コスト)、データサイロ(システム間で孤立したデータ)の急増といった新たな課題を生み出している。データエコシステムの実現において、生成AIは最後の、そして決定的なピースとなった。「生成AIが、これまで欠けていた最後のピースでした。生成AIの登場により、運用の簡素化が可能になり、データをAI-Readyにするというニーズに応えることができます」とロンサール氏は説明する。
生成AIの統合により、データエコシステムは単なるインフラストラクチャから、インテリジェントな自己最適化システムへと進化する。アルゴリズムに基づくAI主導のアプローチによって、システムは自己調整、自己最適化を実現し、運用の簡素化を推進する。これは、データアクセスの柔軟性向上や、自然言語による質問への対応、中央集権型のメタデータガバナンスの実現といったメリットをもたらす。 【次ページ】生成AIの統合によりデータエコシステムの変革が加速
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