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  • 2015/04/17

受験サプリ、日本交通、コクヨらに学ぶ、新ビジネスを創造するモバイルアプリ成功術

ガートナー小野知道氏が解説

企業はいま「デジタルビジネス」への取り組みが求められている。デジタルビジネスとは「(人、モノ、ビジネスに関わる)デジタルの世界と物理的な世界の境界を曖昧にすることにより、新しいビジネスデザインを創造すること」である。そしてスマートフォン時代には、モバイルアプリを開発することが、デジタルビジネスの準備をすることに他ならない。本稿では、「受験サプリ」を手がけるリクルートマーケティングパートナーズ、「日本交通タクシー配車」を手がける日本交通、「CamiApp S」を手がけるコクヨS&Tらの事例をもとに、成功の秘訣をひもといてみたい。

ガートナー リサーチ部門 主席アナリスト 小野知道

ガートナー リサーチ部門 主席アナリスト 小野知道

ガートナー リサーチ部門 Web/モバイル・アプリケーション開発 主席アナリスト。ガートナー ジャパンにおいて、Webとモバイル・アプリケーション開発の国内の市場動向や開発手法について調査と分析を担当している。ガートナー ジャパン入社以前は、ERPコンサルティング、E-Commerce、モバイルCRM、モバイルSNS、携帯向けWeb、Javaアプリケーションの開発などに従事。2014年4月より現職。

冷蔵庫は食品を冷やすための箱ではなく、在庫管理端末にもなり得る

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 デジタルビジネスを志向することは、現在ほとんどの企業にとっても待ったなしの状況になってきている。まず現在の企業にとって重要な取り組みテーマの1つ、IoT分野において分かりやすいデジタルビジネスの例をご紹介しよう。

 たとえば食品小売店は、消費者の家庭内にある冷蔵庫にセンサーを取り付けさせてもらうことで、内部に牛乳や卵がどれぐらい残っているのかを感知することができる。そこでその情報をインターネット経由で自店に連携し、自動補充契約を結ぶことで、消費者が冷蔵庫内の欠品に気付く前に商品を届けるというサービスを提供することも可能になるだろう。

 つまり冷蔵庫はもはや食品を冷やしておくだけの物理的な箱ではなく、サプライチェーンの最後に位置する在庫管理端末になり得るということだ。これがまさに「デジタルビジネス」である。また、デジタルビジネスは、IT部門の視点である“デジタル化テクノロジの活用度合い”と、事業部門の視点である“ビジネスイノベーションの度合い”がともに高い方向に向いているものだとも言える。

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デジタルビジネスという言葉の定義よりもその方向性が重要だ
(出典:ガートナー,2015)


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 それでは次に、どのようなモバイルアプリがデジタルビジネスを実現しているかについて紹介しよう。ちなみにデジタルビジネスの話をする時に、モバイルアプリにフォーカスを当てるのには、2つの理由がある。

 まず1つは、スマートフォンは今、ほとんどのユーザーが持っている端末だということ。ターゲットをスマホに据えることで、企業はすぐにデジタルビジネスをスタートすることが可能となる。

 そしてもう1つが、スマホはセンサーの塊だということだ。スマートフォンにはカメラやGPSだけでなく、加速度センサーや照度センサー、ジャイロセンサー(傾き)などが搭載されている。ユーザーに関する多種多様なデータを取得することが可能なデバイスなのである。

 つまりスマホを対象にしたモバイルアプリを開発するということは、デジタルビジネスの準備をすることに他ならない。

既存のビジネスモデルを破壊するモバイルアプリ

 デジタルビジネスを実現しているモバイルアプリは、大きく4つのパターンに分類することができる。

 まずパターン1が、“既存のビジネスモデルを破壊しているもの”だ。この例としては、リクルートマーケティングパートナーズが提供する「受験サプリ」が挙げられる。これは予備校で開講されている2000以上の授業を、月額980円でモバイルアプリから利用できるというサービスだ。

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受験サプリ
(出典:リクルートマーケティングパートナーズ)


 日本政策金融公庫の調査によると、年収の2割近くを教育費が占めている(世帯年収が400万円未満の場合は、年収の4割を占める)という。限られた収入の中から50万~100万円の金額を支出するのはなかなか厳しく、また地方にいる受験生は予備校に通うことさえ難しいかもしれない。しかし受験サプリを利用すれば、1年間にかかるコストは1万1760円で済む。

 実際に今、高校3年生で大学受験をする受験生の2人に1人は、既にこの受験サプリを使っている状況だという。まさに既存ビジネスを破壊するモバイルアプリだ。

【次ページ】社内のモバイルプロジェクトを見渡す「MCoE」を設立せよ

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