- 2025/12/27 掲載
【2026年、何が残る?】ラブブ・麻辣湯…Z世代を沼らせた“バズ商品”の「3つの条件」(3/3)
【解釈注意】サナ活・編み物…2026年ヒット予測
2026年にはどのようなトレンドが生まれるのか。Z総研が発表した「2026年上半期ネクストトレンド予想」には、「サナ活」「編み物」「モンチッチ」「スカルパンダ」「ヨアジョン」「トモダチコレクション わくわく生活」の6つが名を連ねた。
この中で異色といえば、やはり高市早苗首相の愛用品やライフスタイルをまねする「サナ活」だろう。「若者も政治に興味が出てきたのか」と捉える向きもあるだろうが、必ずしもそうではないと清水氏は語る。
「これは政治への関心というより、『話のネタとして触れたい』というミーム化の文化から来ているものだと捉えています。文字通りに若者の政治への関心が高まってると解釈すると、実態とのギャップが生まれるかもしれません」(清水氏)
一方で、ここ1~2年じわじわと注目を集めていた「編み物」は、情報過多への反動から「デジタルデトックス系トレンド」として定着しつつあるという。
「プログラミングやAIの進化によって“自分の手を動かす機会”が減っているからこそ、編み物のような行為に価値が見いだされています。ただし、完全にデジタルから離れたいわけではなく、完成品をSNSで共有するまでがセットの体験です」(清水氏)
また、2026年春に新作が出る予定の『トモダチコレクション(Nintendo Switch)』は、今のZ世代に根付く「自分をキャラ化して遊ぶ文化」の先駆けとも言える。
2009年頃に社会現象となった本作だが、当時小学生として熱中した世代は今、ちょうど社会人となっている。佐々本氏は、この『トモコレ』の展開に注目しているという。
「当時はゲーム内だけで完結していましたが、今は自分や友人のキャラ(Mii)をSNSでシェアしたり、2次創作したりする文化があります。たまごっちが再びキャラクターIPとしてリバイバルしたように、トモコレも自分のキャラをSNSに投稿したり、キャラをチャームにできたりすると、さらに広がりが生まれそうです」(佐々本氏)
ゲーム機の中にとどまらず、加工やガチャなどの2次創作へ派生しやすい柔軟性があること。強力なブランド背景を持ちつつも、ユーザーが「自分界隈」の物語を自由に紡げる領域ほど、2026年は大きな熱量が集まりそうだ。
企業泣かせの“トレンド寿命”爆速化、消費はどう変わる?
こうしたトレンドの背景で、流行の「寿命」はさらに短くなっている。ファッションなど、かつては「30年周期」と言われた流行の回帰も、今や平成リバイバルのように10数年まで短縮されつつある。「先日はAKB48の武道館ライブで全盛期の黄金メンバーが集結して話題を呼びました。親世代が懐かしむモノ・コトのリバイバルは、それを小中学生で見ていた今の若者が“自分のお金で消費できる年齢”になった瞬間に再燃します。20周年を迎えたAKB48への注目にもその構造があると思いますが、それがどこから出てくるかは予測しきれません」(清水氏)
さらに、この動きに拍車をかけるのが、TikTokのアルゴリズムによる「爆速最適化」だという。
「情報発信源がテレビからTikTokへと移り、わずか数十秒の視聴行動だけで嗜好に合うものが次々おすすめされるようになりました。その結果、1つのトレンドに対してユーザーが異なるアレンジや派生ネタを投稿し、それがまた大量に流通する。バリエーションが出そろう速度も尋常ではなく、人々が『あ、これもう見た(おなかいっぱい)』と感じるまでの期間が極端に短くなっています」(佐々本氏)
今後、テクノロジーを駆使する若者世代のアレンジ能力が高まるほど、流行が“過去”になるまでのサイクルは短くなっていくだろう。そうしたスピード感のなかでヒットを生むためには、単なる「モノの所有」ではなく、「過程の価値」をどこまで提供できるかが鍵になる。
雑多に見えるトレンドの裏側にある、「カスタム性」「派生性」「コミュニティ性(共体験)」という3つの条件。この「構造」を理解しない限り、企業側がどれだけ施策を積み上げても、Z世代の熱量とはかみ合わない。
流行の後追いではなく、市場にまで育つ条件を見極めたうえで、Z世代と「一緒に作る」余白を設計できるか。トレンドの流動性がますます高まる2026年、そこがヒットの分岐点になるはずだ。
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