- 2026/04/03 掲載
「問題が芋づる式に増えていく」地獄のプロジェクト準備、抜け出す“唯一の方法”とは(3/3)
ヒト・モノ・カネ、それぞれに重要な注意点
これで、プロジェクトマネジメントの全体地図を説明するための材料が揃いました。町内会イベントという個別事例を題材にしましたが、この地図はありとあらゆるプロジェクトに応用できる普遍的な構造を示しています。
図1で全体像を程示します。
ここで説明する「地図」は、ヒト・モノ・カネという誰もが肌感覚として認識しやすい3つの軸を使っていることが大きな特徴です。
そして、この3つの軸には、それぞれ重要な注意点がセットになっています。
■ヒトの軸──注意点:「こころ」をマネジメントする
人は、論理だけでなく感情にも基づいて行動します。論理と感情が相反する状況になれば、表向きの言葉や態度とは裏腹な行動をとることがあります。
たとえば、正確な状況報告を求めすぎると、悪い情報が隠されます。
また、ミスを注意する方法を間違えると、やる気が失われて作業がかえって雑になります。
プロジェクトマネジメントを形式的に進めて管理ばかりを徹底すると、人の「こころ」を遠ざけてしまい、狙いと異なる状況になってしまうことがあります。だからこそ、プロジェクトのメンバーの感情面にも配慮し、管理水準を程よいバランスに保つことが重要になります。プロジェクトマネージャーには、人の「こころ」の動きに注意を払い、関係者に直接向き合いながら問題を解決する姿勢が求められます。
■モノの軸──注意点:「見えない側面」をマネジメントする
プロジェクトで実現しようとしている物やサービスについて、私たちはその姿が見えているように感じるのですが、その本質部分については驚くほど見えていません。
たとえば建設工事であれば、柱や壁が出来上がればプロジェクトが進んでいると見ることができます。その一方で、耐震強度が十分かといった品質面は、検査を実施しなければ把握できないでしょう。
まして、情報システムのプロジェクトでは、途中までアウトプット自体がまったく見えません。設計書が完成しシステム開発の作業が進捗どおりであると報告を受けても、発注者側は動くシステムを確認できるわけではありません。テスト工程の後半で実際のシステムを初めて確認して、こんな機能では使い物にならないと驚くことがあります。
プロジェクトで扱うモノの実像は、私たちには見えていない。その前提で、さまざまな管理活動を行うことが重要です。
■カネの軸──注意点:「効果」とセットでマネジメントする
プロジェクトのコストは、計画よりも増加する傾向があります。
たとえば、業務を効率化するための情報システムを作る際に実現内容を十分に見定めていないと、システム開発の段階で多数の追加や変更が発生してコストが増加します。一方で、業務担当者にとって必要な機能が実装されなかったり、新しい業務負荷をかけてしまったりして、想定していた効果が実現できないという事態も発生しがちです。その結果、計画よりも費用は上振れし、効果は下振れし、費用対効果のバランスを欠いた無用の長物ができてしまいます。
これは極端な例ではありません。私たちは、自分たちのプロジェクトでも費用対効果が悪化してしまう傾向があることを強く認識した上で、計画段階でも実行段階でも費用対効果に注意しながらコスト管理を徹底する必要があります。
降りかかる数々の“困難”を一刀両断で解決する方法は…
プロジェクトマネジメントの方法論に、銀の弾丸はありません。プロジェクトの規模が巨大になるほど、さまざまな困難が降りかかります。それらの問題を一刀両断で解決できる方法論などあるはずがありません。
とはいえ、まだピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。プロジェクトの活動を単純にヒト・モノ・カネの軸に並び替えただけじゃないかと、不審に思われているかもしれません。
この地図がどのように役立つかをご理解いただけるように、第2回でプロジェクトが失敗するパターンについて分析してみましょう。
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