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- 2016/05/06 掲載
ファイルサーバ導入の基本、ライセンス違反はないか?マイナンバーに使ってもよいか?
一般のPCやサーバの流用がファイルサーバの最適解とは限らない
「ファイルサーバ」とは、主にワープロや表計算などのビジネス文書を保存/管理するためのIT機器を指す。高度な機能を備えた専用機から外付けハードディスクから発展したものまで、その種類は実にさまざまだ。まずは中小企業で活用されているファイルサーバにはどのようなものがあるか?を確認しておこう。以下のグラフは従業員数49人以下の企業に対し、ファイルサーバとしてどのような機器を利用しているか?を尋ねた結果である。昨今はこうしたサーバを安価に調達できるようになってきたこともあり、「業務システムの導入に合わせて、ファイルサーバ用にも一台入れておこう」などといった流れで利用されることが少なくない。
中小企業においても業務システムで最も一般的なのはWindowsを搭載したサーバだ。だが、Windows搭載サーバをファイルサーバ用途として利用する際はアクセスするPCやユーザーの数に応じたライセンスが必要となる。そのことを知らずに利用してしまうと、ライセンス違反となってしまうので注意が必要だ。
とはいえ、「専用機ではなく、扱い慣れたサーバをファイルサーバにしたい」というニーズはもちろんある。それに応えたのが2番目に多い「サーバをベースとしたファイルサーバ専用機」という形態だ。
これらは機器としては一般のサーバと同じだが、「Windows Storage Server」というファイルサーバ向けOSを搭載している。用途が限られるが、PCやユーザーの数に応じたライセンス(Windowsの場合は「CAL(Client Access License)」と呼ばれる)が不要となる。
「Windows Storage Server」は以前から存在するが、中小企業における認知があまり進んでいない。一般のサーバと同じものをファイルサーバとして利用したい場合には覚えておいても損はない選択肢といえる。
「ストレージ機器によるファイルサーバ専用機」は複数台の機器をつないで、パフォーマンスや容量をアップできるなどといった高度な機能を備えたものを指す。大量のCADデータを扱う製造業、動画などを扱うコンテンツ制作会社などの業種では、こうした専用機を必要とするケースもあるが、全体に占める割合は少ない。
「特定のPCをファイルサーバ用途として利用」は避けるべき選択といえる。WindowsではPCをファイルサーバ用途として利用することはライセンス上、許可されていない。
さらに、ハードディスクの堅牢性やバックアップツールの充実度などにおいてもサーバと比較して十分とはいえない。「部課長のPCに全員のファイルを保存して共有している」という運用を行っているケースがもしあった場合には、すぐに改善措置を講じる必要がある。
「LAN接続可能な外付けハードディスク」は3番目に多く挙げられている項目だ。個人用にUSBケーブルなどで接続する外付けハードディスクを利用している方も多いかもしれない。それをベースに、企業で必要となる機能/性能を強化し、ネットワーク経由で複数のPCから利用できるようにしたものが、「LAN接続可能な外付けハードディスク」である。部署単位で手軽に導入したい場合には有効な選択肢の一つとなってくる。
このようにファイルサーバにはさまざまな種類が存在するが、場合によってはライセンス違反となってしまうものもある点に注意が必要だ。少なくとも「何となく手元にあるサーバやPCをファイルサーバとして利用する」という選択は避けるべきだろう。まずは「ファイルサーバ用途には然るべきOSや機器をきちんと選ぶ」という意識を持つことが大切だ。
【次ページ】ファイルサーバ利用における課題と解決策
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