• 会員限定
  • 2016/05/06 掲載

ファイルサーバ導入の基本、ライセンス違反はないか?マイナンバーに使ってもよいか?

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
昨今では大企業のみならず、中小企業においても数多くのビジネス文書が日々作成されている。それらを管理/保管する主要な手段の一つが「ファイルサーバ」だ。だが、文書量が増えるにつれ「まったく参照されない不要な文書があるのはわかっているが、どうやって削減していけばよいかわからない」といった悩みを抱えるケースは少なくない。また、2016年末には年末調整に向けて従業員のマイナンバー収集に取り組む企業も多くなる。その際は「個人番号の格納先として現状のファイルサーバで大丈夫なのか?」を確認しておく必要も出てくるだろう。こうした背景を踏まえて、中小企業におけるファイルサーバ活用を点検してみることにしよう。

ノークリサーチ 岩上由高

ノークリサーチ 岩上由高

ノークリサーチ シニアアナリスト 博士(工学)
早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻卒業後、ジャストシステム、ソニーグローバルソリューションズ、ベンチャー企業などでIT製品及びビジネスの企画/開発/マネジメントに携わる。ノークリサーチでは多方面で培った経験を生かし、リサーチ/コンサル/執筆・講演など幅広い分野を担当。著書は「AdobeAIRの基本と実践」「クラウド大全(共著)」(日経BP刊)など。

photo
ファイルサーバの導入にはいくつかの落とし穴がある

一般のPCやサーバの流用がファイルサーバの最適解とは限らない

 「ファイルサーバ」とは、主にワープロや表計算などのビジネス文書を保存/管理するためのIT機器を指す。高度な機能を備えた専用機から外付けハードディスクから発展したものまで、その種類は実にさまざまだ。まずは中小企業で活用されているファイルサーバにはどのようなものがあるか?を確認しておこう。以下のグラフは従業員数49人以下の企業に対し、ファイルサーバとしてどのような機器を利用しているか?を尋ねた結果である。

画像
ファイルサーバの利用状況

関連記事
 最も多く挙げられている項目は「一般のサーバをファイルサーバ用途として利用」である。一般のサーバとはグループウェアや会計/販売といった業務システムを動かす際に用いるのと同じサーバを指す。

 昨今はこうしたサーバを安価に調達できるようになってきたこともあり、「業務システムの導入に合わせて、ファイルサーバ用にも一台入れておこう」などといった流れで利用されることが少なくない。

 中小企業においても業務システムで最も一般的なのはWindowsを搭載したサーバだ。だが、Windows搭載サーバをファイルサーバ用途として利用する際はアクセスするPCやユーザーの数に応じたライセンスが必要となる。そのことを知らずに利用してしまうと、ライセンス違反となってしまうので注意が必要だ。

 とはいえ、「専用機ではなく、扱い慣れたサーバをファイルサーバにしたい」というニーズはもちろんある。それに応えたのが2番目に多い「サーバをベースとしたファイルサーバ専用機」という形態だ。

 これらは機器としては一般のサーバと同じだが、「Windows Storage Server」というファイルサーバ向けOSを搭載している。用途が限られるが、PCやユーザーの数に応じたライセンス(Windowsの場合は「CAL(Client Access License)」と呼ばれる)が不要となる。

 「Windows Storage Server」は以前から存在するが、中小企業における認知があまり進んでいない。一般のサーバと同じものをファイルサーバとして利用したい場合には覚えておいても損はない選択肢といえる。

 「ストレージ機器によるファイルサーバ専用機」は複数台の機器をつないで、パフォーマンスや容量をアップできるなどといった高度な機能を備えたものを指す。大量のCADデータを扱う製造業、動画などを扱うコンテンツ制作会社などの業種では、こうした専用機を必要とするケースもあるが、全体に占める割合は少ない。

 「特定のPCをファイルサーバ用途として利用」は避けるべき選択といえる。WindowsではPCをファイルサーバ用途として利用することはライセンス上、許可されていない。

 さらに、ハードディスクの堅牢性やバックアップツールの充実度などにおいてもサーバと比較して十分とはいえない。「部課長のPCに全員のファイルを保存して共有している」という運用を行っているケースがもしあった場合には、すぐに改善措置を講じる必要がある。

 「LAN接続可能な外付けハードディスク」は3番目に多く挙げられている項目だ。個人用にUSBケーブルなどで接続する外付けハードディスクを利用している方も多いかもしれない。それをベースに、企業で必要となる機能/性能を強化し、ネットワーク経由で複数のPCから利用できるようにしたものが、「LAN接続可能な外付けハードディスク」である。部署単位で手軽に導入したい場合には有効な選択肢の一つとなってくる。

 このようにファイルサーバにはさまざまな種類が存在するが、場合によってはライセンス違反となってしまうものもある点に注意が必要だ。少なくとも「何となく手元にあるサーバやPCをファイルサーバとして利用する」という選択は避けるべきだろう。まずは「ファイルサーバ用途には然るべきOSや機器をきちんと選ぶ」という意識を持つことが大切だ。

【次ページ】ファイルサーバ利用における課題と解決策

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます