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- 2017/03/01 掲載
1泊120万円超!古都・京都に「外資系」超高級ホテルが続々参入のワケ
1部屋1泊120万円超の高級ホテルが東山区に登場
清水寺や三十三間堂、祇園、京都国立博物館には歩いて行ける好立地。2万平方メートルの敷地に180の客室があり、うち57室を分譲販売した。世界中から観光客が殺到する桜や紅葉の季節でも、海外の富裕層が宿泊しやすくしたわけだ。
外観は茶色を基調としたシックな造りで、古刹が建ち並ぶ周囲の景観に配慮した。最大360人収容の宴会場、3つの小宴会場を持ち、国際会議や展示会にも対応できる。
客室の内装に京都特産の西陣織を使ったほか、平安時代の武将で平清盛の嫡男平重盛邸跡とされる「積翠園(しゃくすいえん)」をホテルの庭園に活用し、歴史豊かな京都らしさを演出している。
嵐山地区では純和風の外資系ホテルが開業
市西部の景勝地・嵐山地区では2015年、ホテル大手スターウッドホテル&リゾートの「翠嵐(すいらん)ラグジュアリーコレクションホテル京都」が開業した。右京区の保津川沿いで森トラストグループが開発した高級ホテルだ。スターウッドホテル&リゾートは米国を拠点に世界100カ国以上でホテル経営し、「ウェスティン」「シェラトン」など10のブランドを展開している。このうち、「ラグジュアリーコレクション」は最高級の1つと位置づけられ、翠嵐が国内第1号になる。
施設は嵐山の景観にマッチした純和風。約5,400平方メートルの敷地に隣接して天龍寺や宝厳院があり、保津川越しに嵐山を眺められる。39室の客室のうち、17室に天然温泉を引く本格的な露天風呂がつく。室内もホテルと旅館を融合したデザインにしている。
和風の門をくぐると、かやぶき屋根の茶寮があり、茶菓子や軽食を味わえる。築100年以上の古民家を改造したレストラン、日本庭園も備え、自然と歴史に包まれながら滞在できるまさに嵐山の特等席だ。
京都市に進出、進出予定の主な外資系ホテル | |||
ホテル名 | 開業年 | 所在地 | 客室数 |
ハイアットリージェンシー京都 | 2006 | 東山区 | 189 |
ザ・リッツ・カールトン京都 | 2014 | 中京区 | 134 |
翠嵐ラグジュアリーコレクションホテル京都 | 2015 | 右京区 | 39 |
フォーシーズンズホテル京都 | 2016 | 東山区 | 180 |
アマン京都 | 2017予定 | 北区 | 25 |
パークハイアット京都 | 2019予定 | 東山区 | 70程度 |
(出典:各ホテルホームページ、ニュースリリースから筆者作成) |
規制から誘致へ、京都市が方針を転換
市内に進出した外資系ホテルは、2006年に東山区でオープンした米ホテル大手ハイアットグループの「ハイアットリージェンシー京都」が先駆けになった。もとは京都パークホテルとして営業していた建物で、これを全面改装して客室189室の高級ホテルに生まれ変わった。ハイアットの成功を見て、2014年には米マリオットグループの「ザ・リッツ・カールトン京都」が中京区に開業した。客室134室の広さは平均50平方メートル以上あり、市内では最大級。市中心部を流れる鴨川沿いの好立地から、観光客の人気を集めている。
市内は三方を山に囲まれてホテルに適した用地が少なく、地価が高い。そのうえ、景観など立地規制が厳しく、権利関係が複雑な場所も多くなっている。このため、外資系ホテルが進出に二の足を踏んでいたが、市が特例として高級ホテルの立地を認めるようになった。
背景にあるのは深刻さを増す宿泊施設の不足だ。京都文化交流コンベンションビューローによると、市内の2015年平均客室稼働率は大型ホテル27施設で88.9%。行楽シーズンや休日にはほぼ満室状態になり、予約を取りづらい状況が続く。
さらに、海外の富裕層向け高級ホテルが少ないという悩みもあった。そこで、高級ホテルを中心に宿泊施設を確保するため、市は2016年、宿泊施設拡充・誘致方針を打ち出した。
東京五輪が開かれる2020年までに市内で新たに6,000室分が必要と見込み、住居専用地域など宿泊施設の立地が原則としてできない地域でも、条件を満たせば特例で開業を認める内容。JR京都駅周辺などアクセス性の高い場所は、容積率の規制緩和も含めて誘導策を練るとしている。
フォーシーズンズホテル京都も住居専用地域にあるが、この方針を先取りする形で特例として認められた。市観光MICE推進室は「市は民泊に頼らず、宿泊施設の拡充で不足分をまかなう。引き続き国内外を問わず、宿泊施設の誘致に力を入れたい」としている。
【次ページ】豪華庭園ホテルなど新規計画が続々と
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