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  • 2015/05/11 掲載

iPS細胞研究所 山中 伸弥氏が語る、iPS細胞を生んだ「ビジョンとワークハードの発想」

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2006年に誕生したiPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究が評価されて、ノーベル生理学・医学賞受賞を受賞した山中 伸弥氏。整形外科医を志していたという同氏が、なぜ研究の道を志したのか。新経済サミット2015の基調講演で、iPS細胞に辿り着くまでの長期目標や、自身に影響を与えた重要な出来事などについて語った。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

基礎医学の研究者として渡米し、大切なビジョンを思いだす

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京都大学 iPS細胞研究所 所長 山中 伸弥氏
 山中 伸弥氏は今から30年ほど前、整形外科医を志していたが、2つの理由からそれを諦めた。1つ目の理由は手術が下手だったからで、2つ目は、どんなに優秀な整形外科医でも直せない怪我や病気があるからだという。

「脊髄損傷になってしまうと、基本的にどうすることもできない。将来、こういう患者を治せるようになるとすれば、それは基礎医学研究しかない。そこで、臨床医から基礎医学の研究者になった」(山中氏)

 それから数年後、山中氏は研究者として渡米。サンフランシスコのグラッドストーン研究所に研究員として留学していたとき、同氏にとってiPS細胞発見に大きな影響を与える出来事があった。当時の研究所長のロバート・メーリー博士から研究者として成功する秘訣「VW」を聞いたことだ。

 VWとは「Vision & Workhard(ビジョンアンドワークハード)という意味。当時誰よりもハードに働いていたという山中氏は、ある時ロバート博士にビジョンについて訊かれた。同氏が“いい論文を書きたい、良い職に就きたい”と答えたところ、“シンヤ、それはビジョンではない。どうしてわざわざアメリカまで来たのか? 子どもと奥さんまで連れて来て”と言われた。

 山中氏はそこで目が覚め、本来のビジョンを思い出したそうだ。「難病患者を研究によって治したい、それが本当のビジョンだった。以降このビジョンを忘れないように心がけてきた」と当時を振り返った。

 もうひとつ、山中氏が留学時に出会った大切なものが「ES(Embryonic Stem Cell)細胞」だ。この研究は、1981年に米英の研究者が親ネズミの受精卵を取り出し、実験室での培養に成功したのが始まりだった。ES細胞をつくったマーティン・エヴァンズ氏は業績が評価され、2007年にノーベル賞を受賞した。

「ES細胞には2つの大きな性質がある。1つ目は、ほぼ無限に増やせること。2つ目が、細胞増殖後に、神経、筋肉、皮膚、血液など、体に存在する200種類以上のあらゆる細胞をつくり出せることだ。私は留学中にES細胞に出会い、以降20年間にわたってES細胞をはじめとする万能細胞の研究に携わってきた」(山中氏)

【次ページ】山中氏はいかにしてiPS細胞を発見したのか?

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