- 2026/09/25 06:10 掲載
「またAI飯か…」叩かれても企業が使うワケ、AIが進化するほど起きる“逆転”とは
大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書は『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社:共著)など。
炎上でも…企業が「AI画像」を使いつづける合理的な理由
最近、企業が生成AIを活用して作成・加工した食べ物の広告画像が、SNSで相次いで批判を浴びるのが目につく。2026年8月には、味の素のレシピサイト「味の素パーク」の公式Xが投稿した画像で、「ほんだし」のラベルや文字が崩れていることが指摘された。味の素は、実写写真をAIで明るさや背景などを加工した結果、文字やラベルが崩れたと説明し、謝罪している。
また9月に入ってからは食品以外でも、鹿児島県指宿市のマラソン大会ポスターで生成AIの使用が物議を醸いだほか、ゲーム会社レベルファイブもオンライン発表会でAIを使った映像を公開し、批判を受けて謝罪する事態となった。
もっとも広告・宣伝をはじめ、メディアに掲載されるビジュアルを加工すること自体は、生成AIが普及する以前から当たり前に行われてきた。特に食品広告では、照明や盛り付け、撮影後のレタッチなどを通じて「おいしそうに見せる」ことが重要である。逆に、実際に注文した料理が広告写真とあまりにも違っていて、消費者が落胆するという問題も昔からあった。
では、なぜ企業は批判されるリスクがあっても生成AIを使うのか。理由はシンプルで、制作のスピードとコストだ。SNS投稿や広告素材を大量かつ短期間で用意する必要がある中、背景変更や画像補正、バリエーション制作まで短時間でこなせる生成AIは、企業にとって無視しにくい存在になっている。
ただし、食品広告では事情が少し違う。画像は単なるイメージではなく、「実際にどんな商品なのか」を伝える情報でもある。AI加工で実物から離れすぎれば、効率化どころか信頼を損ないかねない。
そして興味深いのは、AIが広がるほど、むしろ“逆の表現”が評価され始めていることだ。 【次ページ】「AIか、人間か」ではない、プロが見る“本当の分岐点”
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