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  • 2016/01/18 掲載

グローバル経営者に伝える日本の弱点 - モデル改革で3倍の生産性を実現する

グローバル経営者に伝える日本の弱点(2)

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命題を真正面から捉え、解決のために経営の基本的な考え方(モデル)を変えること。これが今、日本の経営者に求められている。前回、経営者は、まず避けては通れない至上命題を定め、これを解決する基本的な考え方である「モデル」を自ら生み出すべきだと学んだ。今回は、日本企業が命題を設定できない背景と、モデル改革の成功事例を解説する。

命題設定が苦手な日本企業 まずは命題の発見から

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アクト・コンサルティング
取締役
経営コンサルタント
野間 彰氏
―前回のお話では、命題やモデルを曖昧にしたままで、オープンイノベーションなどの仕組だけを取り入れても、大きな成果は得られない。グローバル競争で勝てないということでした。

野間氏:その通りです。

―しかし、命題の設定が、まず難しそうですね

野間氏:コンサルティングの実践の中で、クライアントの経営者と命題の話をすることは多いのですが、命題を必死で探すということはあまりない。命題は誰もが知っている。しかし、解くべきだ、解ける、と考えていない場合が大半です。

 例えば、日本企業は技術力があるのに、グローバルに見ると営業利益率が低いという問題があります。これに対して日本企業は、コストを下げる努力は徹底的に行っていますが、モデル、つまり基本的な考え方を大きく変えることはしていない。常に言われている問題ですし、ずっと今のモデル、つまり現場のコスト削減努力で対応してきたので、これからもそうする。つまり、この問題を命題に定めるという発想がない企業が多いのです。

―この問題を命題と定めると、解けるのでしょうか。

野間氏:例えば素材メーカーで考えてみましょう。デザインやブランドなどで差別化は難しい、技術力、製品力で真っ向勝負できる分野です。そこで、「高い技術力を活用してどうやってワールドクラスの利益率を出すか」という命題をしっかりと定め、徹底的にモデルを考えます。例えば「強さを正しく顧客に説明して値引きしない」というモデルが考えられます。実際に、欧米の素材メーカーに存在するモデルです。

 このモデルを実現するには、まず、営業部門を全員理科系社員にします。そして、営業パーソンの技術的な知見、自社技術の経済的価値を示すスキルを磨いて、顧客に自社製品の価値をしっかりと説明し、納得してもらう能力を持たせる。これを支援する情報を充実する。また、値引きは悪であり、値引きしてくる営業は能力がないとみなされる文化風土や評価制度を作ります。

 一方で営業には、顧客の将来のニーズを掘り出し、自社開発部門に伝える使命を負わせ、強い技術で次々と強い製品を生み出すサイクルを回します。実際このモデルを採用している海外メーカーで、日本メーカーの倍近い営業利益率を出しているところがあります。このモデルが、すべての業界で活用できるかどうかは別にして、営業利益率問題は、命題として設定し、解決方法つまりモデルを考えるべき重要な問題です。

―なるほど。確かにそう考えると、普段解決を諦めていたり、存在すら忘れている命題がいろいろとありそうですね。

野間氏:その通りです。命題を命題と認識できない背景には、既存のモデルを与件と捉えることもあると思います。

 先ほどの例では、採用から変えて、理科系の人財だけで営業部隊を作ることになりますが、そんなことできない、とか、そもそもそんな発想が出ない、といった問題があるでしょう。だからこそ、現状を大きく変える視点を持ち、実際にリスクをテイクしてモデル変革を決断できる経営者が、自らモデルを考えなければならないのです。

 例えば、財務部門は、事務処理やレポート作成ではなく、本来経営支援を行うべきだが、なかなかそれが出来ない。例えば、参入を検討している新規事業には、既に多くの企業が出ているが、そこでどうやって勝つのか。命題は目の前に横たわっています。これを解かないと言うのは、現場に対して「とにかく頑張れ」と言っているのと同じです。

【次ページ】欧米事例から学ぶ 日本企業が命題を認識できない理由

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