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- 2016/06/13 掲載
ポピュリズムに走る日本の政治家、日本とドイツ、どこで道は分かれたのか
ライフネット生命 出口会長と島澤 諭氏が議論
日本とドイツ、どこで道は分かれたか
他の国と比較すると、例えばドイツは半世紀近くも東西に分断され、しかも東ドイツはソ連に搾取されるという日本とは対照的な道を歩みましたが、今は日本よりも経済・財政運営に係わるほとんどの指数がはるかにしっかりしています。2015年度予算では1969年以来となる新規国債発行ゼロを達成し、国の歳入をすべて税収でまかなっています。
島澤:日本は国の歳出が100兆円に届く勢いですが、これは元々、リーマンショックをきっかけに101兆円となったことに端を発します。リーマンショックは戻りましたが、それから歳出は5兆円しか減っていません。その一方、税収は50兆円台後半しかなく、歳入の約4割を公的借金でカバーしています。新規国債発行額が前年より減ったといってもまだまだ新しい借金が増え続けているわけですから、健全な財政運営をするドイツとはあまりに対照的です。
出口:ドイツが国債の発行なしでも国を運営できるのは、本気で社会の構造改革や財政再建に取り組んできたからです。ではなぜ本気で改革に取り組めたかというと、首相の在任期間が長いからです。ドイツは東西に分裂した1949年以降、首相経験者は7人しかいません(旧東ドイツを除く)。平均在任期間は1人あたり9.4年で、現在のメルケル首相はすでに10年以上も首相職を務めています。
これが何を意味するかというと、国債は基本的には10年債です。日本の首相は2年ぐらいで入れ替わるわけですから、「そのうち優秀な若者が出てきて何とか借金を返してくれるだろう」と無責任になってしまうのです。これは王政よりもひどい状況です。王様なら自分の子どもが後を継ぎますから、無責任なことはそう簡単にできない。会社もそうですが、統治期間が短すぎると皆問題が先送りになる。でも10年務めるとなると自分で借金を返さなければならなくなるので、安易な借金ができなくなるのです。
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