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2016年02月08日

グローバル経営者に伝える日本の弱点(3)

グローバル経営者に伝える日本の弱点 -「日本の強力なビジネスモデルを知っているか」

日本の経営者に求められているのは、命題を真正面から捉え、解決のために経営の基本的な考え方(モデル)を変えることだ。前回は、命題を発見し、解決のためのモデルを創造し、仕組を作ってトップダウンに実現することを学んだ。今回は日本企業のモデル事例を見ながら、グローバル競争で勝つためのビジネスモデルの構築方法を議論していく。


日本企業のモデル戦略事例

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アクト・コンサルティング
取締役 経営コンサルタント
野間 彰氏

――前回は、海外企業の事例で、競争相手の倍以上の生産性を上げる、パワーのある「モデル」のお話を聞きました。このような強力なモデルは、日本企業にもあるのでしょうか。

野間氏:もちろんあります。昔、トヨタの生産部門の幹部に、トヨタのモデルは何か聞いたことがあります。「協力会社のコストを下げる手伝いをして、下がった分を協力会社とトヨタがシェアすることだ」と言っていました。これはトヨタの持つモデルの一側面でしょうが、世界でもトップレベルの現場改善力を用いたシンプルでパワーのあるモデルだと思います。

 世界シェア1位の製品をいくつも持ち、高い利益率を誇る生産設備メーカーの役員は、自社のモデルを「お客様を勝馬にして乗る」と言われていました。今勝っている、つまり業績の良い企業ではなくて、将来勝馬となる可能性を秘めた顧客企業を見つけ出し、自社の製品(生産設備)、技術を提供して、顧客の生産改革を支援し、一緒に顧客事業を成長させグローバルに成功させる。すると、同様な事業、製品を持っている他の顧客から、自分たちもその設備が欲しいと言ってくる。これによって、高い競争力と成長性を維持していくのです。

――なるほど。今勝っている企業ではなくて、将来勝つポテンシャルを持っている顧客を探すことがポイントですね。

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野間氏:他の例として、業界No.1の規模と高い利益率を誇るハイテク企業は、「世界一の技術でシェア1位か2位を取る」というモデルを持っていました。世界一の技術を持つ製品を作って、世界シェア1位か2位を確保する。すると、顧客に対する交渉力が高まり、また、顧客情報も潤沢に得ることができるので、高い利益率を獲得できる。こうして得たキャッシュを、次の世界一技術、製品の開発に還流させていくというモデルです。

 この企業の場合、技術・製品開発の現場では、「それのどこが世界一か」と常に問われ、世界一を内包していないテーマは、そもそもテーマとなりません。また、技術担当役員は、下から上がってきた技術テーマへのリソース配分をそのまま使うことをよしとせず、次の世界一製品、技術となるテーマを見切って、そこへリソースを躊躇なく傾斜配分することが求められています。つまり、将来を見切って、次の世界一製品、技術を定め、経営トップや取締役会の反論に耐え、彼らを納得させ、リソース傾斜配分を決断することが、担当役員の重要なコンピテンシーとなっているのです。

 リソースの傾斜配分はリスクを伴います。そこで、リスクをコントロールするための仕組もあります。例えば部長クラスの建設的な批判をぶつけ合う会議体などがそれです。担当役員が、すべての技術を深く押さえることは難しい。そこで、専門家同士の真剣な議論を見ることで、どのテーマがどのようなリスクを持っているかを見通し、リスクコントロール方法を明確化するために効果を発揮しています。

――製造業以外ではどうでしょう。

野間氏:日本で高い利益率を確保している大手ITベンダーで、「顧客と共に成長する」というモデルを確立しているところがあります。先に示した機械メーカーと似ていますが、共に成長する所がポイントです。

 例えば新たに出現する流通業の新業態では、やがて株式公開ができるまでに力を持った顧客が出てきます。そこでこの企業では、まずコンサルティング部門が、そのような将来成長する可能性の高い顧客の株式公開を支援します。株式公開の前後には、社内管理体制の強化や、さらなる成長を支えるためにシステムの高度化が必要になります。そこで今度はシステム部門が支援に回り、既存システムを、自社で置き換えてしまう。このビジネスは、一旦システムを置き換えると、それを支援したベンダーが、その後も優位に立てる特性があるので、その後は顧客の成長に並走していける。その都度必要なシステムを提案し、また運用保守を受託し、顧客と共に成長していくのです。

【次ページ】東レでモデルをシミュレーションしてみる

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