生成AIは「社会課題解決」を“民主化”できるか？ アクセンチュアが示す4つのレベル構造(4/4)

AIは“届きにくい人”から救うか？ 地方・弱者こそ最大の受益者になる可能性

　前述したリスクを回避するために、AIの判断ロジックやアルゴリズム設計などについて十分な議論やルールづくりは必要だが、世界のあらゆるサービスがAIを前提とした設計に移行し、利便性が急速に高まるなか、日本の行政もその変革から取り残されるわけにはいかない。社会課題が山積する日本では、特に地方や社会的弱者といった民間企業のサービスが行き届きにくい領域にこそ、AIを積極的に活用することが求められている。

　AIを日本の行政サービスや生活に浸透させるには、AIエージェントだからこそ実現できる「硬直的なシステムを超えたデータ連携」や「より直感的で人間らしい体験デザイン」が鍵になる。

　特に後者は、高齢者やデジタルに不慣れな層もデジタルリテラシーの有無やAIに対する心理的ハードルを乗り越えるような、誰もがこれまで通り自然に利用できるUIUXの実現が重要になるだろう。

　生成AIは人間的な会話や映像を生成できるため、たとえばテレビや電話といった高齢者に馴染みあるメディアを通じて行政とやり取りできる仕組みも構築できる。「人間中心の体験」から逆算して必要な仕組みや制度を設計していくことで、真に使いやすいAIサービスが生まれるはずだ。

　生成AIは、日本がこれまでデジタル化で遅れをとってきた状況を一転させる、有効な突破口となり得る。