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  • 2015/07/14 掲載

企業向けストレージ(EFSS)の比較方法をガートナーが指南、どう選択すべき?シェアは?

ガートナー 鈴木雅喜氏が解説

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重要な企業データを保管する「ストレージ・インフラ」を検討するうえで、現在ではクラウド・ストレージやファイル・サービスなど、数多くの新たな選択肢が登場している。そこで本稿では、ファイル同期・共有サービス(Google DriveやMicrosoft OneDrive、Dropboxなど)の中でも、企業利用を前提としたサービス/製品(EFSS:Enterprise File Sync)の導入状況、日立・富士通といった日系ストレージベンダーとEMCやIBM、NetAppといった外資系ベンダーの違い、さらにはNutanixやPure Storage、Commvault、Tintriといった新興勢力の台頭などを含めて、企業がストレージ製品やサービスの選択をどのように進めていけばよいのかについて解説する。
ガートナー リサーチ部門 バイス プレジデント 鈴木 雅喜

ガートナー リサーチ部門 バイス プレジデント 鈴木 雅喜

デジタル・ビジネス、ビッグ・データ、クラウド、仮想化といった幅広いトレンドをとらえITインフラの中でも、データやコンテンツ周りを中心とした視点から分析と提言を行っている。製造業種で10年以上顧客と向き合う技術者あるいは開発者として経験を積み、その後事業企画に携わった後、1997年、ガートナー ジャパンに入社。ユーザー、ベンダーの双方と向き合うことで得られた知見を基に、戦略的なアドバイスを提供している。

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ストレージ・インフラにも必要となる“2つの流儀”

連載一覧
 現在モバイル、クラウド、ビッグデータ、あるいはIoTといった新しいテクノロジが同時に広がり、こうしたテクノロジを織りなし、ビジネスに活かそうという動きが顕在化し、無視できない状況となっている。

 こうした「デジタル・ビジネス」に取り組む際には「2つの流儀(=バイモーダル)」、即ちモード1、モード2という2つの考え方が必要だ。前者は従来の信頼性と効率、安全性などを重視するスタンス、後者は俊敏性とスピードを重視するスタンスである。

 この「2つの流儀」をストレージについて考えた時、モード1は、従来型のストレージ・インフラをいかに改善するかという話になる。具体的には、信頼性と安定運用を優先しながら、新しいテクノロジやアーキテクチャを使って、いかに管理負荷と購買コストを下げるかだ。時間と新たな投資を生み出していくためには必須になる。

 これに対してモード2は、「デジタル・ビジネス」に備えるための取り組みで、必要になればすぐに使える、あるいは使いやすくて、ビジネスに役立つストレージ環境を準備するという話になる。モード1だけでは、これからのデジタル・ビジネスの流れにインフラが追い付いていかない。そこで完璧な可用性よりも、すぐに必要な容量と性能を提供して、効果を出していくことが重要になる。さりとて、 モード1を放棄するわけにはいかない。

 加えてもう1つ、これまでIT部門がストレージ・インフラを考える時、どうすればコストを下げられるのか、いかにファイル・サーバの拡張を抑えられるのかという縮小戦略を採りがちだった。モード2の考え方の下では、やや視点を変え、ビジネス効果をもたらすために、新しいテクノロジやストレージ容量の活用を促進する姿勢に変わっていく必要がある。

 今後企業は、この2つのモードを別々の戦略軸で考えていく必要があるだろう。

 さて、デジタル・ビジネスへの準備のために必要となるモード2だが、そこには気を付けなければならない落とし穴がいくつか存在する。

 まず迅速性を重視し過ぎるあまり、不安定なサービスを選択してしまう恐れがあるということだ。今後はクラウドという選択肢が従来以上に多く出てくるが、その時にセキュリティ上の問題がきちんと考慮されているかどうかに十分留意する必要がある。また迅速なプロビジョニングは重要だが、永遠に放置されたままという事態も起こりがちになる。ライフサイクルにも配慮する必要がある。こうした落とし穴には、重々気を付けておかなければならない。

 それからもう1点、モード2ではユーザー・ファーストが重要なポイントとなる。エンドユーザーにとって、いかに簡単で、いかに使いやすいかに注目するのが、モード2におけるストレージの考え方だ。

画像
「モード2」のストレージ・サービス
(出典:ガートナー)


 このモード2のストレージ・サービスとしては、現在さまざまなタイプのものが提供されているが、DropboxやBox、OneDriveといった今非常に注目を集めているファイル同期/共有サービスにフォーカスしてみよう。

【次ページ】ストレージ市場を大きく変える新興企業
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