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  • 2017/10/03

西内啓氏が語るデータドリブンの地方創生 くまもとDMCに学ぶ「地方都市の稼ぎ方」

人口減少社会の経済懸念に対しさまざまな施策が取り組まれる“地方創生”や“まちおこし”。自然、施設、文化行事など観光資産の活用はもとより、そこでしか得られない“個々の体験”にも注目が集まる。実際にはどういうものが求められているのか、生活者や来日旅行客の行動履歴データ分析から潜在ニーズを捉えようとする動きも出てきた。先日開催された体験型マーケティングにフォーカスをあてたカンファレンス「BACKSTAGE17」では、データビークル・西内 啓氏が登壇し、地方創生におけるデータマーケティングの現状や、エリアマーケティングを推進する「くまもとDMC」との取り組みを通じ、地方都市がもっと稼ぐために必要な具体策を語った。

Miho Iizuka

Miho Iizuka

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ビッグデータ分析による戦略立案を手掛ける「データビークル」共同創業者・取締役副社長 西内啓氏によるプレゼンテーション。現場ではデータマーケティングを担う人材育成にも携わる。著書『統計学が最強の学問である(ダイヤモンド社)』

人口減より案ずるは“現場の意思決定と実行力”

 経済成長が見込めないのであれば、貧しさの中で慎ましやかに暮らすという選択もある──そんな声が有識者の中からも漏れ聞こえていることが少し残念だ、と冒頭で語った西内氏。少子高齢化や人口減少はたしかに進んでいる。しかし、一概に比較できるものではないが、国民一人あたりのGDPで見ると日本より人口が少なくても暮らしの豊かな国はある。“儲かるために何をするか”という考え方がもっとあってもいいのではないか。

 西内氏の元にも、地方創生の戦略立案におけるマーケティングデータ分析の相談は増える一方だが、実際にヒアリングしてみると、プロジェクトがどういうゴールを描こうとしているのか、どういうデータが必要とされているのか、収集データを精査する以前の課題も多いという。スタッフだけでも自走できる体制作りのためには、マネジメントの抜本的な見直しが必要なケースもある。

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外部から支援できることにも限りはある。新たな取り組みや、他所から来た人への心理的な反発を避けるには時間をかけて謙虚に取り組むほかない。その土地の背景を知る人々が自立して考えられる、現場の体制づくりも重要だ

「最も重要なのは、責任者の意思決定です。せっかくデータが取れているのに、上手く使えないのは、分析した情報が組織のどこかで止まってしまって、次のステップに進まないから。優良顧客のデータ、売れ筋の予測がついただけでは意味がないんです」(西内氏)

 たとえば、観光に来てくれる人と来てくれない人の違いは何か、売れる産品とそうでない産品の違いはどこかを知りたいのなら、どういうデータを集めなくてはいけないのか。収集するデータによって何を目指すのかをハッキリさせないと、データ量ばかり闇雲に膨れ上がってしまう。

 西内氏が提唱する“リサーチデザイン”においては「ゴール」を明確にする。どういった項目を、どうしたいのかという「アウトカム」を定義するのだ。出てきた結果に対して、何が要因でそうなっているのか、データより分析していくという。

「土地独自のカルチャーや背景を分からないまま、外部からコンサルを連れてきてデータを掘り下げたところで、望むような結果は生まれない。“仕事を増やされたくない”という現場の想いがあると、現実が進まないということも有り得ます」(西内氏)

 データ分析の結果が出た時、ボスがGOサインを出したら、誰がそのデータを活かして実現化に動くのか。もっと言えばIT基幹システムは誰がどう管理しているのか、ベンダーの選定にまで西内氏の仕事は及ぶ。

 一度始めたら現場は運用を続け、常に新しいサイクルで結果が求められる。そうなるとやはり「どうにかしたい」という根本的なところでの想いがあるかないか。データマーケティングのROIは、プロジェクトの“熱量”によって左右される部分も大きいようだ。

より「稼げる観光」を目指すくまもとDMCのデータサイエンス

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さまざまな手法やコンテンツを通じ、地域のコーディネーター役として効果的なマーケティングや情報発信、着地型素材の開発などを手掛ける「くまもとDMC」。熊本地震以前の景気へ盛り上げたいという、熱い思いを持つメンバーが運営に携わる

 日本で初めて地域銀行と自治体が出資し設立された「日本版DMO(Destination Management Organization=目的地型観光振興会社)」である、くまもとDMC。日本版DMOには一般社団法人が多い一方で、同社は「DMC(Destination Management Company)」つまり株式会社であることを強く意識した取り組みを行う。熊本県の出資比率は4%程度。より「稼げる観光」の実現に向け、県内の旅行消費額の増加を目指す方針を示している。

 くまもとDMCはデータビークル社と、2016年末より“データサイエンス分野”での取り組みを進めている。道路地図やガイドブックの出版でお馴染みの昭文社「MAPPLE」が所持するMapple IDと経路検索「NAVITIME」の検索履歴データマイニングからは、どういう行動特性のある人が、どのエリアや商業施設に行きがちなのか、全体的な傾向を探る施策を行った。

 また、POSデータベース「TRUE DATA」が所持するJANコードから、食品や日用雑貨などの商品データがわかる「eBASE」で売れ筋商品のスペックや特徴を調べ、ロングヒット商品、急上昇人気商品は、どういうところがヒットするポイントなのかも探った。

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“熊本に行きがちな人”や“売れ行きを伸ばすカギになる人”はどういう人なのか、データから導き出されるペルソナにはうなずくところも、意外なところもあるという

「履歴データから浮かび上がるというのはなかなか面白いもので、こういうのが好きな人は確かにこういう所へ行きそうだよね、とうなずくところも、意外性もあります。なぜ売れてるのか、原材料、栄養、成分、容器のデザイン、さまざまな切り口で分析していくとデータから見えてくるものは必ずある」(西内氏)

【次ページ】 売れ行きのカギを握るのは「50代男性」? 「儲かる状況」とはどういうことか考える

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