- 2026/07/30 06:10 掲載
「外食離れ」で明暗…他社は苦戦もマック・サイゼ・日高屋の客数が増え続けるワケ(2/2)
値上げはわずか1円…サイゼリヤが客数を伸ばし続ける秘密
サイゼリヤの既存店客数は2023年8月期以降、年間10%を上回るペースで増加し続けている。来客総数は2019年8月期の約1億6200万人から、翌年度にはコロナ禍の影響で1億2900万人に減少した。だが、2024年8月期にはコロナ禍以前の水準を上回り、2025年8月期の来客総数は2億500万人となった。この間に店舗数は1000店舗台を推移していたため、1店舗あたりの客数が増えた構図だ。サイゼリヤも安さを維持したことで客数が増加した。近年では「99円表示」廃止が目的の1円値上げしか行っていない。直近の客単価は862円だ。
サイゼリヤでは徹底したコスト削減策を実施しており、大盛りパスタの廃止などメニュー数の大幅な縮小を進めたほか、簡素なUIが特徴のQRコード注文を導入した。一方で、作業を徹底的にマニュアル化しているため、配膳ロボットの導入は他社ほど進んでいない。
同社も公表しているように、原料調達から店舗での供給までを自社で手がけている。ハンバーグの場合は牛肉をオーストラリアで調達し、現地の工場で加工してから日本に輸入している。アパレルのような製造直販(SPA)が同社の強みだ。値上げを1円に抑えたのはSPAの成せる技である。
なお、7月15日に開かれた決算記者会見の場で、松谷秀治社長は価格改定を検討していると明らかにしたため、今後の動向には注目だ。
値上げしても客が増える…? マクドナルドが勝てる理由とは
マクドナルドの既存店客数も比較的堅調で、今期の第1四半期は前年同期比4.8%増となった。第2四半期は前年と同等で着地しているが、2024年と比較すると約4.3%客数は伸びている状況だ。近年の店舗数は約3000で停滞しているが、マクドナルドは積極的に値上げしつつも客数が増えたため、全店売上高は年間500億円を超えるペースで増加した。
なお、同社におけるイートイン客は少数派で、テイクアウト・ドライブスルー・デリバリーが大半を占める。
マクドナルドが好調なのは、外食各社の値上げで相対的に安いチェーンとなったためだ。コロナ禍以前と比較すると、チーズバーガーの最低価格は140円から240円に、ビッグマックは390円から500円に上昇したものの、大半のメニューがセットでも1,000円を下回る。
高単価から低単価までを対象とする幅広い価格設定も巧みであり、同じチキン類では単品440円のチキンフィレオと190円のマックチキンを提供する。近年強化中の「マックカフェ」では大手カフェチェーンより安い価格でドリンク類を展開している。
DXも一定の効果を発揮した。2020年にモバイルオーダーを全国で導入したほか、近年ではセルフオーダーキオスクの導入を進めた。これらは海外店舗で先行していた施策であり、待ち時間の短縮や客単価の増加に貢献している。
なお、モスバーガーも近年、外食業界全体の値上げで1,000円未満のお得感が強みとなり、業績は好調に推移する。2025年度における既存店客数は前年比106.3%の水準で、今期は5月までの累計で前期比4.4%増えた。
3社に共通する“ある壁”の正体
好調な日高屋・サイゼリヤ・マクドナルドは、いずれも客単価が推定1,000円未満のチェーンだ。外食各社が値上げを進め、「1,000円の壁」を突破する中、3社は安さが目立ったことで支持を集めた。特に複数人では価格がシビアになってくるため、サイゼリヤ・マクドナルドは複数人客やファミリー客に人気だ。客数を増加、または最低限でも維持するには、今後も客単価を1,000円未満に抑える必要がある。
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