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  • 2012/11/21

ライフネット生命 岩瀬大輔氏×AMEX 安岡久美子氏:選ばれるブランドになるIT活用術

「安さだけでは売上につながらなかった」

インターネットやソーシャルメディアなど、メディアの多様化で企業と顧客との接点が増加する中、ますます重要性を帯びてきたのがカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)だ。デジタルマーケティングを中心として、エクスペリエンスはどのように創造していくべきか。「Oracle Customer Experience Summit」で行われたアメリカン・エキスプレス・インターナショナル(以下、AMEX) 個人事業部門 マーケティング 副社長の安岡久美子氏とライフネット生命保険 代表取締役副社長の岩瀬大輔氏が登壇し、現在の取り組みやIT活用について語った。

谷崎朋子

谷崎朋子

企業向けIT専門誌の編集記者を経て、フリーランスのライター兼翻訳家(英日)。ソフトバンク ビジネス+ITでは主に戦略やイノベーションなど経営施策に関連するIT関係の記事執筆を担当している。

人肌を感じる顧客体験の実践

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「宣伝会議」編集長の谷口優氏
 これまで企業が持っていた顧客との接点は、コールセンターや店舗窓口など、アナログ的な場が中心だった。しかし、スマートデバイスの多様化、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの浸透によって、企業ブランドを体験する場はデジタルへと急速に広がっている。

 2012年11月、都内で開催された「Oracle Customer Experience Summit」では、デジタルマーケティングを始めとする顧客との対話をどう考えるべきか、これからのカスタマーエクスペリエンスはどう管理していくべきかについてのディスカッションが行われた。

 「ブランドの価値向上に必要なエクスペリエンスという発想」と題した対談では、雑誌「宣伝会議」編集長の谷口優氏をモデレーターに、ライフネット生命保険、代表取締役副社長の岩瀬大輔氏と、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル(AMEX)、副社長の安岡久美子氏が登壇した。形のない商品を扱い、生涯のパートナーとなるべくカスタマーエクスペリエンスを構築する2社が、現在の取り組みやIT活用について語った。

 まず、谷口氏は両社のカスタマーエクスペリエンスに対する基本的な考え方について尋ねた。これに対して、AMEXの安岡氏は「世界で最も尊敬されるサービスブランドになることを目標に、カードを利用する場面やチャネルすべてのタッチポイントで、いかに顧客との接点を強化できるかに重きを置いている」と回答し、保険サービスやポイントプログラムなどの付加価値サービスを紹介した。

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アメリカン・エキスプレス・インターナショナル(AMEX)
副社長
安岡久美子氏
 安岡氏は、AMEXブランドを支える構成要素に「商品・サービスの価値」「ブランドへの思い」「カスタマーエクスペリエンス」を挙げた。商品の機能性やサービスを強化し、このブランドだから欲しいという付加価値を高め、期待値をこえる「WOW!」と言わせるカスタマーエクスペリエンスを提供することを、全社員で取り組んでいると安岡氏は述べる。

 WOW!の事例として、あるコールセンター担当者(同社ではカスタマーケアプロフェッショナルと呼ぶ)の事例を安岡氏は挙げた。かたくりの花を見たいという、ガンで余命幾ばくもない友人の夢をもらした顧客に対し、担当者はフラワーサービスやガーデナーに連絡するなど、あらゆる手を尽くして夢を叶えようと努力した。

「4月に咲く花を、問い合わせのあった12月に見せるのは難しいと言われたが、担当者はそれでも最後まで諦めなかった。お客さまからは、そこまでしてもらったことに感謝していただけたと聞く」(安岡氏)。

 こうしたケアはコストがかかる上に、イレギュラーな対応をどこまで現場に任せるかといった権限委譲の課題がある。「ジレンマもある」と答える安岡氏。考え方の1つとして「ネットプロモータースコア」(NPS)を紹介した。AMEXでは、同社のカードをどのくらい知り合いや友人に薦めたいかについて数値化し、グローバルに効果測定している。この値は、上がれば売上も増加するという裏付けにもなっており、WOW!に取り組む同社の原動力にもなっているという。「全社員のDNAレベルまでカスタマーエクスペリエンスの意義が浸透するよう、取り組んでいる」(安岡氏)。

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ライフネット生命保険
代表取締役副社長
岩瀬大輔氏
 人肌感のある対応は、ライフネット生命保険でも重視しているポイントだ。「生命保険のサービスを受けるときは、病気や亡くなったとき」と、商品の性質に関わる課題に言及した岩瀬氏は、なるべくであれば関わりを少なくしたいと感じるサービスにおいて、どうカスタマーエクスペリエンスを構築するかが課題と述べた。

 その解決策として、同社ではTV CMやホームページの印象、資料請求で届いたパンフレットの手触り、社員が外部との対話で見せる本音トークなどを通じて、透明性の高い、手作りな感情を届けることを重視しているという。

 同社のマニフェストには、「私たちは大切な友人や家族に胸を張って提供できるサービスを提供する」という条項がある。「サービスそのものがカスタマーエクスペリエンス」と話す岩瀬氏は、「2008年5月に設立したばかりと若い会社で、これまでは事業の安定を最優先してきたが、これからはWOW!と言わせるサービスにも積極的に取り組みたい」と意欲を示した。

【次ページ】選ばれるブランドになるためのIT活用術

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