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  • 2011/11/15

広島県 湯崎英彦知事が語る「瀬戸内 海の道構想」:地域経済の活性化を目指せ!(後編)

県と地域金融機関が「資金の地産地消」目指す

現在の日本では、首都圏や東海圏に富が集中する一方、地域の経済は縮小していくという二極化の構造が顕著になってきている。特に本年は東日本大震災が発生し、被災地域の復興も大きな課題だ。日本経済全体を底上げするためには、やはり地域経済の活性化が何よりも重要となる。そのために地方は何を考え、具体的にどんな取り組みを進めていけばいいのか。後編では、広島県 知事 湯崎英彦氏と広島銀行 蔵田和樹氏が、「瀬戸内 海の道構想」とそれを支える地域金融機関の役割について、その実際の取り組みについて語った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama



地域活性化に向けた広島県の取り組み:「瀬戸内 海の道構想」

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広島県 知事
湯崎英彦氏
 広島県では現在、4つの大きく政策に取り組んでいる。各々「新たな経済成長」、「安心な暮らしづくり」、「豊かな地域づくり」、「人づくり」だ。「瀬戸内 海の道構想」はこのうちの新たな経済成長に相当するもので、広島県知事の湯崎英彦氏がマニフェストにも盛り込んでいたものだ。

「瀬戸内海には宮島や瀬戸大橋などがあり、世界でも有数の観光資源の集積地となっている。しかしこれまでそうした観光資源を一体的に活用できていなかった。海の道構想は、まさに点在する観光資源を活かして、地域経済の活性化を目指すもの」(湯崎氏)

 観光産業の経済的なポテンシャルとしては、サステナブル(=持続可能)な経済が実現可能であること、サービス業が多く、労働集約的で雇用効果が非常に大きいこと、また旅行客の消費波及効果が大きいことが挙げられる。これらを具現化するために必要な取り組みとして、湯崎氏は“公的主体による地域内の最適化”を強調する。

 地域資源の中には、まだ“発掘”されていないものも数多くある。こうしたものも含めてすべての地域資産を把握し、投資を行い、事業資産化することで、地域全体の産業として活用する。そしてそのベースには、公的な取り組み主体、資金、事業計画が必要なのである。

観光地の広域化を図ることで、地域資源の連携が可能となる

 広島県には、宮島、呉、尾道など多くの観光スポットがある。たとえば宮島は年間350万人もの観光客が訪れる。瀬戸内地域で見れば、岡山県では後楽園、愛媛県なら道後温泉、香川県なら直島なども有名だ。

「ただしそれぞれ観光客の目的地になってはいるが、相互の連携がない」(湯崎氏)

 各観光地が連携し始めれば、たとえばA地点からB地点への送客を促すことも容易になる。1人の観光客に対して、2か所での経済効果を見込むことができる。

「まさに広域としてブランド認知を受けるメリットはそこにある。また広域ブランド自体の魅力で、絶対的な観光客数も増やしていくことも期待できるだろう」(湯崎氏)

 そこで海の道構想では、新たな来訪目的を作っていくことを目指すという。たとえば海上クルーズや離島でのバカンスなどである。2010年には湯崎知事が台湾に赴いて“トップ営業”を行い、それがチャイナエアラインの便数を5便から6便に増やしてもらうことにつながった。こうした地道な活動もまた、訪日外国人旅行者の絶対数の増加に寄与していくものと思われる。

広域的活動を行うための組織作りが求められる

 現在、山口/広島/岡山/香川/愛媛の5県での観光関連消費は、約8000億円。これを1兆円にするのが元々の海の道構想だったが、今では広島県内での観光関連消費 約3200億円を倍増し、その波及効果も含めて約1兆円にしていくという方向に軌道修正されている。

 さらに2007年に約5800万人だった観光客数を2020年までに約8500万人に増やし、1人当たりの消費額を約5600円から約6900円に引き上げることを目標とする。

「国内の旅行需要が減少傾向にある中で、これは非常に野心的な数字だと思っている。今伸びている海外からの観光客に対していかに訴求していくかが、将来的には1つの大きな鍵となる」(湯崎氏)

 現在の日本は、観光地としてまだそれほど“分解”されていない。訪日外国人旅行客は非常に広域的に“日本に行こう”と考え、次に思い描くのが京都や東京、あるいは富士山だ。これは必ず一巡し、次にはより細分化した旅行のニーズが表れてくる。

「そういったところを狙って、我々は楔(くさび)を打ち込んでいきたい」(湯崎氏)

 ただ、そこに至るまでにはまだ少し時間がかかるという。今後の訪日外国人旅行客の需要に応えるためにも、まずは今の日本人観光客の需要にきちんと対応していくということが最重要課題だと湯崎氏は語る。

 そこで今年はまず、瀬戸内エリア全体の「経済成長」と「地域資源活用」の視点を持つプラットフォーム機能の構築を進めているという。地域資源のプロモーションや観光産業の活性化、あるいは地域ブランド維持のために、色んな規制をかけたり、緩和したり、という活動を行うための組織作りだ。

「瀬戸内というエリアを考えた場合、単なる県の連合体を越えた活動の在り方や、広域的な主体を作る必要があると考えている」(湯崎氏)

 その活動主体に具体的にどういう機能を持たせるのか、あるいは誰がそれを運営するのかについては現在最終的な検討をしており、各県知事とも話をしながら進めていくとのことだ。

【次ページ】資金の地産地消を目指す(広島銀行 蔵田専務取締役)

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