• 会員限定
  • 2017/10/13 掲載

「AI、IoT、RPAは専門ベンダーと組む」、ユーザー企業のIT投資動向調査で見えたもの

ITR「国内IT投資動向調査2018」

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
「国内IT投資動向調査2018」によると、2017年度、IT予算を増額させた企業の割合はリーマンショックの影響を受けた2009年度以来最高の34%に達した。また、2018年度に新規投資が期待されるテクノロジーでは、前回に引き続き「IoT/M2M」「AI/機械学習」が多くの業種で注目されていることが分かった。また、RPA市場規模推移および予測も発表された。

編集部 佐藤 友理

編集部 佐藤 友理

企業IT 4つのトレンド

photo
ITR 取締役 シニア・アナリスト
舘野真人氏
 ITR 取締役 シニア・アナリストの舘野真人氏によると、2017年のITトレンドは大きく4つ。

 1つ目は「IT予算の回復」、2つ目は「IT支出におけるリスク対策費用の高止まり」、3つ目は「IT部門における新技術の推進」、そして4つ目が「AI、IoTなどの技術に対する『試してみる』姿勢が定着しつつある」だ。

 ITRでは、2001年度からIT予算増減傾向を調査している。これを見ると、2008年のリーマンショックでIT予算に対する割合が一気に減少ことがわかる。しかし今年度、リーマンショック前の水準まで回復している。

画像
IT予算額増減の経年変化(2001~2018年度予想)

 IT予算額に対するリスク対策の費用割合に目を移すと、「情報セキュリティ対策費用」「災害対策費用」「IT内部統制向け費用」が2013年度から増加を続けており、増加したIT費用をリスク対策に向けるという企業の動きも見える。その一方、リスク対策は直接売り上げをもたらすものではないので、成長の足枷になっているのでは、と見る向きもある。

画像
IT予算額に対するリスク対策の費用割合

 こうした中で、既存のIT部門への期待は膨らむ。デジタルトランスフォーメーションのパートナー・ITの推進役として、どれだけIT部門が存在感を発揮できるかが問われているのだ。

問われるIT部門・ITベンダーの存在感

 ITRはIT部門の関係者に「IT支出に対するIT部門の決定権」の大きさを感覚値ベースで調査している。これはあまり変化がなく、その平均値は2015年には43%、2016年には45%、2017年は44%となっている。

 一方、企業が抱える課題テーマにおいて推進役を担うべき組織を考えたとき、IT部門に対する期待にはばらつきが見られる。

「クラウドサービスの導入・利用拡大、サイバー・セキュリティ被害への対応では、IT部門に対し50%を上回る期待が見て取れますが、AIやIoTの導入、RPAによる業務の自動化やデジタル・ビジネスの創出、働き方改革などいった先進的なテーマに関しては、『IT部門が中心的な役割を担うべき』とする回答の割合は50%を下回り、こうした課題テーマは既存のビジネス部門が担うべきだという考えも多い状況です」(舘野氏)

画像
課題テーマにおいて推進役を担うべき組織

 社内のIT部門と同様、パートナーとしてのITベンダーへの期待にも変化がみられる。

「課題テーマ別に重視するパートナーを企業にヒヤリングしたところ、これまで付き合ってきたベンダーも重視されていますが、AI、IoT、RPAの活用となると、技術に特化した専門ベンダーと組みたいという声も出てきています」(舘野氏)

画像
課題テーマにおいて重視するパートナー

 こうした「専門ベンダー」の中心はベンチャー企業だが、大手ベンダーの子会社や、ジョイントベンチャーも含まれる。

 企業とAIの付き合い方にも変化が見られる。ソフトウェアのオープンソース化が進み、多くの技術がコモディティ化し、企業が自力でAIに着手できるようになってきたものの、自社データを集めて、AIを学習させるDIYな導入が減っているのだ。企業は目的がはっきりした上である程度パッケージ化された技術を企業が導入する傾向にある。

「現在、多くの企業の上層部がITで新しい取り組みを始めるよう、各部署にプレレッシャーをかけています。そして、この『新しい取り組み』の多くは『効率化』を指しています、企業のAI導入もIoT導入も、目的は『成長』よりも『効率化』に向いています」(舘野氏)

【次ページ】企業の投資トレンドは? RPA市場は4年で82億円規模に成長

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

仮想化戦国時代再び

 パブリッククラウドやプライベートクラウド、仮想基盤、コンテナ基盤など、様々なサービスやツールが提供され利用可能となっている現在、それらをどのように組み合わせて利用するか、そして、その環境を如何に効率的に運用管理していくのか、IT管理者にとっての大きな課題です。  慎重に検討し最適と考えた環境を導入したが、パブリッククラウドのコスト高騰やベンダーの突然のポリシー変更によるプライベートクラウド環境の再検討など、外的要因も含め色々な問題が発生し、都度、対応が求められている。そんなお客様も多くいらっしゃるかと思います。このような様々な問題への対応が必要な今こそ、個々の問題への対策にとどまらず、新たなITの姿を考える良いチャンスではないでしょうか。  変化による影響を受けやすい現在のIT環境から脱却し、ITインフラに依存しない柔軟な運用環境を実現する。ITインフラを意識する事なくマネージメントできるニュートラルな運用環境へシフトする。サービスやツールの導入・変更にもスムーズに対応でき、求められるユーザーサービスをタイムリーに、そして安定的に提供できる、そのような変化に強く、かつ進化に対応する次世代運用プラットフォームの実現が、今、求められていると考えます。  本セミナーでは、次世代運用プラットフォームを実現する2つのキーソリューションをご紹介します。1つ目はMorpheus Cloud Management Platform。セルフポータルサービスに代表されるように、シンプルでありながらパワフルかつ柔軟な統合運用環境を実現します。もう1つはOpsRamp。AIOpsやオブザーバビリティなど個々の機能にとどまらず、多様な要素で構成され様々な要件が求められるハイブリッドクラウド環境にニュートラルに対応する。真にエンタープライズレベルの統合監視環境を実現するソリューションです。 HPEの考える次世代の運用環境をぜひご体験ください。

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます