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  • 2013/02/20 掲載

約30%の効率化を実現するために必要な、「最強の業務改革」とは

A.T. カーニー「最強の業務改革セミナー」

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A.T. カーニーは1926年に米国シカゴで創立されたグローバルな経営コンサルティング会社だ。その大きな特徴の1つは、戦略立案だけにとどまらず、専門分野に特化したコンサルタントが現場に入り込み、実行を徹底して支援することにある。先ごろ開催された「最強の業務改革セミナー」では、同社のコンサルタントが業務改革を推進するためのポイントについて解説した。ここでは、業務改革を実現するフレームワークと、“聖域”化されて改革に着手しづらい本社間接部門の業務改革について紹介する。
フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

「最強の業務改革」を実現するフレームワークと3つの要素

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A.T. カーニー パートナー
栗谷 仁氏
 「最強の業務改革」(東洋経済新報社)の編著者として知られる同社の栗谷 仁氏は、企業に必要とされる業務改革の方向性を定めるフレームワークについて明らかにした。

 世界の巨大企業間の覇権争いが本格化している中、新興国市場での競争も激化している。国内市場も人口減少に伴って縮小しており、グローバル競争に打って出る必要に迫られる企業も多い。産業構造は、エレクトロニクス関連産業では垂直統合モデルから水平分業モデル、更にはネットワーク型へとシフトし、物理的・地理的な制約がなくなりつつある。労働力も中・長期的にみれば大幅に減少する方向に向かっている。

 栗谷氏は「このような厳しい状況で業務改革を考えると、もはやオペレーションの観点からだけで生産性の向上や効率化を図っても解決できないことは明白だ。そこでビジネスモデル自体も見直し、オペレーションを変革していく必要がある。さらに大きく変化する労働人口の問題から、人的リソースについても検討しなければいけない」と指摘する。つまり、最強の業務改革を実現するためのフレームワークとして、「ビジネスモデル」(M)「オペレーション業務」(O)「キャパシティー」(C)という3要素から改革を進めていくことが重要となる。

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図1■最強の業務改革を実現するためのフレームワーク。「ビジネスモデル」(M)、「オペレーション業務」(O)、「キャパシティー」(C)という3要素から成る

 とはいえ、実際に業務改革を進めていくと、どのぐらい効果が見込めるのか、企業にとっては気になるところだろう。近年、A.T. カーニーが手掛けてきた33社の事例を見ると、業務オペレーションの改善のみでは約18%、ビジネスモデルの変革により事業構造まで踏み込んだ場合には約30%まで効率化を達成できたという。「いずれも平均値だが、業務改革によっては相当インパクトがあることが分かる。さらに調達コストも含めて考えると、10%程度の効率化の上乗せが可能になる」と栗谷氏は強調する。

 では、ポイントとなるビジネスモデルの変革とは具体的に何だろうか? これはユーザーの「アンメットニーズ」(詳しくはこちら)をどのように充足するか、そのために提供価値をどうやって高めて、集中化し、拡大していくかということだ。提供価値には、経済メリット、利便性、時間短縮、コンサルテ―ションなど、さまざまなものがある。これらの提供価値を支える能力と構造がビジネスモデルの定義であるが、そのビジネスモデルの方向性を考える際には価格の問題が必ず付いてまわる。

 栗谷氏は「市場調査をしてみると、ユーザーが求める価値の多くが価格ニーズである場合が多い。したがって価格を前提に考えざるを得ない。プレミアム価格を付けられるほどの圧倒的なオンリーワン商品はなかなかできないのが実情だ。ユーザーの提供価値を最大化するビジネスモデルの観点からは、低価格を実現しつつ、そこで足りない部分をその他のサービス・機能などで充足し、その総合的なバランスによって競争優位性を得ることがポイントになる場合が多い」という。

IKEAはなぜ成功しているのか

 栗谷氏は、このようなポイントを押さえて成功している企業のビジネスモデル事例を紹介した。たとえばIKEAは、高いデザイン性と機能性を追求しながらも、低価格な商品を提供している家具メーカーとして知られている。その秘訣はローコストな店舗運営にあるという。「迷路のような店内にして客に商品を眺めさせ、販売員による説明を行わずに人件費を浮かす。商品の搬出、自宅への搬送、組み立てを顧客にやらせることで、コストを抑える工夫を凝らしている。グローバルレベルでも店舗やオペレーション、商品などを共通化し、徹底的にスケールメリットを活かしている」(栗谷氏)。

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