- 2026/09/02 06:10 掲載
ディズニー「若者離れ」はウソ?10月に1万2,400円へ値上げでも…20年データが覆す定説
連載:テーマパーク経済学
1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。テーマパークやチェーンストア、都市についての原稿を主に執筆。著書に『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)がある。
note:谷頭和希
X(旧Twitter):谷頭和希(たにがしら・かずき)
値上げラッシュのなかで生まれた「若者離れ」言説
帝国データバンクによると、2026年にチケットを値上げした国内の主要レジャー施設は、191施設のうち50施設、約26%にのぼる。遊園地・テーマパークに限れば101施設中32施設が値上げし、フリーパスの最高価格は平均5,033円と、調査開始以来初めて5,000円を超えた。たとえば、サンリオピューロランドでは8月から、大人のデーパスポートの上限を5,900円から6,900円へ引き上げた。同園は2014年、4400円だったパスポートを平日3,300円、休日3,800円へ実質的に値下げし、経営を立て直した歴史を持つ。それだけに、現在の方針転換はテーマパークの値上げを表す象徴的な出来事だとも言える。
そして、値上げの象徴として常に取り上げられるのが東京ディズニーリゾートだ。8月末から10月にかけて、料金をめぐる大きな変更が相次ぐ。
大人の1デーパスポートは2019年の7,500円、2021年からは混雑状況などによって価格が変わる変動価格制が導入された。現在は最高1万900円のチケット代となっており、2026年10月にはさらに1,500円引き上げられる予定だ。
しかも、値上がりしているのは入園料だけではない。9月1日からは、人気アトラクションを短い待ち時間で楽しめる有料サービス「ディズニー・プレミアアクセス」の一部価格も引き上げられた。
最高価格は1人2,500円となる。家族4人で利用すれば、1つのアトラクションだけで1万円だ。また、従来のファストパス(というのも、今は死語である)の代替のような役割を担っていた無料の「プライオリティパス」も8月31日で終了した。
この値上げと共に広がっているのが、「若者はもうディズニーへ行かなくなった」という言説である。
しかし、先に結論を言えば、「若者のディズニー離れ」はかなり誇張された言説である。少なくとも、若者が長期的にディズニーを見限ったと断定できるデータではない。どういうことか。
来園者数243万人減…でも「若者離れ」と断定できないワケ
「若者離れ」の根拠としてよく使われるのが、18歳未満の来園者数である。オリエンタルランドが発行するファクトブックをもとに計算すると、18歳未満の来園者は2019年3月期の約915万人から、2026年3月期には約672万人へと減った。約243万人、率にして約27%の減少である。たしかに243万人という数字だけを見れば、若者がディズニーから一斉に去っているように感じられる。しかし、この計算には落とし穴がある。
18歳未満の来園者数は「全体の入園者数 × 18歳未満の構成比」で算出されている。ところが、東京ディズニーリゾート(以下、TDR)全体の入園者数も同じ期間に3256万人から2753万人へ約500万人減っているのだ。
若者の数が減ったように見える一因は、若者だけでなく来園者全体が縮んだことにある。約27%という数字を、そのまま「若者離れ」の大きさと受け取ることはできない。
一方、割合で見ても若年層が減少しているというデータもある。オリエンタルランドのファクトブックによれば、2023年3月期から2026年3月期にかけて、4~17歳(チケット区分でいう小人と中人)の割合は26.1%から24.4%と若干の減少を見せている。
しかし、こちらもやはり落とし穴はある。そもそも、日本では若年層そのものが減っており、この低下が少子化に伴う自然な減少なのか、それとも若年層が意識的にTDRを選ばなくなっているのかは分からない。
「若者のディズニー離れ」を証明するには、TDR内だけでの若年層の比率を見るのではなく、日本全体での若年人口の推移も見る必要があるのだ。 【次ページ】本当に人気は下がっているのか? 20年のデータが覆した定説
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