- 2025/12/14 掲載
「このままじゃ戦いにならない」スイカゲーム生みの親が年200億円企業を築いた逆転劇(2/2)
「popIn Discovery」で生み出した2つの“差別化”
popIn Discoveryとは、オンラインメディアの記事ごとの読了率を可視化し、読者の興味に合った記事を自動的にレコメンドするサービスです。当時のオンラインメディアでは、記事が本当に読まれたのかも、読者が興味を持っていたのかもわかりませんでした。そこで、私たちは、記事に興味を持って読み進めたかを判断する仕組みを作ったのです。
そして、読了率の高い記事に関連した別の記事や広告を「こちらの記事もいかがですか?」「こちらの広告もご覧ください」とレコメンドしていくことを可能にしました。
つまり、「読了率がわかる仕組み」と「レコメンド機能」、この2つが差別化となり、強みになったのです。
- 読者が記事に興味を持ったかどうかがわかる仕組み(=読了率がわかる仕組み)
- 読者の興味に応じた、ユーザー目線の最適なレコメンド(=レコメンド機能)
スイカゲームの構想にも活用した「WHY・HOW・WHAT」
この差別化がうまくいった背景は、誰かの真似、誰かのゲームのルールに並ぶサービスを提供するのではなく、「自分たちで独自のルールを作る」を信念にプラットフォームを開発したことにあります。これは、「ゲームのルールを自分たちで決められれば小さな会社でも戦える」と気づいたことがきっかけでした。
ゴールデン・サークルで言えば、「WHY」で「なぜ自分が、自分たちがこれをやるのか」「誰のためにやりたいのか」を掘り下げ、「HOW」で差別化できるポイントを探っていったイメージです。
大切なことなので繰り返しますが、「WHY」に十分な時間をかけず、信念の準備不足のまま動き出すのは、NGです。
方向を誤り、差別化できずに終わる失敗パターンに陥ってしまいます。
私が海外でうまくいっている広告配信プラットフォームの真似を考えてしまったのも、「早く収益を上げたい」と焦ったために軸がブレてしまったからです。
この気づきは他のビジネス、あるいは個人の目標達成にも当てはまります。
心から納得している「行動の動機=信念」があれば、それ自体が差別化の要素となるのです。
たとえば、私はプロダクトの構想を練るとき、次のように「WHY(なぜ)」「HOW(どのように)」「WHAT(何を)」を活用しました。
WHY :家族が共に過ごす時間を増やし、思い出を作り、子どもの世界観を広げたい
HOW :日常にあるシーリングライトにプロジェクターを内蔵し、家の壁を大画面に変える仕組み
WHAT:世界初の照明一体型プロジェクター
スイカゲーム
WHY :小さな子どもでも親に勝てる「思い出の瞬間」を作りたい
HOW :4歳でも直感的にわかるシンプルな操作、親しみやすい可愛いデザイン
WHAT:誰もが夢中になれるパズルゲーム
スマートバスマット
WHY :家族の健康を日常的に守りたい
HOW :毎日欠かさず使うバスマットに体重計を組み込み、自然に計測できる仕組み
WHAT:数字を意識せず測定を習慣化できる、体重計一体型バスマット
考え抜いた信念と、自分で納得できるやり方が決まれば、それは他との差別化の要素となります。だからこそ、ステップ0とステップ1には十分な時間をかけて取り組みましょう。
他にも、日常的には、次のように活用できます。
「WHY」が固まるまでは、手を動かさないことが最重要
最後に、実現力について一番大切なことをお伝えします。それは、行く先を決める「WHY」が固まるまでは、手を動かさないこと。「HOW」や「WHAT」は試しながら調整していくことができます。しかし、「WHY」の深掘りを省略してしまうと、実現可能性そのものが萎んでしまうのです。
時が流れ、100キロ先にたどり着いたとき、一歩目の1センチのズレが及ぼす影響はどれほど大きなものになるでしょう?
考え尽くすまで行動に移してはいけません。じっくり考え、すばやく動く。
実現力とは、単に物事を形にする力ではありません。
信念に基づいたスタートを切り、独自性を磨き、それをわかりやすく伝え、誰もがノーと言えない状況を作り、最初のファンから共感を広げていく。この一連のプロセス全体が実現力なのです。
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