- 2026/09/01 08:00 掲載
【122社調査】テーマパーク業界「値上げしても成長鈍化…」ディズニーはどう稼ぐ?
遊園地・テーマパーク122社、6割増収でも成長鈍化
東京商工リサーチ(TSR) は8月23日、国内の主な遊園地・テーマパークなどを運営する122社の2025年度業績をまとめた。売上高合計は1兆931億円と前年度比3.4%増え、4期連続の増収となった。当期純利益を比較できる121社の利益合計も1,577億円と3.0%増え、4期連続で増加した。ただ、売上高が増えた企業は74社で、構成比は60.6%。前年度の84社から10社減った一方、減収企業は34社から46社へ12社増えた。増収率別では「5%未満」が33社と最も多く、大幅な売り上げ拡大よりも小幅な増収が中心になりつつある。
利益面では、利益が判明した121社のうち95社が黒字で、78.5%を占めた。増益企業も63社と前年から6社増えたが、減益企業は56社に上る。2023年度と比べると減益企業は14社増えており、コロナ禍からの反動増が一巡する中で、収益拡大の難易度が上がっている格好だ。
背景には、旅行需要の回復が一服する一方で、施設側の受け入れ能力やコスト負担が重くなっている事情がある。日本政府観光局(JNTO) によると、2025年の訪日外客数は4,268万3,600人と過去最高を更新した。しかし、2026年1月は359万7,500人と前年同月比4.9%減少した。JNTOは春節の時期が前年からずれた影響なども挙げており、訪日需要そのものが失速したとまでは言えない。
一方、TSRは人気施設では収容可能客数に物理的な限界があり、来場者数の増加だけでは業績を伸ばしにくくなっていると指摘する。物価高や人件費高騰も重なり、入場料や飲食などの値上げを進めても、利益の伸びが追いつきにくい環境になっている。
売上首位は東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド
売上高首位は東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドで、5,881億7,100万円と2.9%増えた。入園者数は微減したものの、価格変動制で高価格帯チケットの構成比が高まったほか、「ディズニー・プレミアアクセス」などが伸び、ゲスト1人当たり売上高が過去最高となったという。オリエンタルランドの開示資料でも、ゲスト1人当たり売上高の伸びに高価格帯チケットやプレミアアクセスが寄与したとしている。売上高ではバンダイナムコアミューズメント(ナムコ・ナンジャタウン、浅草花やしき)が975億4,900万円で5.8%減、東京ドーム(東京ドームシティアトラクションズ)が615億1,300万円で6.5%増、ホンダモビリティランド(鈴鹿サーキットパーク、モビリティリゾートもてぎ)が443億9,100万円で43.4%増と続いた。なお、TSRの調査では、対象施設以外の事業を展開する企業については他事業を含む全社売上高を集計している。
客数の上限が見え始める中、大手は新たな成長源を探る。オリエンタルランドは2035長期経営戦略で2028年度のクルーズ事業開始を計画。就航数年後に売上高約1,000億円、年間乗客数約40万人を見込み、通年稼働する2029年度からの黒字化を想定している。
TSRは、地方の中小規模施設では人口減少や少子高齢化によって来場者数を増やしにくい一方、人気施設では受け入れ能力の限界が課題になるとみる。入場料の値上げだけではなく、グッズや飲食、ホテルなどを含めた体験価値を高め、1人当たりの消費額やリピート率を引き上げられるか。テーマパーク各社の成長戦略は「客数を増やす」段階から、その先へ移りつつあるという。
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