- 2025/12/27 掲載
【2026年、何が残る?】ラブブ・麻辣湯…Z世代を沼らせた“バズ商品”の「3つの条件」(2/3)
麻辣湯はなぜ定着?“一瞬バズ”で終わらない「3つの条件」
とはいえ、こうしたトレンドのすべてが市場として定着するわけではない。2025年上半期トレンドランキング「流行ったコト・モノ」部門1位で話題になった「耳ツボジュエリー」は下半期のランキングで影を潜めたが、麻辣湯やアサイーボウルは定着しつつある。この差はどこにあるのか。清水氏は、多くのトレンドが生まれては消える中で、市場として生き残るものには3つの条件がそろっていると分析する。
第1に「カスタム性」。麻辣湯の具材選択のように、ユーザーが自分なりの正解を作れる自由度があることが、継続的な消費を生む。
第2に「派生性」。1つのモノ・コトをマルチに展開でき、アップデートの余地があることだ。
「アサイーボウルがバズった後も人気が広がった理由には、専門店だけでなくコンビニでの商品化やお菓子への展開など、幅広く進化し続けていることが挙げられると思います。一過性の流行で終わらないためには、商品として横に広がる余地があるかどうかが重要ではないでしょうか」(佐々本氏)
そして第3に「コミュニティ性」。特定の趣味や関心を共有する「界隈」が生まれ、「どうアレンジした?」と見せ合い、話題にできるか否かが、一瞬のバズで終わるか市場へと育つかの分岐点になる。
「耳ツボジュエリーには“界隈”が生まれなかった」と両氏が言うように、一度貼れば完結してしまい、アレンジの余地も商品展開も限定的だった。「見せ合う」文化が生まれにくく、市場化の3つの条件を満たせなかったことが、ブームで終わった要因と言えそうだ。
企業が空振りしがちな理由、“Z世代を動かす”3つのポイント
市場化の3条件を押さえたとしても、企業がZ世代トレンドと向き合う際には、いくつかの落とし穴が待ち受けている。特に注意すべき3つのポイントを見ていこう。1.検索では追いつけない──生の声を取りに行く設計を
清水氏が最初に指摘するのは、「検索すれば理解できる」という錯覚だ。
「ネット上では一部の意見が切り取られて伝わってしまうことが多く、コミュニティの中に入り込んで実感しないとわからない部分があり、そこに乖離が生まれます。トレンドに“乗ったつもり”の施策が空振りに終わるようなことを防ぐためには、Z世代との座談会や自由回答の定点観測など、何かしらリアルな声を摂取できる場を設ける必要性を感じます」(清水氏)
2.過程のコンテンツ化──“一緒に作る”を実践する
企業が「参加型」を掲げながらも、結果が既定路線の施策も逆効果になりやすい。Z世代は「見せかけの参加」を敏感に見抜くからだ。
よくあるのが、「皆さん投稿してください」と大々的に募集した後、中身の見えないプロセスで「これで決定」と事後報告されるパターン。すると「本当に私たちの意見なの?」「もともと決まっていたのでは?」と不信感を抱かれるリスクがあるという。
「制作過程やユーザー投票の経過など、『過程』をコンテンツ化し、複数のタイミングで発信することで、本来1回しか話題にならなかったはずのものが、何度も注目を集められます。特にSNSの投稿は少ないコストで実施できる施策です。大規模なLPサイトを作るとなると時間がかかりますが、SNSなら少しずつ種まきをする感覚で話題化のチャンスを増やせます」(佐々本氏)
3.ミームとの距離感──ブランドとの相性を見極める
さらに、インターネット上で拡散されるミームとの距離感も重要になる。清水氏は「老舗企業などがやる意外性が面白さになることもあるが、何でも乗ればいいわけではない」と注意を促す。
ブランドの世界観と合わないミームに安易に乗れば、違和感から炎上を招くリスクもある。流行に飛びつく前に、自社ブランドとの相性を見極めることが不可欠だ。 【次ページ】【解釈注意】サナ活・編み物…2026年ヒット予測
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