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- 2014/06/03 掲載
ストレージ標準化団体SNIA新会長に聞く、Software Defined Storage/Data Centerの最新動向
「CIOの仕事もここ数ヵ月で大きく変化」
他団体と連携し、ストレージを取り巻く身近な課題に取り組む

会長
デビッド・デール氏
SNIAはストレージベンダーによる非営利の業界団体です。世界中のストレージハードウェア、ソフトウェアベンダ、約400社が加盟しています。主な活動はストレージ関連の技術研究と標準化の推進です。たとえばクラウドストレージの互換性を保つための共通インターフェイスとしてSNIAが提唱しているCDMI(Cloud Data Management Interface)は、ISOの国際標準としても採用されています。ドラフト第2版を公開してパブリックコメントを募集中のストレージ電力効率測定仕様Emeraldや、現在パブリックレビュー中のLTFS(Linear Tape File System)など、多くの技術標準の策定に取り組んでいます。
最近特に活発になっているのは、不揮発性メモリを使ったソリッドステートストレージ関連の技術研究や標準化ですね。SSDパフォーマンステストの仕様は、v1.0にいくつかの修正を加えたv1.1がリリースされたところです。この分野には新しいプレイヤーも参入しており、今とてもアクティブな状況です。
他には、アナリティクスやビッグデータの分野にも力を入れています。2014年4月にカリフォルニアサンタクララで開催したData Storage Innovation Conferenceでも、同分野への市場の関心の高さが感じられました。
基本的な方針は、ウェイン前会長と大きく変わることはありません。彼の取り組みを引き継ぎ、踏襲していくのがスムーズなやり方だと思います。
先ほど述べたソリッドステートストレージ分野をはじめ、業界全体で大きな変化が起こっています。その中でSNIAは、ベンダにもエンドユーザーにも身近な課題に取り組んでいかなければなりません。そして、技術研究の成果や新たな技術標準などをより明確に、皆さんにとってわかりやすい形で発信していきたいと考えています。まずこれが、私が会長として実現したいひとつ目のポイントです。
もうひとつのポイントは、他の団体とのコラボレーションを進めていくことです。LinuxやOpenStackなどのオープンソース分野の団体など、世界中のテクノロジ関連の団体とコミュニケーションを深めていきたいと思っています。コラボレーションの相手は、米国の団体に限りません。世界各地の関連団体と連携しながら、マーケティングに使っていける情報や課題を共有していきたいですね。
フラッシュがもたらしたのは未経験の飛躍的革新
──ストレージ業界全体で大きな変化が起こっているとのことですが、特に大きな変革を起こしているのはやはりフラッシュメモリなどソリッドステートストレージの分野ですか?そうですね。フラッシュメモリが業界にもたらした影響は破壊的な規模と言えます。DRAMに比べてコストパフォーマンスは10倍、エネルギー効率は30倍。HDDとの比較ではIOPS(IO Per Second)が100倍、エネルギー効率は1000倍にもなります。ストレージ業界は、これほどの飛躍的な革新を経験したことはありません。
当初は高価だったため、HDDのキャッシュなどに限定されていたフラッシュの利用範囲も次第に広がり、HDDとフラッシュの自動ティアリングによる階層化ストレージ、オールフラッシュのストレージアレイも登場しました。ただ、数年前に予想されていたほどHDDとの価格差は縮まらず、これからもHDDとフラッシュを組み合わせ、効率的にコントロールする製品が多いですね。しかし一方で、オールフラッシュでHDDの数百倍の性能を持つ製品も出てきているので、パフォーマンスを最優先する企業を中心に広がっていくでしょう。
【次ページ】SDSの共通定義を策定、CIOの仕事はここ数ヶ月で大きく変化
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