- 2025/12/04 掲載
生成AIは「社会課題解決」を“民主化”できるか? アクセンチュアが示す4つのレベル構造
連載:アクセンチュア流 生成AI産業変革論
藤井 篤之(ふじい・しげゆき)
アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター。ストラテジーグループにおけるData AIビジネスリードを務める。名古屋大学大学院多元数理科学研究科博士後期課程単位満了退学後、2007年アクセンチュア入社。スマートシティ、農林水産業、ヘルスケアの領域を専門とし、官庁・自治体など公共セクターから民間企業の戦略策定実績多数。共著に『デジタル×地方が牽引する 2030年日本の針路』(日経BP、2020年)がある。
太田 蓮華(おおた・れんげ) アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ シニア・マネジャー。医療・公共領域において、特にヘルスケア・スマートシティ・国際開発案件を担当。創価大学法学部卒業後、2015年アクセンチュア入社。その後ロンドン芸術大学大学院にて共創型デザインを学び、国内外の行政機関・民間企業に対し政策立案から新規事業構想、DX推進まで幅広く従事。共著・寄稿に『地域産業創出におけるデジタルの可能性』(日本立地センター、2023年)がある。
役所の書類、“AI同士が勝手に処理する”未来
アクセンチュアは世界各国で行政・医療・公共サービスのデジタル変革を支援している。これらの現場で見えつつある「生活者起点のAI活用像」を、特別編として先取りして紹介したい。朝、目が覚めると自分専属のAIエージェントから通知が届く。最近の父の状況を伝えていたら、地域の医療チームと福祉窓口に確認をとり、現状に見合うプランに調整してくれたらしい。必要な申請書類はエージェントが記入してくれるので確認するだけ。自治体側の不備の確認もAIが行うので、AI同士でやり取りするようだ。
【行政・暮らし】
通勤途中、息子とよく行く公園の遊具に破損を見つけた。写真を撮ってエージェントに相談すると、自治体の政策検討システムに申し出ておくという。地域の子育て世代からの要望が多く、公園のリデザイン計画が立ち上がっているらしい。そのほか高齢者や10代の利用者も含めニーズをAIが取りまとめ、新たなデザインが提示されることになっているそうだ。
【健康習慣】
電車に乗ると、エージェントから「最近ストレス値が高そうです」と指摘があった。メールやチャットの語感や内容、心拍数や睡眠時間などから割り出しているらしい。「午後の訪問先への移動は自転車にしてみては?気分転換に話題のコーヒーショップにも立ち寄れます」。AIに唆されるまま運動習慣がつき、次の保健指導(保健師もAIだが)の日も安心して迎えられそうだ……。
生成AIは対応を効率化するだけではなく、スキルや情報の差を埋め、市民を含む多様なステークホルダーを巻き込むことで、課題解決を民主化していく。
課題解決における生成AIの可能性を、次の4つのレベルで考えてみよう
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