- 2026/08/27 16:40 掲載
衛星量子通信の実用化へ前進…18kmの“量子鍵”配送をイタリアで実証
長距離の自由空間通信では、大気の乱れによって光の波面がゆがみ、細い光ファイバーへの結合が難しくなる。研究チームは口径410ミリメートルの望遠鏡と波面センサー、変形鏡を組み合わせて補正した。
超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)を使った場合、秘密鍵生成率は平均約1000ビット/秒だった。室温で動作する単一光子アバランシェダイオード(SPAD)でも約200ビット/秒を記録。量子ビット誤り率はそれぞれ1%未満、約2%だった。
実験に使ったQKDプラットフォームは、もともと光ファイバー通信向けに設計されたが、自由空間を組み合わせた今回の構成でも機能上の変更を必要としなかったという。
今回の成果が実用化につながれば、将来は衛星から自由空間を通って届いた量子信号を地上局で受け、都市部の光ファイバー網へつなぐ量子通信ネットワークを構築しやすくなる。
たとえば将来は、離れた拠点を結ぶ際に、自由空間通信と既存の光ファイバー網を組み合わせてQKDで秘密鍵を生成し、その鍵を暗号通信に利用する構成が考えられる。自由空間と光ファイバーという異なる伝送経路をつなぎ、既存の通信インフラを生かした量子ネットワークを構築できる可能性を示したことが、今回の成果の重要な点だ。
一方、今回実証したのは固定された地上間の18キロメートルのリンクであり、衛星との通信そのものに成功したわけではない。移動する衛星との接続や強い大気乱流、悪天候下での安定運用などは今後の課題となる。
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