• 2026/06/25 掲載

116万人突破チョコザップ・退会率2%のカーブス…なぜ「運動しない日本人」動かせた?

連載:ヒットの現在地

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日本のフィットネス人口は約5%。米国の約24%や英国の約16%と比べると日本の低さは際立つ。従来、この小さな市場を奪い合っていた国内フィットネス業界で成長を遂げているのが、「女性だけの30分健康フィットネス カーブス」とコンビニジム「chocoZAP(チョコザップ)」だ。カーブスは2000店舗を超え、2026年8月期は売上高・営業利益ともに過去最高を更新する見込み。チョコザップも事業発足から4年弱で1943店舗に拡大、会員数は約116万人で日本一の規模となる。両社は真逆ともいえる運営スタイルながら、ともに運動初心者を取り込み継続会員につなげている。2社を取材すると、「勝てるジム」の本質が見えてきた。
執筆:小林 香織

小林 香織

1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月~は東京拠点。関連サイトはこちら

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日本のフィットネス業界の新潮流とは?
(左:ライザップ提供、右:カーブスジャパン プレスリリース)

【カーブス】平日19時閉店・日曜定休でも…88万人まで拡大中

 1992年に米国で生まれたカーブス。国内では2005年に1号店が開業、今や全国に約2000店舗、会員数は約88万人(2026年2月末時点)まで拡大した。会員層は、50代が18%、60代が34%、70代が32%と中高年層に圧倒的な支持を得る。

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【画像付き記事全文はこちら】なぜ今、「運動しない日本人」がカーブス、チョコザップに吸い込まれるのか?
30分のサーキットトレーニングで、初心者でも取り組みやすい
(カーブスジャパン提供)
 最大の特徴は、筋トレ・有酸素運動・ストレッチを組み合わせた1回30分の「サーキットトレーニング」。

 運動習慣がない女性でも取り組みやすく、効率的に全身の運動効果を高めやすいという。女性のコーチが在籍しており、正しい運動方法や生活習慣のアドバイスをするなど手厚いサポートを行う。

 予約は不要で、シャワーは完備されていない。月会費は7,150円~8,360円(入会金は別)で通い放題と、24時間営業のエニタイムフィットネスと同水準だ。

 ただ、エニタイムフィットネスと大きく異なるのは、営業時間が短いこと。10時に開店し、平日は19時、土曜は13時に閉店する。さらに、平日の13~15時はクローズし、日曜・祝日は定休日だ。顧客は継続的に通えるのだろうか。

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取材に応じたカーブスホールディングス 代表取締役社長 兼 グループCEO、カーブスジャパン 代表取締役会長 増本岳氏
(カーブスジャパン提供)
「シニア層の方は朝イチに、仕事終わりだと17時以降に来店されるといった感じで、平均来店頻度は週に約2.6回です。当社では、創業時からコーチの正社員雇用を推進しており、女性社員が働きやすい環境を優先しています。フィットネス産業出身者よりもホスピタリティ産業出身の優秀な方を雇用したく、そのためには魅力的な職場環境が不可欠だと考えています」(カーブス 増本氏)

 大枠の特徴を聞くだけでは、運動習慣のない中高年女性が熱中する理由はぼんやりしている。しかし、サービスをより深掘ると、その輪郭がクリアになった。
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社長が明かす、退会率「驚異の2%」を維持できる3つの理由

 フィットネスジム事業では、新規入会者数とともに「退会率」も重要なKPIとなる。カーブスでも退会率の低下に試行錯誤してきた結果、近年は約2%と低水準を維持している。好調を導いた要因として、増本氏は「3つの来店理由を作るよう努めている」と話した。

 1つ目は、「運動」のため。コーチは毎回の指導のほか、月に一度、運動の成果と食生活のチェックも個別に行う。体重や体脂肪などの体組成も測定し、数値は専用アプリに連携される。「体が引き締まった」「疲れにくくなった」といった変化の実感が、継続のモチベーションになる会員は多い。

 2つ目は、「コーチに会う」ため。「コーチは、自分自身に会いに来てもらえるような関係づくりを心がけています」と増本氏。具体的には、1人ひとりの会員の顔と名前を覚え、親しみを込めて下の名前で呼びかける。1週間、来店がなければ電話で状況確認をする。そうして信頼関係を築きながら、女性特有の悩みや各人の生活環境を聞き、運動が継続できるよう励ますという。

「女性は結婚すると名字が変わる方が多く、〇〇さんの奥さん、〇〇くんのママなどと呼ばれることが増えますよね。そのため下の名前での呼びかけが喜ばれています」(カーブス 増本氏)

 そして、3つ目は、「友人に会う」ため。カーブスではコミュニティの形成を目指し、会員同士があいさつを交わす文化に注力する。何度も通ううちに顔見知りが増え、自然と会話が生まれるのだという。

「コーチもコミュニケーションが自然発生するよう工夫しています。たとえば、『犬を飼っている』という共通点がある会員同士に犬の話題を振ってみたり。特に、高齢の方には『カーブスに来ると新しい友だちができる』と好評です」(カーブス 増本氏)

 2018年からは、男性専用の「30分 予約不要 サポート付きジム メンズ・カーブス」も本格展開する。運動プログラムの効果について理論的な説明を行うなど、女性とは異なるアプローチも交え、現在は40店舗弱まで拡大。2035年8月までに380~500店舗を見据える。

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男性専用の「メンズ・カーブス」も拡大を進めているという
(カーブスジャパン提供)

 また、2018年には世界総本部のCurves International, Inc.(カーブスインターナショナル)を、2019年には欧州のフランチャイズ本部事業を担うCurves Europe B.V.(カーブスヨーロッパ)を買収。海外事業では、所得水準が高く高齢化が進む欧州を重点地域と位置づけ、出店を強化している。

 「人のチカラ」で価値を最大化する。こうしたカーブスと相反する戦略で爆速成長をかなえているのが、ライザップが運営するチョコザップだ。 【次ページ】【チョコザップ】「もはや何屋か分からない」裏に緻密な戦略
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