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  • 2015/08/07

電力自由化で注目!福岡県みやま市が目指すのは「エネルギーの地産地消」だけではない

2016年4月の電力自由化に向け、多くの企業が電力小売りへの参入を目指す中、この動きが地方自治体にも急速に広がってきた。公共施設向けに地元の大規模太陽光発電(メガソーラー)やバイオマス発電で作った電力供給を計画する自治体が相次いでいるほか、自治体が出資する新しい電力会社も次々に設立されている。中でも注目を集めているのが福岡県南部、人口4万人足らずのみやま市だ。みやま市は新電力「みやまスマートエネルギー」(磯部達社長)を設立、電力自由化とともに市内の家庭に電力供給を始め、「エネルギーの地産地消」を目指す。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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ドイツの「シュタットベルケ」は、電気・ガス・水道などを必要とする企業や家庭への供給事業を広域で集約・連携して行っており、自治体による地域経営の有効な手段となっている

6,000世帯に売電し、14億円の売り上げ見込む

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 みやま市の「みやまスマートエネルギー」は、市が55%、残りを地元の筑邦銀行などが出資し、3月に設立された地域エネルギー会社だ。市と共同事業協定を結ぶ電力管理システムのエプコ(東京、岩崎辰之CEO)が電力小売りのシステムやノウハウを提供する。自治体が地域内の電力供給に携わる全国でも先進的な取り組みといえよう。

 事業計画によると、電力は、市が出資するみやまエネルギー開発機構のメガソーラーから年間5,000キロワットと、市民が設置した太陽光パネルの余剰電力を買い取ることでまかなう。足りない分は九州電力から購入する。

 市内は平地が多く、日射量や気温が太陽光発電に適している。このため、市内1万4,000世帯のうち、1,000世帯が太陽光パネルを設置しており、晴れた日なら昼間の電力を十分まかなえるという。将来は市内2カ所にある別のメガソーラーからの買電や、バイオマス発電の設置も検討する方針だ。

 本年度は市役所や小中学校など市内32の公共施設に電力を供給するが、電力自由化後は市内の住宅に電力販売を始める。安価な時間帯の電力を蓄えて、従来の電気料金より安く提供するとともに、世帯ごとの生活スタイルに合わせた複数の料金プランを提案することで、4年目の2018年には市内の43%に当たる6,000世帯に売電し、約14億円の売り上げを目指している。西原親市長は記者会見で「エネルギーの自給自足を目指したい」と意気込みを語った。

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みやまスマートエネルギーの設立


高齢者見守りサービスや家事代行も計画

 市が目指すのはエネルギーの地産地消だけではない。電力販売と絡めたさまざまな市民サービスも計画している。市内では経済産業省の「大規模HEMS(家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム)情報基盤整備事業」がスタートしている。

 市内約2,000世帯に日々の電気使用量が分かる端末が設置され、インターネットで市と結ばれている。これを活用して独居高齢者の見守りサービスを実施する一方、各家庭にタブレットを配布し、家事代行や商品の宅配、病院の予約、タクシーの手配などをボタン1つでできるようにする考えだ。

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すべての新サービスがタブレットで受けられる


 これらのサービスがスタートすると、各種代行、宅配業者やコールセンターなどさまざまな産業が生まれ、そこに新たな雇用を生む可能性がある。市は公共施設で安い電力を使用することによる経費削減や、地元雇用の拡大に伴う税収増で、新しい住民サービスや産業育成に予算を回せると期待している。市民にとっても電気代が安くなり、福祉サービスが充実するのは大きなメリットだ。

【次ページ】目標はドイツの「シュタットベルケ」

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